2008年07月01日

リース会計基準の改正と企業会計・税務への影響-2008/06/29

リース取引の会計処理について、我が国では従来か
ら「賃貸借処理」を行っており、原則「売買処理」と
する国際会計基準との不整合が長らく議論されてきま
した。
今般、主に国内上場企業に対する海外投資家からの
投資促進を背景として、国際会計基準との整合性を早
急に整備する声が高まり、2008年4月1日に新しい
リース会計基準と税制が施行されることになりまし
た。


企業会計ルールの種類と適用される企業の
範囲について整理しておきたいと思います。
企業会計のルールには、上場企業や大会社(資本
金5億円以上、または総負債200億円以上)が対象と
なる「企業会計基準」と、その他の中小企業を対象
とする「中小企業会計指針」の二種類があります。
今回改正となる会計基準は上場企業や大会社が適
用を受ける「企業会計基準」の方で、中小企業会計
指針にはなんら変更はありません。結論として、今
回のリース会計基準の改正において大きな影響を受
けるのは、主に上場企業や大会社で、中小企業はほ
とんど影響がないということになります。
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2008年04月28日

日本の企業会計、国際基準と同等・欧州委が報告書-2008/04/28

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、日本の企業会計基準が欧州で利用されている国際会計基準と同等であると判断する報告書を公表した。最高意思決定機関のEU議会で今年半ばに承認されれば、日本企業は2009年以降もEU域内で日本基準の利用を継続できる可能性が高まる。

 欧州委として日本基準が同等と認める判断を正式に示したのは初めて。EUは05年から域内上場企業に国際会計基準の利用を義務付けた。09年からは域外の企業に対しても国際会計基準かそれと同等とEUが認めた基準に利用を限定する方針を示している
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2008年04月09日

特別目的会社、連結ルール厳格化・会計基準委、国際団体と合意-2008/04/09

 日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会は8日、金融機関や企業が設立、投資している特別目的会社について、連結決算の対象範囲を厳格化することで国際団体と基本合意した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題では、海外の金融機関が連結外の特別目的会社で生じた巨額の運用損を計上。こうした事態を受け、連結範囲の拡大や情報開示の拡充を通じて損失リスクの所在を明確にする。

 国際会計基準をつくる国際会計基準審議会(IASB)などが、年内にも連結範囲を強化する新ルールを公表する方向で議論を進めている。日本側もこれに同調する。(07:00)

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2008年03月05日

オーストラリア発:会計“大地震”の影響続く-208/03/05

オーストラリア発:
会計“大地震”の影響続く
2008年3月5日 水曜日 菊井隆正
財務・会計  国際会計基準  投資家  オーストラリア  改革 
 オーストラリアは2005年にEU(欧州連合)諸国の動きに合わせて独自の会計基準を捨て、国際会計基準を導入しました。新しい会計基準の導入や大改革を称して「会計ビッグバン」という言葉がよく使われますが、国際会計基準の導入はオーストラリアの企業や監査業界にとって「ビッグバン」というより「大地震」でした。

 それはビッグバンのように大きな衝撃が一発で終了したわけではなく、導入してから3年経過した現在でも、その「余震」が続いているからです。

 オーストラリアが国際会計基準を導入した理由は、3つあります。

 まず、企業の国際的な競争力を向上させるためでした。次に他の外国企業の決算書と自国企業の決算書の比較ができるようにするためです。そして最後に、国際会計基準の信用力をバックにして資本市場からの資金調達をより容易にするためでした。


かえって分かりにくくなっている

 約3年経過した現在、会社関係者、株主、投資家たちは国際会計基準導入の効果をどう判断しているのでしょうか。調査を行ったところ、回答の多くは国際会計基準に対する不満や懸念を示しており、次のような見方が多く見受けられました。

 ・取締役、株主やアナリストなどにとって、理解するのに難し過ぎる
 ・決算書が本来の会社の業績やビジネスの姿を表すものにならない
 ・開示する項目が多すぎる
 ・内容が複雑で適用するために非常に高いコストがかかる


 国際会計基準は、投資家や企業のために様々な財務情報の開示を要求しますが、それが原因でかえって会社の業績がわかりにくくなっているのかもしれません。


調整した利益金額の公表が増える

 最近アーンスト・アンド・ヤングが、オーストラリアのトップ20社の上場企業を対象に行った調査によると、トップ20社のうち18社は国際会計基準に準拠した財務諸表の利益金額とは別に、異なる利益金額を投資家・アナリストへ公表していることがわかりました。

 例えば、利益について言えば、underlying profit(潜在利益)、normalized profit(適正利益)やcash profit(資金利益)など通常の国際会計基準に沿った利益 でない金額を記載したり、これらの利益を混在して記載している企業もありました。

 調整内容は主に下記の2つのタイプに分かれます。 それは
 
 1 単発的に発生した大きな項目の調整(リストラ費など)
 2 国際会計基準特有の項目の調整 ――です。

 1番目の調整は、国際会計基準導入前から行っていたものです。突発的に発生した大きな損益を利益から除くことによって、本業の真の利益を明らかにする狙いで行われる調整です。

 2番目は国際会計基準の導入によって生じた調整項目です。例えば、減損会計では資産の評価が厳格になり、減損されたのれん代などの無形固定資産を戻す企業もあります。


国際会計基準準拠の財務諸表は、会社の経済的実体を表していない

 先ほどのアーンスト・アンド・ヤングの調査でも、国際会計基準に準拠した財務諸表が会社の経済的実体を表していないという見方が多くありました。国際会計基準特有の項目は除外した方が利益を理解しやすいと考えているのです。

 多くの企業が投資家やアナリスト用に独自の利益金額を公表する傾向が続くと、財務諸表の価値は減少してしまうでしょう。そして、将来的にはユーザーのニーズに合った独自の業績情報を公表する企業がますます増えることになるでしょう。そうなると、国際会計基準の影響力は徐々に小さくなり、「世界規模で単一の会計基準の実現」から後退する結果になるかもしれません。

 日本の会計基準と国際会計基準も2011年までにほぼ完全にコンバージェンス(共通化)する予定だそうですが、日本の関係者にとっても、先に国際会計基準を導入したオーストラリア企業の経験は興味深いものかもしれません。


中小企業の批判は多い

 オーストラリアの会社のうち95%が中小企業です。大企業や上場企業と同じように、これらの会社も国際会計基準の複雑さと適用コストの高さに苦しんでいます。多くの中小企業は国際会計基準がもたらす恩恵よりコストの方が高いと批判的に考えています。多くの国では、国際会計基準との共通化を実施するにしても、上場企業に限定しており、それ以外の企業には従来通りの基準の適用を認めています。

 例えば、利益について言えば、underlying profit(潜在利益)、normalized profit(適正利益)やcash profit(資金利益)など通常の国際会計基準に沿った利益 でない金額を記載したり、これらの利益を混在して記載している企業もありました。

 調整内容は主に下記の2つのタイプに分かれます。 それは
 
 1 単発的に発生した大きな項目の調整(リストラ費など)
 2 国際会計基準特有の項目の調整 ――です。

 1番目の調整は、国際会計基準導入前から行っていたものです。突発的に発生した大きな損益を利益から除くことによって、本業の真の利益を明らかにする狙いで行われる調整です。

 2番目は国際会計基準の導入によって生じた調整項目です。例えば、減損会計では資産の評価が厳格になり、減損されたのれん代などの無形固定資産を戻す企業もあります。


国際会計基準準拠の財務諸表は、会社の経済的実体を表していない

 先ほどのアーンスト・アンド・ヤングの調査でも、国際会計基準に準拠した財務諸表が会社の経済的実体を表していないという見方が多くありました。国際会計基準特有の項目は除外した方が利益を理解しやすいと考えているのです。

