2009年04月08日

米国の年金問題-2009/04/08

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 金融危機で辛い目に遭ったのは民間投資家だけではない。公的年金も相当の
打撃を受けている。日本は相変わらずPKOなどと呑気に株の買い増しをしている
ようだが、米国では企業年金も公的年金もその損失に対して厳しい目が向けら
れ始めている。特にPBGCのような保証制度のない公的年金は、財源が無くなれ
ば支給カットか政府補填しかない。

 FT紙に拠れば、教師や警察官など「政府使用人」に対する2兆ドル以上の規模
の年金基金のマイナスは昨年で30%、本年2か月で9%と約40%に及ぶという。
実額に直せば8,000億ドルの損失であり、基金には受給者への確約分の約半分し
か財源が無い状態だ。株価や社債が2年前の水準に戻れば元通りにはなるが、そ
んなシナリオは受給者には通用しない。まあ日本も似たようなものだろうが、そ
れはいつか年金専門家に聞いてみたいところだ。

 民間年金を補填するPBGCすらも財源が枯渇しており、既に累積赤字になってい
ると報じられている。企業倒産が増えればこの保証制度も破綻しかねず、ここで
も米政府介入は不可避となるだろう。米国は金融も産業もそして年金も支援せね
ば国が成立しない構図に近づいている、とも言える。悲観的過ぎるようにも思え
るが、深く見れば見るほど米国の「資本的脆弱さ」が浮き彫りになる。帝国の没
落というのはこうして徐々に進行していくのかもしれない。そんな風に見れば、
米国債利回りの余りの低さに違和感を感じてしまう。これも多分、持続不能な水
準なのだろう。

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BNPパリバ、仏政府が筆頭株主に 資本注入で17%保有-2009/04/08

 【パリ=野見山祐史】フランスの金融市場監督当局の仏金融市場庁(AMF)は7日、仏政府が同国の最大手銀行BNPパリバの筆頭株主になったと発表した。保有比率は3月末現在で17.03%。2位株主の保険大手アクサを大きく上回った。
 仏政府が金融システム安定化策の一環として昨年末以降、断続的に実施した主要行への資本注入を受けたもので、BNPパリバには予定額の51億ユーロ(約6900億円)余りを注入した。仏政府は議決権を有さない優先株を取得しており、経営判断には関与しない方針を強調している。
 BNPパリバはベルギーの金融大手フォルティスと買収交渉を継続中。買収費用は、フォルティスの主要株主であるベルギー政府に自社株を割り当てる方式を提案している。買収交渉の行方次第では、BNPパリバの大株主が一時的に仏、ベルギーの両政府で占められる可能性もある。
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金融の特別性-2009/04/07

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 住宅や自動車の数値が改善しても金融問題が解消しなければ経済は正常化と
は言えない。その対米基本認識は変わらない。金融を全産業の中の一つのセク
ターと考える株式市場の捉え方は、ある意味で不健全である。金融は経済にお
ける特別の存在であるからだ。その機能修復や出口戦略に具体性が見えない以
上、米国リスクはまだ根強く残っていると見るべきだろう。

 金融の特別性は「特権」や「優位性」を意味するものではなく、また単なる
「公共財」を示すものでもなく、すべての「交換性」を担保する中枢システム
であることを示している。交換なくしては現代経済は成立しない。米国でも資
本市場は回復しつつあると言うが、株式市場ほどにクレジット市場での信頼性
は戻っていない。あのルービニ教授も超悲観論の舵を切り替えたようだが、そ
れでも金融に対する不信感をあらためて強調している。

 確かに徹底した施策の積み重ねで恐慌再来を防ぐことは出来そうだ。米国は
その最悪シナリオを封印した上で、有毒資産をどう処理し、今後増加する不良
債権を誰がどう埋めるか、グッドバンクをどう作り直すか、インフレを回避し
ながらどうマネー供給を正常化させるか、膨張する財政をどうファイナンスす
るか、米国の資本収支悪化をどう回避するか、など様々な課題に応えねばなら
ない。最も単純な米銀処理でさえ先送りが見え見えになってきた以上、それほ
ど健全な方向性は期待出来ないような気もしている。