 多くの企業が投資家やアナリスト用に独自の利益金額を公表する傾向が続くと、財務諸表の価値は減少してしまうでしょう。そして、将来的にはユーザーのニーズに合った独自の業績情報を公表する企業がますます増えることになるでしょう。そうなると、国際会計基準の影響力は徐々に小さくなり、「世界規模で単一の会計基準の実現」から後退する結果になるかもしれません。

 日本の会計基準と国際会計基準も2011年までにほぼ完全にコンバージェンス(共通化)する予定だそうですが、日本の関係者にとっても、先に国際会計基準を導入したオーストラリア企業の経験は興味深いものかもしれません。


中小企業の批判は多い

 オーストラリアの会社のうち95%が中小企業です。大企業や上場企業と同じように、これらの会社も国際会計基準の複雑さと適用コストの高さに苦しんでいます。多くの中小企業は国際会計基準がもたらす恩恵よりコストの方が高いと批判的に考えています。多くの国では、国際会計基準との共通化を実施するにしても、上場企業に限定しており、それ以外の企業には従来通りの基準の適用を認めています。

 しかしオーストラリアでは上場と非上場を区別せずにすべての報告企業に国際会計基準の適用を義務化したため、人的資源やノウハウが限られている中小企業は、膨大な労力とコストを強いられました。中小企業は現在、原則的に国際会計基準を適用していますが、会社によっては、開示内容が限定されている「特別目的の財務諸表(Special Purpose Financial Report)」を採用しているところもあります。

 オーストラリアの会計基準委員会は現在、中小規模法人用の基準の導入を提案しています。3年前の国際会計基準導入で苦労した中小企業は、再度新しい会計基準への対応を強いられることになるので、この提案に消極的な姿勢を示しています。

 新基準の草案には、国際会計基準と異なる規定が多く盛り込まれています。導入されれば大企業・上場企業向けとそれ以外の中小企業向けの異なる2つの会計基準が混在することになります。果たしてこのような政策がオーストラリア経済にとって有益なのかどうかが疑問視されています。


現地日系企業に与える影響は

 日系の在外子会社の多くは、中小規模法人用の基準の選択の余地が与えられることになるでしょう。日本では、企業会計基準委員会が実務対応報告第18号を公表し、在外子会社の連結決算手続きの扱いを定めました。

 そこで、子会社の会計基準が国際会計基準または米国基準に準じている場合は、当面の間、重要性のある一部の項目を除いて、子会社の決算書をそのまま利用できるとされました。子会社が中小規模法人用の基準を導入する場合は、事前に連結決算への影響がどれだけあるかを検討する必要があります。

 2005年に国際会計基準を全面導入するという大改革を行ったオーストラリアでは、当初、2009年までに会計基準に大きな変更はないと予定されていました。しかしながら、新しい基準の適用や既存の基準の細かい改定はなおも続いているのが現状です。

 さらに、中小規模法人用の基準が導入される可能性や2009年1月から予定している一連の新しい国際会計基準の導入など、“オーストラリア大地震”の余震はまだまだ続きそうです。

posted by ルナパパ at 10:23| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 会計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月29日

iPod Touch 有償アップグレードの不思議-2008/02/28

経済のサービス化で変わる売り上げの計上基準
2008年2月25日 月曜日 杉田 庸子
財務・会計  ソフトウエア  無償  米国  売り上げ  企業 
 iPod、iTunes Store、iPhone、Apple TV、そして今年は超薄型ノートパソコンのMacBook Airと、ここ最近、話題の商品を立て続けに発売してきた米アップル。業績も好調で2004年9月期は83億ドルの売上高が、2007年9月期は240億ドルと4年間で3倍に拡大した。2008年1月に発表された第1四半期(2007年12月29日締め)の売上高も96億ドルと好調で、純利益は16億ドルと前年同期比で58%の増益となった。

 堅調な収益の成長は、意表を突く商品開発で消費者の支持を着実に獲得してきたことが大きい。しかし今年一月に発表した既存製品のアップグレードに関しては、利用者の間でちょっとした物議をかもしている。


片や無料、片や有料の不思議

 そのアップグレードとは、昨年発売された携帯電話のiPhoneと無線通信機能が付いた音楽端末のiPod touchの2つの製品に、新機能を追加するソフトウエアを提供するというもの。これが不思議なことに、iPhoneに対しては無料だが、iPod touchに関しては20ドル(日本では2480円)と有償で提供された。

 新しく提供する機能は、iPod touchとiPhoneに共通のものと、iPod touch独自のものがある。共通の新機能には、地図アプリケーション「Maps」の改良と、好みのウェブサイトとそのサイトの特定部分を登録しておくことができる「Web Clips」がある。

 一方、iPod touch独自のものとしては、複数メールサービスからメールをダウンロードできるリッチHTMLメールクライアント「Mail on iPod touch」、株式情報を提供する「Stocks」、天気予報を提供する「Weather」、キーボードでメモを取ることができる「Notes」というアプリケーションで、 iPod touchの機能をよりiPhoneにより近づけるものだった。

 確かに、iPod touchへの機能追加の方が大きいのだが、そもそも本体価格が3万6800円からという製品に、この仕様追加が2480円の価値が果たしてあるのかと疑問を持つ利用者もいるはずだ。特にiPhoneに先駆けてiPod Touchが販売されている日本の利用者の中には、不満を抱く人もいるだろう。

 アップル製品情報誌・ウェブサイトの「Macworld」など米国のメディアの中には、このアップルの一見割に合わない有料アップグレードの背景には、米国会計基準に基づくソフトウエアの売り上げ計上基準に抵触しないための苦肉の策だったのではないか、と指摘するところがある。果たしてそうなのか。


無償ソフトウエアの売り上げは繰り延べ

 アップルの年次報告書によると、アップルはすべての製品に関し米国会計基準の原則通りSEC職員会計公報104号を適用している。この104号は、売り上げの取り決めに説得力のある証拠が存在し、品物の引渡しないしサービスの提供が行われ、料金が固定されている(または決定できる)、そして代金の回収が確からしい、という4つの基準を満たした時に初めて売り上げの計上を認めるものだ。

 アップルはこの方針に従い、iPod Touchを含めた全てのiPodや同社のパソコンであるマッキントッシュ(Mac)シリーズは原則出荷時点で売り上げを計上し、無償保証などの追加コストについては引当金を計上している。しかし、iPhoneや Apple TVについては少し異なる。

 この2種類の新製品に関しては、Appleは将来無償でのソフトウエアの提供とアップグレードを予定しているため、米国公認会計士協会の意見書「SOP97-2」に従い、契約期間に按分して売り上げを計上する「サブスクリプション・アカウンティング」を採用し、2年間に分割して売り上げを計上する、としている。つまり、2008年2月に399ドルのiPhoneを1台売って、2008年9月期決算で計上できる売り上げは399ドル×8/24カ月で133ドルとなる。


本来は、無償ソフトの提供がある場合は、分離計上が必要

 SOP97-2によると、一度売った製品に関して、将来追加でソフトウエアの無償提供がある時には、原則としてそのソフトウエアの価格分だけ売り上げの計上を繰り延べることとなる。iPhone 1台399ドルのうち、将来の無償ソフトウエアの提供分が99ドルだったら、その99ドルはソフトウエアが提供されるまでは計上できず、売った時点で売り上げに計上できるのは300ドル分だけなのだ。

 ただし、その会計処理にはその99ドル分の公正価値を示す客観的証拠(VSOE、Vendor Specific Objective Evidence)の裏づけが必要で、今までの販売実績のない製品に適用するのが困難だ。また、iPhone販売開始時点で将来のソフトウエアの提供を具体的に見積もることも難しい。このように「特定できないソフトウエアの無償提供がある場合」には、SOP97-2は「サブスクリプション・アカウンティング」を適用することとしている。無償提供が行われる期間にわたって、販売価格を分割して売り上げを計上するのである。

 このように、アップルはiPhoneやApple TVについては、将来のソフトウエアの無償提供を前提として売り上げの計上を当初からしているため、今回のようにソフトウエアのバージョンアップをする場合に、無償で提供することは会計上、問題がない。


iPod touchは販売時点で全額計上

 しかし、iPod touchの場合は、売った時点で全額を売り上げに計上する方法を採用している。仮にアップルがiPod touchも無償でソフトウエアを提供すると、その部分を当初の売り上げから繰り延べるべきだったのではないか、と指摘される可能性がある。それについての議論を避けるため、アップルはわざわざ有償のアップグレードとしたのではないか、というのが大方の見方である。

 アップルが会計基準への抵触を避けることを理由に製品のアップグレードを有償で行うのは初めてではない。1年前には、インテルベースのマックをワイヤレス対応にするための追加ソフトウエアの提供を1.99ドルで行っている。

 その際も「1.99ドルなら無料にしてくれてもいいのに」という声に対し、「会計基準への準拠のため」という旨が説明されたということだ。アップルは今回のiPod Touchのアップグレードだけ有償である理由については公表していないのだが、前例から考えても会計基準の都合で、アップグレードを有償にしたという見方は妥当だろう。もちろん、今回の20ドルという価格設定からは、アップグレードや新たなアプリケーションの開発にかかったコストを回収する目的も果たしたと思われるが。


「会計基準のせい」にするなかれ

 アップルがアップグレードサービスについて異なる対応をしたのは、会計基準の影響という見解に関しては、違和感を持つ人もいるだろう。会計基準は、しょせんは企業を「測る」ツールであり、経営方針に影響を与えるようなものではないはずだ。しかし、iPod touchはまさに「電話機能のないiPhone」であり、アップルがiPhoneと同じようなビジネスモデルを考えているならば、最初から追加ソフトウエアを無償で提供する可能性を厳密に予測し、サブスクリプション・アカウンティングを適用すべきだったといえる。

 ただし、アップルがiPod touchを「利用者が将来、iPhoneに買い換えるためのつなぎ」役として位置づけているならば、売り切り型のビジネスモデルを展開し、ソフトウエアのアップグレードを有償とするのはそれなりに合理性はある。アップルがiPod touchをどのように位置づけているかは推測の域を出ない。だが確実に言えることは、ハードからサービスへと産業構造が変わりつつある中で、ビジネスモデルと会計処理が密接な関係を持ち、会計処理に精通したうえでモデルを構築することが企業にとって重要になってきていることだ。


「国際会計基準」導入で緩和するのか?

 アップルのソフトウエアアップグレードを問題にしてきたが、 SOP97-2のようにソフトウエアの頻繁なアップデートに該当する売り上げを繰り延べる基準が設けられた背景には、やはりソフトウエアやサービスという形の見えないものの売り上げ計上に関し、規律を設ける必要があったことが大きい。

仮にこの基準がなければ、一括で売り上げを計上した新製品が、実際はその後何度も無料のアップデートをしなければならない金食い虫で、発売後の事業年度に売り上げの伴わない費用が延々と発生していくという状況にもなりかねない。それは、投資家からすれば、歓迎すべき事態ではないし、経営者にとっても収益予測を正確に行い、正しい経営判断を行うにあたっての障害となるだろう。

 米国ではこの会計基準が厳密に運用されている。NECが上述したVSOEを整えることができないゆえに米国基準で決算を組むことができずにいたことは、当連載2007年4月「NECが米国で決算報告できない事情」で紹介した。その後NECは期限内の報告義務を果たすことができず、2007年10月、米ナスダックから上場廃止となっている。

 この厳しいルールに関しては米国基準がコンバージェンス(共通化)を進めている国際会計基準とも差異のあるところだ。国際会計基準は現在、業種別の収益計上基準を設定する予定はなく、米国基準のような細かいVSOEルールのようなものが存在しない。

 FASB(米財務会計基準機構)は2008年中にもこの差異を解消する緩和基準の草案を提出する予定だ。しかし、売り上げの構成要素を分析し、そのうえで売り上げとして認識できる金額を決定することは最低限のスタンダードになるだろう、と見られている。それが国際会計基準で取り入れられた場合、コンバージェンスを進めている日本は、最終的にその方針に従うことになるわけである。


日本企業において考えること

 日本基準では現状、企業会計原則上の概念基準以外に明確な売り上げ計上基準が設けられていない。ソフトウエアに関しては企業会計基準委員会(ASBJ)が、2006年3月に「ソフトウエア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」を公表し、2007年4月以降に始まる事業年度から適用されている。

 しかし、この基準にはVSOEルールのような詳細な分析は求められていない。それ以前に、日本の現行の有価証券報告書からは、その会社が採用している売り上げの計上基準は判明しない。

 「重要な会計方針」の中で、売り上げ計上基準を記載することが要求されていないからだ。米国企業がSEC(米証券取引委員会)基準にのっとりかなり細かい売り上げ計上基準を開示しているのとは大きな違いである。

 一方で、日本企業の売り上げ計上基準は、実は非常に難しい要素を多くはらんでいるとも感じる。日本の顧客をもつテクノロジー企業の方とお話させていただくと、アップグレードやサービスを有料で売ることは日本ではとても難しい、ということを良く耳にする。

 「製品を買ってもらったのだから付属的なサービスはおまけとしてつける」というのはもちろん販売上の施策の1つだが、アップルの話で言えば、「後日無料のサービスが多く発生し、根本的なアップグレードさえ提供するのであれば、一部の売り上げは繰り延べるべきではないか」という話となる。サービスが無料で提供されるからといって、その価値を把握しなくていいわけではないのだ。

 サービスを無料と考える傾向の強い日本では、企業が製品発売後に提供するサービスに価格をつけることは、現時点では非常に困難な作業かもしれない。こうした風土や慣習を無視して、一様に国際基準を押しつけるのはいかがなものかという意見はあるだろう。

 しかし、ハードからサービスへと産業構造が転換している現在の流れの中では、経営者も投資家も両者の価値をしっかりと把握し、業績に反映する仕組みを構築することは、企業価値を向上させるうえで有益であると考えられる。今回のアップルの対応は、自分たちのサービスの価値はどれぐらいあるのか、を測るきっかけになるはずだ。

 注)今コラムの執筆に当たっては、中島聡氏のブログ“Life is beautiful”を一部参考に致しました。

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2008年02月06日

フランス発:監査対象は日本の40倍-2008/01/15

2008年1月15日 火曜日 遠藤 仁
監査  欧州  政治・経済  上場  財務・会計  投資 
 日本で監査というとまず思い浮かぶのは上場会社を対象とした会計監査でしょう。そして、公認会計士がその業務を独占的に担ってきています。ただ、名称は知られていても、公認会計士が日常的にどのような業務を行っているかとか、税理士との違いは何かを明確に答えられる人は多くないのが実態ではないでしょうか。