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米国も長期的ゼロ成長時代へ-2009/04/06

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 注目されたG20が閉幕して次の焦点は米国の景気回復に移り始めている。市場
は期待値を上げ始めたようだが、まだ半信半疑の人も多いことだろう。数字が
どこかで反転するのは当然である。但し、この厳しい景気後退の後遺症を含め
て考えれば、そんなに簡単に経済回復は見込めないと考える方が常識的だ。敢
えて今後を鳥瞰すれば、米国は長期的ゼロ成長時代への移行期に突入しつつあ
る、ということだろう。

 世界的な需要の急減はいずれ止まる。それが数字に表れると景気回復だと主
張する声が強まってくるが、単に過激で異様な落ち込みペースが修正されるだ
けの話だろう。米国内に成長エネルギーの復活を求めることは当面無理だとい
う見方は変えていない。金融の後始末も市場が予想するより辛いものだ。日本
が如何にあの処理にエネルギーを浪費したか、覚えている人も少なくあるまい。
それは確実に成長の足を引っ張る。
 
 技術革新などによる生産性が大きく上昇しない中で、付加価値としてのGDPを
上昇させるのは無理がある。米国は金融魔術でそれが可能になると信じた訳だ
が、その構想は崩れてしまった。1970年代以降の米国は、比較優位を維持する
ために通貨政策、IT政策、そして金融自由化政策などで何とか凌いできたが、
その限界が見えた今、次の成長戦略が描けるまでは暫く時間を要するだろう。
それが長期的ゼロ成長の予想根拠である。マイナス成長からの脱出は、決して
成長路線復活を保証するものではない。

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具体性から抽象性へ-2009/04/03

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 注目のG20金融サミットが閉幕、事前に報じられていた分裂気味の雰囲気を
何とか取りまとめて事なきを得たという印象もある。2年間で景気刺激策5兆ド
ルという数字を目玉に据えたが、誰がどう負担するかは定めない。2010年の成
長率目標はIMFの見通しを流用している。G20としての面目は保たれ議長のブラ
ウン首相も一安心だろうが、G20が打ち出すその「国際協調」という言葉には虚
ろさも見え隠れする。

 オバマ大統領は精力的にスケジュールをこなしたようだが、G20という枠組み
に限って言えば米国の存在感が急速に薄まったことは否めない。参加国が増え
たということもあるが、独仏の主張や新興国の要請など確実に政治的な相対性
は変化している。それが「米国主導」から「国際協調」への変化であるとすれ
ば、世界への視点も具体性から抽象性へと変化させねばならない。これは結構
厄介だ。

 米国が決める世界観は良くも悪くもわかり易い。だが国際協調となると、途
端に読み辛くなる。今回の共同声明は対立構造を封じ決めたために綺麗に仕上
がっているが、具体性を詰めていけば感触が薄い。財政支出はその典型であろ
う。たぶんそれが国際協調という抽象性の産物なのだ。それをポジティブに見
るかネガティブに見るかで世界観は大きく変わる。現時点でG20の「国際協調」
をどう見るか、まだ始まったばかりで評価の付けようがない。

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時価会計の封印-2009/04/02

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 米国の企業会計基準審議会が企業の保有する証券に対する時価評価ルールを
大幅に緩和することになった。既に先月、政治的圧力によって市場価格ではな
く企業独自の算定方法で評価する方向で検討が進められてきたものだが、これ
で銀行は大いに安堵していることだろう。FT紙は大手米銀の1-3月期利益は20%
程度底上げされる、と報じている。

 厳格な時価会計が銀行経営を圧迫して信用収縮の原因になっている、という
まことしやかな悪説が政治を動かしたものだ。これは市場価格に耐えられぬよ
うな商品を抱え込んだ銀行の言い訳にしか過ぎない。自らの失態を会計制度の
所為にして臭い物に蓋をする。市場価格は必ずしも真実ではないが、真実の可
能性を奪い取ることは社会的犯罪である。