 フランスでも監査というと生活に密着したものではありませんが、公認会計士という資格は、日本よりは社会的な認知度が高いと言えます。その理由の1つに、法定監査の対象会社数が日本と比べて格段に多いことが挙げられます。公認会計士と接する人口が、日本よりはるかに多いのです。フランスでは40万社近くが法定監査の対象になります。

 40万社と聞いて多いかどうか判断のつかない方もいらっしゃるかもしれませんが、日本の上場会社および会社法監査の対象企業数が1万社ということと比較すれば、それが格段に多いことが実感できるのではないでしょうか。

売上高5億円以上、総資産2億5000万円以上、従業員50人以上が対象
 フランスで監査対象会社数が多くなる具体的な理由は2つあります。

 1つは、監査を義務づける対象が、
 
 売上高が310万ユーロ(約5億円)以上
 総資産が155万ユーロ(約2億5000万円)以上
 従業員数が50人以上

 の3つのうちいずれか2つ以上該当すると必要になることです。日本の会社法では、法定監査の対象になるのは、資本金5億円以上、または、負債総額200億円以上です。日仏の数字を見比べれば、フランス基準の方が格段にバーが低いのが分かります。

 もう1つの理由は、株式会社及びその類似の会社形態であれば、売上高や総資産などの規模に関係なく法定監査が必要になるためです。

 以上から、ほとんどの在仏日系子会社は法定監査対象となりますので、監査費用の支出はランニングコストとして考慮する必要があります。


内部統制でも妥協なし

 監査対象の会社数がフランスで多くなる背景には、法定監査制度が商法を基本法としていることがあります。商法が中心となっているのは、間接金融の時期が長く資本市場が脆弱であったことと、日本の金融商品取引法(旧証券取引法)の導入のような重要な制度変更がなかったためです。

 日本では公認会計士制度は公認会計士法を基本法とし、監督官庁は金融庁ですが、フランスでは商法内で公認会計士に関する各種規定が置かれ、監督官庁は法務省となっています。

 米エンロン事件以来、世界的にも内部統制に関する法律制度が厳しくなってきていますが、この内部統制に関する法令も商法の枠内で決定されていることは非常な驚きです。商法監査の対象会社が一様に同じ法令にしたがって対応が必要になるのです。ほとんどの先進国ではその国の上場企業のみを対象にしています。このことから見ても、フランスが上場・非上場を問わず、財務報告に関して同一の内部統制ルールを適用することは世界的に見て異例の厳しさであると言えます。

 フランスでは会社そのものの公共性・社会性を広くとらえ、非上場会社であってもその重要性を認めるために外部の監査を必要としており、ステークホルダーは投資家のみではないと考えられています。しかし、株式市場に上場している誰もが知っている会社と、地方の小規模会社に同一のルールが適用されることとしたのは、少し理想に走り過ぎたのではと個人的には考えています。投資阻害要因にもなりかねないのでは、と一旦は危惧しました。

 しかし、それは2003年に内部統制に関する法令が交付された時点の話です。当時は日系企業の中にも対応を迫られた会社がありましたが、現在では、フランスの上場会社のみが対象となっています。また、上場会社の場合も、日本の内部統制監査制度が求めるほどの厳格なものではなく、実質的に骨抜きになった感があります。このあたりは、理想を追いながらも力関係で政治的に決着したという非常にフランス的な面を見た思いです。

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2007年12月20日

高いのには、ワケがある-2007/08/27

米国の監査報酬は「日本の4倍」
2007年8月27日 月曜日 杉田 庸子
財務・会計  SOX法  FEI  米国  内部統制  監査 
 筆者は1999年から日本で、2004年からは米国で会計監査実務に従事している。この数年間は米国の会計事務所にとって激動の時代であった。米国に渡った最初の年である2004年は、サーベンス・オックスレー(SOX)法に基づく監査報告の適用初年度であった。

 米国の会計事務所は、大手会計事務所のアーサー・アンダーセンの瓦解を経て、エンロンやワールドコムのような不正会計を二度と起こしてはならないとする社会に対する責務を果たすべく、より厳格な監査実務を導入し始めた時期だった。筆者はその変化を肌で感じてきた。

 会計にまつわる環境は、日本においても、この数年の間に大きく変わり、会計監査業界も大きく揺れた。大手の一翼であったみすず監査法人は今年7月に解散し、会計不正にかかわった公認会計士が刑事罰を問われている。

 こうして見ると昨今の日米の会計監査を取り巻く環境は似通っているが、社会からの認知度及び監査報酬など、両国の監査の在り方には大きな違いがある。


こんなに違う監査報酬

 日本公認会計士協会の機関誌「会計・監査ジャーナル」2007年7月号『日米上場企業の財務諸表監査報酬の比較について(青山学院大学・町田祥弘教授)』によると、連結売上高に対する財務諸表監査報酬の割合を日米で比較したところ、監査報酬の格差はほぼ4倍という調査結果が公表された。

 2006年の調査では、売上高に占める監査報酬の割合について調査している。日本の場合、連結売上高が8001億円以上の公開企業では報酬の割合は0.01%だった。これに対し米国では「フォーチュン500」に属す連結売上高1兆円前後の企業では、0.038%の比率だった。

 米国の監査報酬には内部統制監査報酬を含み、現在の日本と一概に対比はできない。そのため上の調査では、米国の会計実務担当役員の国際組織であるFEIが実施した総監査報酬に占める内部統制監査の報酬割合が45%という調査結果を利用し、米国企業に関しては総監査報酬の55%を監査報酬として比較している。

 つまり米国の場合、会計監査の約2倍が内部統制監査も含めた監査報酬の総額になることから、米国市場の公開企業は日本の企業より7〜8倍の監査関係の費用を支払っていることになる。

米国が「高い」のか、日本が「安い」のか?
 米国の監査報酬が高すぎるのか、日本が安すぎるのか。

 本欄7月号「緩和策が具体化した米SOX法」でも触れたように、SOX対応費用があまりにも高かったことは、米国で大きな議論を呼んだ。その背景として、SOX対応のうち40%が監査報酬であること、訴訟リスクに敏感になった会計事務所が非常に厳格な監査を実施し、監査報酬が高額になったことが批判の対象となった。

 米国の会計事務所はSOX法の適用以降、クライアントのコンサルティング業務にかかわれなくなったのだが、コンサルティング報酬の減額を埋め合わせたのは、皮肉なことにSOX法に準拠する内部統制監査とアドバイザリー業務の報酬である。2002年から2006年まで、米国の会計事務所は増収増益を記録した。

 先頃、米国で監査法人を監督する機関であるPCAOB(上場企業会計監視委員会)が監査基準を改定した際に、会計事務所の過剰監査に対して、「制裁条項を盛り込むべきではないか」という議論が行われた。結果としては次期尚早と見送られたが、「監査報酬は高すぎる」という意見が多勢を占める、ということだろう。

 しかし、米国の監査報酬批判の背景には、監査にまつわるリスクの高さがある。米国の会計事務所は経営破綻した顧客企業やその企業の投資家から訴訟を受け、多額の賠償金を支払うことも多い。米ウォールストリート・ジャーナル紙や会計業界のニューズレター「パブリック・アカンティング・レポート」などによれば、この数年間で主だった会計事務所が多額の賠償金を支払いっている。

 例えば、1998年にアーンスト・アンド・ヤングはレンタカーや旅行業などを営むセンダント(Cendant、現エイビス・バジェット・グループ) の不正に関し3億3500万ドルを支払い、2003年にはKPMGが大手ドラッグストアチェーンのライトエイド(Rite Aid)の会計不正に関し1億2500万ドル支払い、2005年にデロイト・トーシュは航空機再保険会社フォートレス・リ(Fortress Re)の不正会計問題で2億5000万ドルを支払っている。

 これらの賠償額は多くは保険でカバーされているものの、保険料の負担も重い。さらに、業務停止となればどんな大事務所であっても営業を続けることはできなくなる。エンロン1社が引き金で大手事務所のアーサー・アンダーセンが瓦解したのはまだ記憶に新しい。厳格な監査を実施しなければ事務所の存続が危うい、という意識が米国の監査人には非常に強い。

 監査の失敗に対して厳しい措置があることなどを考慮すると、一概に監査報酬が高すぎるとは言えないのではなかろうか。


日本の監査時間は短い?

 また日米両国の監査報酬の違いには、監査時間の問題もある。監査報酬は、監査にかけた時間に、1時間当たりの単価を乗じて算出される。日米の監査報酬の差には、時間当たり単価と監査時間の双方が影響していると考えられる。

 特に日本の場合、監査時間が不足している。先の町田教授の論文では、2004年9月に日本公認会計士協会がまとめた「国際比較に基づく監査時間数増加の提言」から、日本と欧米主要5カ国(米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ)の監査時間数の比較調査の結果、売上高1兆4000億円以下の製造業の場合には、監査時間が1.11倍から2.65倍の格差があったとする調査結果を引用し、日本の監査時間は欧米主要5カ国に比し半分程度ではないかと推定している。恐らく主要5カ国の中で、米国は監査時間が最も長いと見られている。

 日米の会計事務所の規模の差には、会計士人口の差がそのまま反映していると言える。米国公認会計士協会(AICPA)の登録会員数は約40万人とされているのに対し、日本の公認会計士人口は2万人弱にとどまる。日米の会計士人口は20倍近く違うのである。

 むろん、日米ともにその全員が会計監査に従事しているわけではないので、大手監査法人の規模の比較でその陣容を比べてみると下の表の通りになる。米国の大手監査法人の人員数や業務収益は日本の10倍以上になる。


■日米の監査従事人員比較日本 提携会計事務所 人員数(2007年3月31日時点) 2005年3月期
業務収入
みすず監査法人 PwC 2375 525億円
新日本監査法人 アーンスト・アンド・ヤング 3832 493億円
監査法人トーマツ デロイト・トウシュ 4212 532億円
あずさ監査法人 KPMG 3703 461億円
あらた監査法人 PwC 1149 -
大手以外も含めた
想定会計監査従事人員 1万6968
公開企業数 4000
公開企業1社あたりの
監査従事人員 4.2
(注)みすず監査法人は2007年7月に解散し、他の監査法人への移管が終了しているが、それ以降のデータがないため2007年1月の公表値を用いている。米国 人員数
(2006年6月) 業務収益(2006年
6月)ドル 円(1ドル=115円
換算
PwC 3万76 69億ドル 7728億円
アーンスト・アンド・ヤング 2万6165 82億ドル 9184億円
デロイト・トウシュ 3万7118 88億ドル 9856億円
KPMG 1万9600 47億ドル 5264億円
大手以外も含めた
想定会計監査従事人員 12万5510
想定公開企業数 1万6000
公開企業1社あたりの
監査従事人員 7.8
(注1)KPMGに関しては2005年9月の公表値を用いている。
(注2)アーンスト・アンド・ヤングの業務収益は北米全体の公表値であり、米国以外の国を含む。



 上述の表では大手事務所の勤務人員が会計監査従事人員の90%と見積もって、日米の想定会計監査従事人員を割り出した。上場企業の数は米国1万6000社、日本は4000社とすると、上場企業1社当たりの公認会計士の数は米国約8人に対して、日本は4人になる。1社当たりの担当会計士数が、単純計算で倍ほども違うのだ。日本の会計事務所に人手不足感が強い理由がうなずける。


インフラ整備も必要

 会計監査従事者の不足が叫ばれる日本では、米国に倣って試験合格者を増やすべき、という議論も活発で、実際会計士試験合格者数はここ数年で2倍以上になっている。だが、ことはそう単純な問題ではない。

 米国と日本では、会計士試験の試験制度が大きく違うが、その背景には米国の大学レベルでの会計教育の裾野の広さ、並びにその後の専門家教育のインフラが整っていることが前提にあり、日本が米国の制度をそのまま取り入れても専門家の質を保つことは難しい。

 米国の会計士試験制度は、2004年度からすべてコンピューターを利用し、ほとんどの設問は択一式で、エッセイ部分は法規集を参照しながら回答できるようになっている。丸暗記よりも、基本的な理解力とエッセイを組み立てる応用力を問う試験だ。試験は1科目ずつ受験でき、18カ月その単位を保持できる。試験は基本的に毎日実施されており、オンラインで予約可能だ。

 一方、日本の公認会計士試験制度では、年1回の統一試験で、短答式試験と論文式試験の二段階の試験を合格しなければいけない。2006年の試験制度改正以降、択一式試験の合格記録及び論文式試験の科目合格記録は2年間繰り越せることとなったが、試験で問われる知識量の多さ、細かさは米国のそれをはるかに上回る。会計士試験合格後1年間は仕事をしながら夜間・休日に実務補修所と呼ばれる研修会に通い、2年間の会計事務所での補修所の終了検定を経てやっと会計士資格を手にするというシステムである。

 米国の合理化された試験制度の前提には会計教育の充実度がある。米国では州によって細則は異なるが、「大学における会計および経営学の一定以上の単位数」と「大学・大学院レベルの学業を終えている」ということが会計士試験を受験する前提である。会計学は大学における専攻としても非常に一般的な課目の1つであり、基本的な会計学を勉強している人の裾野が日本に比べて広いのだ。

 合格後の専門家教育の土壌も日本に比し間口が広い。米国の会計事務所は、大学もしくは大学院で会計学を専攻していた学生を大量採用し、新卒の会計事務所職員は入所後に試験を受験して会計士の資格を取得していく。会計事務所が専門家養成期間としての機能を発揮し、数多くの研修、統一化されたマニュアルおよび監査ツールの使用、上位の会計士による厳しい査閲などを徹底することで、新人職員を専門家に養成する風土が備わっている。上位の会計士の間でも、新人職員の養成が重要な業務であることが浸透している。

 また、人数の多い米国の会計士は、会計事務所で監査・税務にかかわるのみならず、企業の経理部にも多く勤務している。実際のところ、上場企業の経理部長職のほとんどの人が、大手監査法人での勤務経験を持つ会計士であり、最新の会計基準にも明るい。そのような風土ではおのずから高度な会計処理についての意見の交換も活発となる。

 私見だが、日米双方の会計事務所で働いた経験から言って、日本の公認会計士の知識レベルは非常に高く、決して米国の会計士に劣るようなことはない。しかし、日本の会計事務所も組織として大きくなる一方であり、会計監査の質と効率性を保つには、より組織だった専門家教育体制を整えていく必要があると考える。

 日本で今後、会計士の人数を増やすからには専門家育成、その後のキャリアパスの充実といったインフラも同時に整えていく必要があり、会計専門家不足問題は合格者を急増させるだけで片づく問題ではないのである。

日本で健全な資本市場を根づかせるために必要なこと
 米国で監査報酬が高いのは監査の失敗への厳しい措置を鑑みて仕方のない面があると上述したが、日本でも大手監査法人であったみすず監査法人は2007年7月を持って解散するなど、会計監査を取り巻く状況は厳しくなっている。こうしたことを鑑みても、日本の監査報酬が米国の4分の1という状況は改善の余地があると言わざるを得ない。