 ルールは自由に変更する。これが米国流の「自由」なのだろう。銀行はこれ
で不良資産・債権売却の圧力も減る。見事な「資本力なき金融再建」であるが
その継続性は脆そうだ。不良資産の詰まった銀行の株や債券を誰が買うのだろ
うか。機関投資家はそっぽを向くだろう。騙され易いのは海外や個人であるが 
流石に寛容な海外勢も米国金融のカラクリに気付き始めている。「反ドル」の
声も高まり始めた。日本もそろそろ目覚めるべき時期である。

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まだ悲観派 -2009/04/01

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 数えてみたら学校を出て就職してから丁度30年経っていた。本日は31年目の
始まりということになるがそれほど長い時間には感じない。多分、目まぐるし
く変化する金融市場に振り回されながらもその激流の中で泳ぎ続けることに快
感をも覚えていたからだろう。その中でも2008年度は厳しいながらも得がたい
貴重な体験の時期であった。さて2009年度はどんな年になるか。これは昨年ほ
ど読み易く無い。

 事後的ではあるがこの1年間は悲観派としては見易い流れであった。サイトに
アップしている1年前の本欄を読み返してみると、物価の読みなど外れている部
分もあるが、株価などはある程度見通せていたようだ。だが2009年度は一方通行
の相場にはならないだろうし、かといって大幅反発のエネルギーもまだ期待出来
そうにない。株価はベア基調の中で何度も騙しのような反発を見せることになり
そうだ。為替市場も大きな方向感が見出せない。

 オバマ大統領をローズベルトに準えるたとえ話も殆ど聞こえなくなっている。
一部のブログではむしろフーバーに近いといった厳しい指摘も見える。景気回
復への期待は徐々に増えているようだが、金融修復の遅れや自動車破綻、商業
用不動産への警戒感など、時限爆弾はまだあちこちに埋め込まれており、どの
市場でも強弱感対立は暫く続くことになりそうだ。判断ポイントはやはり米銀
再建がどのように進むかだろう。この点ではまだ悲観派から脱することができ
ないでいる。

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米政府の企業経営介入-2009/03/31

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 GMとクライスラーに対する米政府の支援姿勢が明らかになった。両社への追
加融資条件はそれぞれ厳しいものであり、既にChapter11のシナリオが下敷きに
なっている。だがそれは以前から指摘されていたことであり、今回の措置での
目玉はワゴナー氏ら経営陣の追放であろう。引責辞任とは聞こえが良いが、ど
う見ても厳然たる「パージ」である。

 この報道を米銀首脳らはどう聞いただろうか。明日は我が身と戦慄しなかっ
た会長やCEOはいないだろう。自動車支援策として経営陣の追放という異例の策
はやむを得ない選択であったとしても、これが銀行を必要以上に神経質にさせ
る可能性もある。折角PPIPという手の込んだ仕組みを作ったが、米銀が売却に
積極的に動かない確率が高まったと見ても良いだろう。

 金融経営は特殊な任務だから簡単にパージ出来ないという声もある。だが特
定個人が不在で稼動しないような金融機関はそもそも企業失格だ。既にシティ
ではCEOを続投させるかどうかの議論が政府内であったようだが、過半数を政府
が保有するような事態になれば経営介入は必至だと思われる。金融機関の抵抗
は火を見るより明らかだ。かくして不良資産処理・資本増強が財務省の見積り
より大幅に遅延することも有り得る。ワゴナー・ショックの影響は小さくない。

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横行する「魔女狩り」-2009/03/30

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 金融危機やその実体経済への波及は、間違いなく現代版の「魔女狩り」傾向
を増幅させている。AIG問題やマードフ・ファンドなど論外なケースもあるが
単細胞なメディアが繰り返す行き過ぎた金融批判は、逆効果として経済活動を
収縮させるリスクをばら撒いている。バランスを取るのは難しいが、金融を潰
せば実体経済低迷は長引くのみである。