 報酬を増額させ、人員を強化したら必ず不正が発見できる、というわけではないが、日本の現在の人員では、監査体制が崩壊ぎりぎりである。ここ数年、日本において経験豊富な会計士の不足感は甚だしいものがある。監査報酬も少ない、人手も足りない、ゆえに突貫工事で監査するしかない、という事情だが、会計士の社会的責任が高まっている現状、無理なスケジュールでの監査を実施するのは、会計事務所にとって非常にリスクが高い。

 また、激務の一方で社会からの評価も厳しい現状に失望した若手会計士の離職率も非常に高くなってきており、それがさらなる専門家不足を招いている。監査法人の社員の有限責任制の導入などで個人の会計士へのリスクを減らすことも非常に重要だが、まずは監査に十分な時間をかけられること、それに見合った報酬を受け取ることが大切だ。

 必要な監査手続を実施できるだけの適正報酬額を設定するには、企業および投資家側が会計監査の必然性とコストを理解することが必要だ。従来、日本企業は会計監査への報酬を、財務報告に対する保証料という本来の役割ではなく、決算指導料というように考えていた面があり、監査人もまた、厳しい監査をするよりも会社との関係を良好に保つことを重視し、結果低めに監査報酬が設定されていた経緯がある。

 しかし、本来 監査人は保証業務を行うことで高いリスクをとるわけであり、本来の保証業務への役割期待が高まる昨今、やはり報酬もそれに見合ったものに変わっていくべきだ。また、米国では、特にSOX法施行以降、不適切な財務報告に関し重い責任を負うようになった経営陣は、自分の責任を少しでも軽くするために、会社が厳しい監査に高い報酬を払うことにも抵抗を示さなかったのだが、日本企業の経営者はやはり売上拡大に貢献しない会計監査に高い報酬を払うことには抵抗があるようだ。

 2008年度には内部統制監査報告実務開始、2011年には国際会計基準・米国会計基準との統合をにらみ、会計監査専門家の人手不足感はさらに強くなりそうな風潮だ。健全な資本市場を日本に根づかせるには、会計監査を厳格化することは必須だが、その前提として企業及び投資家側が監査の重要性を認識することも必要だ。

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2007年12月03日

あのM&Aは失敗か成功か-2007/11/26

スカイプの買収では1500億円超の減損
2007年11月26日 月曜日 杉田 庸子
企業  米国  M&A  財務・会計  TOB 
 ここ数年、企業間のM&A(企業の合併・買収)が新聞の紙面を飾ることが日本でも日常茶飯事となった。ライブドア事件や米投資ファンドのスティール・パートナーズがブルドックソースに仕掛けたTOB(株式公開買い付け)など、一連の報道を通じて「敵対的買収」という言葉も当たり前のように聞かれるようになった。

 一方で、その巨額の資本の動きや経営陣の攻防が固唾をのんで見守られるのも買収が成立するまでで、合併後その企業がどのような成果を上げているかまでは、あまり話題にならないようだ。

 しかし、買収の成否は後日、財務諸表の上で顕著に表れることがある。合併から数年を経ずして営業権(のれん)の減損処理が発生した場合だ。営業権の減損処理は、そもそも高すぎる価格で買収した結果か、買収から期待していたような成果が得られていない場合に要求される会計処理である。


イーベイの「高いお買い物」

 この10月、米電子決済大手のイーベイは2年前に買収したルクセンブルクのIP電話会社スカイプに関わる営業権を減損し、2007年第3四半期決算(2007年9月)で13億9000万ドル(約1529億円、1ドル110円換算以下同じ)もの減損費用を計上した。営業権とは、買収金額と取得割合を考慮した買収企業の公正価値との差額のことで、要は「買収先の将来の収益力を期待して払ったプレミアム」のことだ。

 イーベイはスカイプを2005年に25億9000万ドル(2849億円)で買収し、その時点で計上した営業権は23億3000万ドル(2563億円)だった。当初かなり高い収益力を見込んで買収したわけだが、買収数年後、将来キャッシュフロー予測に基づいて事業の公正価値を検討し直したところ、結局60%以上の営業権を減損しなくてはならなくなった。

 これはもちろん、イーベイによる買収後、競合他社の追い上げもあってスカイプの利用が当初予想ほど伸びなかったことなどの市況の変化にもよるのだが、「そもそもオンラインオークションを主力事業とするイーベイがスカイプへの投資を行ったことにシナジー効果がなかったことの表れ」「冷静さを失った高い買い物だった」との批判の声も高い。2年もたたずして買収が失敗だったことを問われる結果となったということだ。


米国では最低年1回、のれんの減損処理の判定をする

 このような状況は特に珍しいわけではない。米国企業は、財務会計基準書第142号「営業権及びその他無形固定資産」に基づき、通常は年1回、及び減損の可能性を示す事象が生じた時点で減損の判定を行う。減損の可能性を示す事象とは、事業計画の修正や見込みの大幅な変更、あるいはマーケットの変動などで、マネジメントにより定期的に見直されることを義務づけられている。

 営業権の減損は、2段階の手続きで決定する。第1段階では、セグメントなど財務の報告単位の公正価値とその報告単位の営業権を含む簿価とを比較する。報告単位の簿価がその公正価値を上回る場合には、減損額を測定するため、営業権減損判定の第2段階に進む。第2段階では、算定された営業権の公正価値と簿価を比較し、簿価が公正価値を上回っている場合には、その超過分を減損として認識する。

 報告単位の公正価値の決定は、主に割引キャッシュフローにより行われるが、これには将来の見積もりキャッシュフロー、割引率、成長率、適切な市場比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積もりを使用する。そのため、マネジメントは外部の第三者の意見なども取り入れながら判断を行うことになる。

 実務上、年1回の減損の判定は、非常に手間のかかる手続きだ。また、減損が発生した場合には、企業規模に関係なく多額の損失を計上しなくてはいけない。合併・買収による売り上げの拡大には、このような課題もついてくるというわけだ。

100億円単位の減損処理が出る例も
 ナスダック上場のコンサルティング会社、べリングポイントは、主に欧州での事業から、2004年には売上高33億7578万ドルの12%に当たる3億9707万ドル(約437億円)、2005年には売上高33億8890万ドルの4.9%に当たる1億6642万ドル(約183億円)の減損処理を実施した。

 同社は2002年から2003年にかけ、アンダーセン・ビジネスコンサルティングやドイツのKPMGコンサルティングなどを買収し、M&A直後には大きく売上高を伸ばした企業だが、結局は買収時に計上した営業権を減損せざるを得なかった。 多額の減損処理の影響もあって、2004年は5億4623万ドル、2005年は7億2164万ドルの税引き後損失を計上している。

 米高級デパート、バーニーズ・ニューヨークの親会社であったジョーンズ・アパレル・グループは、積極的な買収戦略で知られる企業で知られる。ジョーンズは2004年に4億ドル(440億円)で取得したバーニーズ・ニューヨークを、2007年にはドバイ政府所有の投資会社イスティスマールに9億4230万ドル(約1037億円)で売却した。その際、日本のファーストリテイリングもイスティスマールに対抗してバーニーズの買収に名乗りを上げていたことは日本でも報道された。