 日本にも、必要以上に消費者金融を追い詰めた結果、経済の底辺を破壊して
しまったという過去がある。社会民主的思想の理想が自滅したパターンである。
金融が経済の浮力であることを知らない学者や評論家が現代社会の危険分子と
なってしまった。それが欧米にも波及している。規制は制御であるべきなのに
抑制・禁止だと勘違いしている輩がいかに多いことか。

 英国では公的支援を受けたRBSの会長が法外な年金を受け取ることが解って自
宅が襲撃されたり、金融サミットを狙った過激な行動が懸念されている。米国
でボーナスを返還した人の心情も、倫理観というよりも身の安全を懸念したか
らかもしれぬ。社会に蔓延する「反金融ムード」は経済的逆効果である。金融
版魔女狩りの横行は現代社会の揺らぎの象徴だ。金融批判は必要だがそれは感
情的ではなく論理的であるべきだ。

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やはり金融も自動車も救済-2009/03/27

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 金融の不良資産問題へ市場の関心が集中し、話題の中心からやや遠ざかって
いた自動車問題が再び脚光を浴びようとしている。昨日GMは追加救済の条件と
されていた人員削減において、7,500人以上の工場労働者が早期退職に応募した
と発表している。だがNY Times紙は、対象となる14,000人以上は退職パッケー
ジよりも工場に残ることを選択した模様であり、削減はそれほど容易に進まな
いようだと報じている。

 GMの早期退職者は4月1日までに職場を去ることになる。クライスラーも同様
に早期退職条件を提示、労働者の回答期限は金曜日であり、今週中には数字が
確定する。そうした中で米政府は破綻回避の方針を固め、大統領は近々追加支
援に応じる発表を行うと報じられている。引き続きUAWや債権者などの譲歩を引
き出すことが条件となるが、市場が落ち着き始めたところで破綻選択によって
政府自らがそのムードを壊すべきでないという心理も働いているのだろう。

 巧妙な財務省のオフバランス・レバレッジ戦略で金融機関の国有化を避け、
自動車産業も破綻を避ける。米国の先送り戦略は明確である。日本を痛烈に批
判した米国は何処へ行ったのだろう。時代が変わったということか、米国が変
わったと見るべきなのか。時代の変遷にあわせて米国も変化したという見方も
出来ようが、それには相応のコストが発生する。外野席から見る限りそれは国
民負担という弱者へのシワ寄せである。その意味では、日本も米国も結局それ
ほど違いはないのかもしれない

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ドルの地位は低下するのか-2009/03/26

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 中国の周人民銀行総裁の「SDR活用提案」が波紋を広げ、昨日はガイトナー
財務長官が外交問題評議会の場で「そうした提案にはオープンだ」と述べたこ
とが市場のドル売りを誘ったようだ。その後長官は「ドルが基軸通貨であるこ
とは不変」と強調して終息を計っているが、米国内でも薄々とドルの地位低下
に対する感覚は強まっているのだろう。

 サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁も「中国の懸念は理解出来る」と
述べて、世界にドルへの不安や不信が広がりつつあることを認めている。但し
SDRが通貨体制の中心になれるかと言われれば大きな留保条件が付くだろう。
特別引き出し権としてのSDRは通貨としての実体性を伴わない。バスケットと
は言っても、共通通貨を意識して始まったユーロの前身ECUなどとはやや異な
る性格を持つ。

 ロシアもG20で新通貨体制の提案をすると見られており、ドルを巡る各国の
思惑対立はこれからも頻発するだろう。ドルの地位が数年単位で劇的に変化す
るとは思えないが、既に資本市場で役割が着実に低下しているのを見ればトレ
ンドはもう止められない。米国・新興国との議論にはいずれ欧州や日本も関与
せざるを得なくなる。確固たる通貨戦略を持たない日本は今回のG20と同じよ
うに漂流しながら米国に追随する可能性が高そうだが、これを機会に通貨問題
を一から考え直してみるのも悪くない。