 バーニーズ・ニューヨークの買収・売却からは3年で100%以上のリターンを得たジョーンズだが、一方で、2001年に取得したノートン・マクノートン・ブランドの営業権などに関しては、2006年に4億4120万ドル(約485億円)、売上高47億4280万ドルの9.3%に当たる額の減損処理を行った。 2006年は減損処理の結果として1億4410万ドル(約159億円)の税引き後損失を計上している。かように活発なM&Aの後日談として巨額の減損処理が行われるのは、枚挙にいとまがない。

 日本企業でも米国基準適用企業は同様の会計処理を行っている。ソニーは2007年3月期、米国におけるブラウン管用ガラス製造子会社における営業権の減損額52億円を計上している。日立製作所も2006年3月期に14億5200万円、2007年3月期には17億4300万円の営業権の減損処理を行っている。

 ソニーの減損金額は2007年3月期の売上高8兆2957億円の0.06%、税引き後利益1263億円の4.1%に当たる。日立製作所の減損金額は2006年3月期の売上高9兆4648億円の0.015%、税引き後利益373億円の3.9%、2007年3月期売上高10兆2479億円の0.017%、税引き後損失328億円の5.3%に当たる。

 これらの企業に関しては減損処理の金額は米国企業に比し控えめと言えそうだが、日本企業でも積極的な買収戦略を取っている企業は多く、日本で企業結合会計基準が採用された今後、営業権の減損は注目すべき項目と考えられる。


日本基準では営業権はまずは定期償却

 日本では、「企業結合に係る会計基準・同注解」が2006年4月1日開始事業年度から適用された。これによってM&Aを実施した際の会計処理は、被合併企業の資産及び負債を時価で引き継ぐ「パーチェス法」を採用することとなり、合併で支払った対価と、取得割合に応じた被取得企業の純資産の公正価値との差額が営業権として計上されることになった。さらに計上した営業権は、米国会計基準や国際会計基準と同様に、必要な場合には減損処理も実施する。

 この改定で日本のM&A会計は米国会計基準及び国際会計基準と基本的に足並みを揃えたが、日本基準は営業権の20年以内の定期償却を行うことも要求している点で、米国会計基準および国際会計基準と異なっている。この点は、会計基準の作成時にも議論が分かれたところである。

 定期償却を行うこととした理由は、主に合併の成果である収益とその対価の一部を構成する営業権の償却によって、費用と収益の対応を可能とすることとされているが、取得した営業権を償却しないことはあまりにも保守的ではない、という考え方が支持された結果でもある。

 一方、国際会計基準及び米国会計基準は、厳密に営業権の要素を規定しており、無形固定資産に当たる部分はすべて分離され、内容に応じ償却計算も行っている。ゆえに、営業権として計上された部分にまで定期償却を行うことはむしろ償却年数に恣意性が混入する恐れがあるため望ましくないとされた。また、償却を実施すると実質的な含み益につながり、後日に対象事業を外部売却することで期間損益の操作が行われることが懸念された。


減損処理は重要な情報開示

 企業結合会計は日本基準の国際会計基準へのコンバージェンス(共通化)においても論点が多い分野で、定期償却の有無に関する議論も2011年6月30日までに解消すべき差異の1つとされている。国際的な企業間の比較可能性を保つという見地で、統一することが望ましいだろう。

 私見では、定期償却の有無にかかわらず、減損処理を厳密に行うことが非常に重要と考える。営業権の減損処理は、合併・買収という大きな経営上の判断に関してその成否を示す重要な情報開示項目だからだ。

 日本では企業結合会計基準の適用からまだ2年ということもあり、近年の大型買収の結果としての営業権の減損処理は話題になってはいない。しかし、今後、そういったケースも出てくる可能性がある。M&Aブームの次には減損処理ブーム、などとならないことを祈りたいところだ。

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オランダ発:法人税率25.5%で決着の裏に日本-2007/10/23

2007年10月23日 火曜日 富永 英樹
企業  グローバル  法人税  法務・税務  財務・会計 
 現在、世界各国の法人税率は引き下げられる傾向にあります。オランダも例外ではなく、2007年1月1日に法人税率を29.1%から25.5%に引き下げました。オランダの法人税率は1998年34.5%であったので、10年近くの間に9%も下がったことになります。

 現在の法人税率の25.5%は、当初は25%とする計画だったのですが、0.5%上乗せする形で決着しました。その背景には、日系企業の存在がありました。

 2006年4月、オランダ財務省の高官は、法人税率を25%にすると公表しました。これは日系企業にとって寝耳に水の形で非常に衝撃的なものでした。なぜなら、法人税率が25%になると、オランダは日本から見てタックスヘイブン国になってしまうからです。


25%以下になると、合算課税されてしまう

 日本の法人税制では、外国の法人税率が25%以下の国をタックスヘイブン国として、一定の適用除外基準を満足しない限り、タックスヘイブンにある子会社の利益を日本の親会社の利益と合算課税するとしています。オランダにある日系企業は、持ち株会社や金融子会社、販売会社が多くあります。これらの日系企業のほとんどは、合算課税の適用除外の基準を満たすことができないため、日本で課税される事態になりかねません。

 オランダは税務の国であり、国際税務の中でも重要な位置づけにある国です。しかしタックスヘイブン税制による合算課税の対象になると、場合によってはオランダに会社を置くことが不利、必要なしということにもなりかねません。

 こうした事情もありオランダ日本商工会議所は、オランダ財務省に対し、法人税率25%の日本企業に及ぼす影響を説明し、税率を引き下げることについて再検討してほしいという強い要望を提出しました。彼らの要望をオランダ政府も真摯に受け止めました。

 オランダ企業誘致局によれば、オランダに進出している海外企業の数は約5000社、このうち日本企業は400社を超えます。また、オランダ中央銀行によれば2005年時点で、日本からのオランダへの直接投資額はストックベースでは全体の約2%の96億8200万ユーロですが、2006年のフローベースでの直接投資額は14億3700万ドルと全体の4割近く占めました。

 仮に法人税の引き下げを契機に日系企業がオランダから拠点を移し、それが日本からの直接投資額を減少させる動きに結び付けば、オランダ人の雇用機会を減少させ、経済に悪影響を与えてしまう可能性があります。オランダにとって日本は大切な国なのです。


何でもありの柔軟性

 オランダは「何でもあり」の国とよく言われます。この意味するところは、オランダ人が、自己責任に根ざした実務的取り扱いを好む実利主義を優先するということではないかと思います。これが法人税率を巡る議論にも表れています。

 法人税率を25%にするという財務省高官の発言は、諸外国からの投資を呼び込むための環境を改善するために打ち出したものです。幹部が一度出した方針をわずかな率とはいえ修正するのは、重要な当事者である海外企業からの要望があったのですが、決して容易ではありません。

 しかし、オランダの当局は非常に柔軟です。私も当時、財務長官ヨープヴァイン氏宛に「25%税率の日系企業に及ぼす悪影響」に関する書簡を送付したところ、驚いたことに2週間後には返事が来ました。

 悪く言えば、その場しのぎの対応にもなりかねませんが、メンツよりも実利を優先する姿勢がそこにはあります。


近い将来、問題が再燃する可能性も

 法人税率25%問題が再燃することは、数年間はないという見方が大勢ですが、中長期的には他国の状況も踏まえ、またテーブルに載る日が来る可能性を否定できません。既に英国、ドイツが法人税率を引き下げる方向性を掲げています。