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金融監督強化の幻想-2009/03/25

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 AIGを巡る騒動は、報酬への過激な対応はバッドバンク構想に水を差すとの当
局懸念やボーナスの一部返却などでややピークを過ぎた感もあるが、昨日の議会
証言でバーナンキ議長は、昨年9月時点で金融全体のシステミック・リスクを監
督する機関があったなら、AIGはレシーバーシップや解体などの選択肢を取るこ
とも可能だった、と悔やんでいる。オバマ大統領は強い権限を持つ監督機関が必
要だとして議長見解を支持している。

 AIGの救済はNY連銀の判断であった。その時の総裁はガートナー財務長官であ
り、またその救済判断を支えた政策チームがある投資銀行出身者らであったこと
は公然の秘密である。先般、AIGがCDS関連で支払った相手先リストを発表し、そ
の怪しい関係も取沙汰されている。その辺のキナ臭さは最新の拙書でも数ページ
を割いて書かせて貰った。結局、金融資本と政治の結託にメスを入れられないこ
とは、受身での弱みになる。

 スーパー・パワーを持つ監督機関を設立しても、それは誰が運営するのかとい
う問題になる。金融の専門的知識を持つ人材は、何らかの利害関係者にならざ
るを得ない。評論家や学者を置いてみても実務的な判断が下せない。また個別
機関をどんなに精査してみてもシステム体系への影響を推測することは困難だ
ろう。早い段階で芽を摘み取れば成長機会すら失うことになる。金融の監督と
いうのは想像するより難しい。最終的にはビジネス・モデル自身の修正へと動
かざるを得ないだろう。

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ゴールドマン、4月にも公的資金返済 米紙報道-2009/03/25

 【ニューヨーク=山下茂行】米証券大手ゴールドマン・サックスが昨年10月に受け入れた公的資金100億ドルを来月中にも返済することを計画していると、米紙ニューヨーク・タイムズが24日報じた。保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の高額賞与問題を巡る議会の批判などを受け、経営への関与を回避する狙いがあるとみられる。
 ゴールドマン・サックスの最高財務責任者(CFO)は2月に公的資金の返済を示唆していたが、具体的な返済の時期は明示していなかった。
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東証、2010年にもCDS清算業務 上場延期も正式発表-2009/03/25

 東京証券取引所は24日、デリバティブ(金融派生商品)市場の拡大を柱とした2010年度までの経営計画を発表した。世界的な金融危機の一因となったクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の売買・清算業務に来年にも進出するのが柱。同時に、09年中に予定していた自らの上場計画を10年度以降に延長する方針も正式発表した。
 CDSは企業の倒産などによる貸し倒れのリスクを回避するための金融派生商品。相対で契約するため、取引実態がわかりにくく、米金融機関の経営悪化の主因となっている。清算機関は取引の透明性を確保する役割を期待されており、米国では3月からインターコンチネンタル取引所が業務を始めた。
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保証という妖艶さ-2009/03/24

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 不良資産の買取り構想発表でNY市場では株価が大幅に上昇、昨日述べたとお
り銀行にとって有利になりそうなスキームであるから当然の反応だとも言える。
財務省は公的資金の制約のもとで「保証」という最終手段を全面に押し出して
乗り切ろうとするが、その成否が判明するのはまだ先のことだ。今は臨場感に
支えられた楽観論が支配的であり、当面このムードが続きそうだが、病巣摘出
が完了した訳ではないことを忘れてはならない。

 昨年来、米国は出資と融資と保証という三つの手段で金融支援を行ってきた。
主に財政支出が出資を、FRBが融資を、そしてFDICが保証を担っている。前者
の二つに議会や市場の疑惑が強まる中で、比較的批判の薄いFDIC保証を使って
不良資産買取を支えようというのが今回のスキームである。国家への信頼があ
るうちに保証を上手く使っておくのは賢明である。だが財力の薄い権威的保証
ほど妖艶で危険なものもない。ふとモノラインの末路を思い出す。

 不良資産処理へのプロセスが進んでいることは良い事である。但し価格問題
は実際に入札が行われるまで解らないし銀行がその価格で処理するかどうかも
不透明で、今後はむしろストレス・テストと時価評価問題の成り行きが材料と
なるだろう。いずれにしても含み損の実態や政府の財力がよく解らないという
現状では断定的な判断も下しようがない。明確なことは世界的にメガバンク時
代は終ったということくらいだろう。

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AIG、GSそしてガイトナー -2009/03/23

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 AIGを巡る報道が止まらない。同社がボーナス支給額を議会へ過少報告してい
たと報じられるなど、もうAIGの社会的生命は絶たれたも同然である。こうした
企業を再建することを世論は許さないだろう。そうなるとAIGを助けたのは誰か、
AIG救済で助かったのは誰か、といった話も出始める。俎上に上るのはゴールド
マンでありガイトナー財務長官だ。ボーナス支給を事前に承知していた長官に
は、辞任を迫る声も強まっている。

 財務長官は、本日発表される不良債権買取りスキームにその職を賭けること
になるかもしれない。2月の発表後の評価は惨憺たるものであったが、今回発表
されるスキームも結局は納税者に大きな負担を強いるものになりそうだ、とNY
タイムズ紙は報じている。その概要はFDICが主体となってファンドを設定し投
資家に85%の融資をノン・リコースで行う。残りの15%は官民で負担するがそ
の割合は80:20になるという。勿論、詳細は発表を待たねば解らない。

 仮に上記報道が正しいとすれば97%を政府がカネを出して3%を民間が出すと
いうスキームであり、「官民パートナーシップ」も看板倒れになりそうだ。AIG
問題の余波で民間投資家も買取り参加に慎重だと言われる。何としてでも民間を
引き入れた救済スキームに仕立てるという長官流「市場主義」への拘りなのかも
しれないが、結果的にそれが「高めの価格」を誘引して納税者リスクを高めると
いう批判も既に聞こえ始めている。米国内の不満の渦は当面収まりそうもない。

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米成長予想へのパラメータ毀損 -2009/03/19

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 年末年始の本屋では経済本が売れたようだ。「便乗組」の一人としてあまり
批判出来る立場にないが、何か足りないような気もする。それは中銀について
その裏表を含めてきちんと書かれた本がないことだ。日本では劣後ローン取得
や国債買取り枠増額、FRBも巨額の国債買い入れを開始するなど、金融の中心
は目実ともに中銀になってしまった。為替にしても株にしても中銀が解らない
と予想も難しい。

 昨日のNY市場は、FRBのバランスシート積極拡大路線を好感して長期金利は急
落し株式も上昇している。解り易い反応ではあるがその理屈を辿っていけばそ
れなりの怪しさを感じざるを得ない。マネーセンター・バンクとはいまやFRBの
ことである。民間銀行のバランスシートは制約されるが中央銀行のそれは無限
大でよい、という矛盾の塊は危機対応という大義名分で封じ込められているが
それもいつかはボロが出るだろう。

 もっとも米国ではFRBなどよりAIG問題に関心が集中して世論は沸騰、AIGはも
はや全米を敵に回してしまった。この問題は尾を引きそうだ。今後の金融支援
は困難を極めるだろう。それは成長予想へのパラメータを毀損する可能性があ
り、米国経済力の軌道を変えるリスクもあると見ておく。中銀リスクと世間の
金融忌避のセンチメントは、ダブルパンチで米国金融力を縮小させるシナリオ
も有り得るだろう。

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米国流「ルール改正」へ-2009/03/17

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 AIGを巡って報じられるニュースには対岸から見ていても呆れるばかりである
から、当の米国では相当な憤懣が充満していることだろう。破綻処理後の支払先
には本命のGSだけでなく欧州系の名前も連なっている。また巨額ボーナス支払い
も全国民の神経を逆撫でしただろう。こうして金融追加支援への議会のハードル
が一層高くなり、当局は限られた資金での救済を選択せざるを得なくなる。手段
はルール改正だ。

 最近、FRB議長をはじめとして会計制度の修正を求める声が頻発しているのは
その風向きを示している。会計基準審議会も「ルール改正」へ向けて協議を開始
している。時価会計の凍結は評判が悪いので恐らく大手銀行の国有化が必要でな
い程度の修正処理を行うことになるだろう。表現は悪いが米国は国を挙げての隠
蔽という好ましくない方向を選択し始めたような気もする。

 米国の金融処理対応が「遅い」のは、実態が把握出来ていないのではなく解り
過ぎているからだろう。正確に処理しようとすれば財政能力を問われることを多
分計算済みなのだ。リスク管理の論理から出てくる答が「対処不能」であればそ
のルールを変更するのが最適な回答である。この辺はアングロ・サクソンが得意
とするところだ。ソ連封じ込めのように金融問題も封じ込める。人々はいずれ忘
れてくれる。国家のToo Big To Failは究極の先送り計画を主導しようとしている。

作成日: 2009年4月8日(水)
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束の間の虚無的休息-2009/03/16

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 G20財務相・中銀総裁会議は4月のG20サミットの前哨戦として注目されてい
たが、案の定合意できたのはヘッジファンド規制程度で、後は思惑バラバラで
ある。過剰な期待を寄せる方が非現実的なのだろうが、財政ではなくせめて金
融システム安定化に向けた集中議論くらいは行って欲しかったところだ。株式
市場は何とか持ち応えているが、その安定期限は長くはないだろう。

 先週、数人からいよいよ相場観を変えたのですねという反応があったのだが
当面の底値は確認したと書いただけで、強気転換したと言ったつもりはない。
長期的には米国のL字型低迷の可能性は高いと考えるが、相場は長期低迷の中
でも上下を繰り返す、という再確認に過ぎない。米国が金融不安を直視せず修
復作業を先送りしているのは明らかで、いずれボルカー氏あたりが一喝するこ
とになるだろう。米国金融が債務超過であるか否か、その議論は避けて通れな
い。

 中国の温家宝首相が米国債に関して不安を述べたのも「大口債権者」として
当然のことである。ルービニ教授はマードフ事件は米国金融の偽善性を映し出
している、と述べてマクロ的問題の早期解決を急ぐべきだと主張している。株
式市場の小康状態も、所詮は爆弾破裂まで少し時間があるという束の間の虚無
的休息であろう。いずれショート筋は戻ってくる。G20に向けた各国協調の難し
さは、そうした暗い雰囲気を予見しているように見える。

作成日: 2009年4月8日(水)
posted by ルナパパ at 08:32| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

米銀経営者の勇み足-2009/03/12

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 シティの1-2月業績好調との内部メモが流出して市場に好材料となったこと
を受けて、JPモルガン、そしてバンカメもそれぞれ1-2月の収益が回復してい
ると発表し、市場に燻る国有化懸念を払拭しようとしている。市場は素直に反
応しているが、期中にこうした未確定情報を流すことに対して一部には「ミス
リーディング」な情報開示としての問題が指摘されている。

 経営者の気持は解るが、これは勇み足と言われても仕方あるまい。仮に評価
損等で四半期決算が芳しくなければ法的報復を受ける可能性もある。よほど決
算に自信が無ければこんな発言は出来ない。シティは内部メモであったにせよ
それがメディアにリークするのは自明であったし、勘ぐればそれを期待しての
メモであった可能性もある。いずれにしても、銀行経営者に自信ではなく相当
の動揺があるとしか思えない。

 もっとも市場にそんな憶測は無用のようだ。ダウ6,000ドル台は流石にかなり
の悪材料を織り込んだ水準であり、目先の底値だという雰囲気はある。所詮は
ベア・ラリーであってこれで株式投資再開というムードにはならないが、悪材
料に慣れた市場にどこまでの反発力があるか見極めることになるだろう。新た
な懸念が出るとすれば商業用不動産、クレジットカード、そして一部先進国で
の財政不安あたりか。その波はG20を越えた春以降と見る。市場は暫くは小康状
態となる可能性もあろうが、金融の根本問題が残る限り強気転換には程遠い。
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posted by ルナパパ at 08:31| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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