 またオランダにとっての最大の投資国である米国から、法人税率を下げるよう継続的に要求が出されています。さらにEU(欧州連合)の平均法人税率が25%近くまで下がっている状況の中で、日本のタックスヘイブン税制の税率25%が高すぎるという議論もあります。オランダにある日系企業はオランダが将来タックスヘイブン国になるリスクを踏まえて、対応策を検討している会社もあるようです。一度は解決した25%問題ですが、近い将来、問題が再燃する可能性を否定できません。

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2007年07月29日

「米サブプライム問題」再燃 住宅ローン証券化撤退も -2007/07/26




FujiSankei Business i. 2007/7/26  TrackBack( 2 )




2007年4〜6月期決算を発表する野村ホールディングスの仲田正史執行役兼CFO(25日、東京都中央区の東京証券取引所)


 ■野村HD、4−6月期 312億円損失計上

 野村ホールディングス(HD)は25日発表した2007年4〜6月期連結決算で、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン関連の証券化事業で、312億円の損失を計上した。記者会見した仲田正史執行役兼CFO(最高財務責任者)は「保有債権の売却や証券化を進め、米国でのRMBS(住宅ローン債権の証券化)事業からの撤退を含めて検討する」と述べた。

 サブプライムローン関連の証券化商品に投資している邦銀の業績や財務内容への影響は軽微とみられているが、野村の撤退方針は、同ローン問題の世界的な影響の大きさを浮き彫りにしたといえそうだ。

 野村HDでは、07年3月期決算でも414億円の損失を計上しており、サブプライムローン問題による関連損失は合計で720億円に達した。

 07年3月末時点のサブプライムローン関連の証券化商品の残高は2102億円。証券化や売却を進め6月末で711億円まで圧縮したが、仲田執行役は「5、6月の市場悪化のペースが特に速い。持ち高を削減するペースを上回るかたちで市場の悪化が進んでしまった」と、損失拡大の理由を説明した。

 具体的な撤退時期については、「まだ持ち高があるので現時点ではいえない」としている。

 米国では1990年代後半から、延滞率が低い住宅ローンの証券化ビジネスが活発化、野村HDも2002年に参入した。住宅ローン債権を低価格で買い付けて証券化し機関投資家に販売することで利益を稼ぎ出してきた。野村HDでは、これを契機に昨年から進めている米国事業を採算性の高いものに絞り込む「選択と集中」を加速させる考えだ。

 一方、4〜6月期連結決算(米会計基準)は、投資信託販売募集手数料収入が396億円と四半期ベースで過去最高になったことなどが貢献し、売上高に相当する営業収益が前年同期比84・9%増の3807億円、最終利益が3・8倍の767億円となり、大幅な増収増益となった。
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2007年07月15日

FICOスコア

FICOスコアは次の要素で決まるといわれています。括弧内のパーセンテージはFICOスコアに及ぼす影響のおおよその割合です。

・ 支払い履歴(35%)
クレジットカードやローンの過去の支払い履歴です。支払いを期限以内にしているか、もし遅れた場合は何日遅れたか、支払いが送れているAccount*4がいくつあるか、など個人の支払いの習慣が全て分かるようになっています。支払いの遅れは30日以内、90日以内、それ以上などに分けられ、30日以内の遅れはそれほどスコアに影響しませんが、90日になると大きく影響します。また、支払い遅れの回数も影響します。

いずれの場合でも、毎月、全ての支払いをきっちり行い、それをずっと続けるという、当たり前の事をしていればスコアは悪い影響を受けません。逆にきっちり払ったからといってそれでスコアが良くなるわけでもありません。60〜65%の人はいつもきっちり払ってるのですから、それで差が付くほどではないのです。

・ 借り入れ残高(30%)
幾らお金を借り入れているか、というのも重要な要素です。大きな額を借りている事自体がすぐに低いFICOスコアの原因になるとは限りませんが、いくつものAccount(クレジットカードや分割払いなど)から、それぞれ大きな額を借り入れていると大きく影響するようです。カードをいくつも作ってどれも残高があるとよくないのです。

また、借り入れ限度額いっぱいに借りている場合もスコアが低くなる原因になります。ぎりぎりまで使っているカードが2つ以上あるとさらに悪くなります。借金を次々と別のところでするタイプと判断されると、将来の返済ができないのではないか、と思われるのです。

逆に分割払いの残高が借り入れ金額に対して減っている場合はスコアが良くなります。例えば自動車ローンで1万ドル借りて、8000ドル返して後2000ドルだけになれば、借りた直後よりも点数は良くなります。繰上げ返済などで借り入れ残高を減らせば、借金を積極的に返す姿勢を示すことにもなります。

・ ヒストリの期間(15%)
ヒストリに特に問題がなければ、記録されている期間が長いほうがスコアが良くなります。その期間の間、問題なくお金を管理できている証拠になり、Lenderも安心してお金を貸すことができるのです。また、全体としての記録の長さだけでなく、1つ1つのAccountの期間もスコアに影響します。クレジットカードを次々に乗り換えるよりも、1つのカードをずっと使っているほうが良いのです。また、いくら期間が長くても休眠状態にあるようなAccountは対象にならないようです。

・ 新規のクレジット(10%)
新しくクレジットカードなどを作るとスコアに影響します。特に短い期間の間にいくつもカードを作ったり分割払いを申し込んだりするとリスクが高い、と判断されます。また、Credit Bureau へのヒストリの問い合わせ回数もスコアに影響します。たとえばクレジットカードを申し込むとカード会社はCredit Bureauへスコアを問い合わせます。問い合わせ自体がヒストリとして記録されます。もしあるカード会社で発行を拒否され、さらに別のカード会社に申し込み、そこでもダメでさらに別のカード会社へ・・・ということをすると、問い合わせ回数がどんどん増え、スコアはさらに悪くなるのです。

カードや分割払いを申し込むときなど「あなたのヒストリを問い合わせますが、構わないですか?」と聞かれることがあります。このとき、個人情報を相手が見る、ということだけでなく、スコアに影響していることも意識する必要があります。

・ クレジットの種類と組み合わせ(10%)
どのような種類の借金をしているかは、上にあげた項目の情報が少ない場合には影響してきます。種類としてはクレジットカード、分割払い(小売店や保険)、消費者ローン、住宅ローンなどがあります。全ての種類が必要なわけではありませんが、その組み合わせがアンバランスだとリスクが高いと思われます。できるだけ借金をせず、必要なものだけに限れば、不自然な組み合わせにはなりません。

・ FICOスコアと住宅ローン利率
FICOスコアは住宅ローンが下りるか下りないかを決めるだけではなく、Lenderがどのくらいの利率で貸すか決める材料となります。myFICO.comの表紙のページには、FICOスコアがいくらなら何%くらいで住宅ローンが組めるかが表になっています。必ずしもこの表の通りのスコア区分になるとは限らないようですが、一般に720〜750以上のスコアであれば、一番有利なローン利率となるようです。点数が下がるにつれ、利率が上がります。

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2007年07月07日

KKRも上場申請-2007/07/05

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 中国の出資、増税案の中での上場、そしてヒルトンホテル買収とブラックス
トーンに関するニュースを見ない日は無いほど、その名前は世界中に響き渡っ
ている。そして同社ほどの派手さはないが業界の超名門であるKKRもまた米国上
場に向けての申請を行った。周到に上場準備を行ってきたKKRは、ブラックスト
ーンの上場成功を見て腰を上げたようだ、とFT紙は報じている。

 ブラックストーンの昨年の利益は23億ドルで時価総額は322億ドル、KKRの昨
年の利益は11億ドルであり、PERを同程度の14倍と見れば予想される時価総額は
150億ドル程度となる。そしてKKR以外の他のPEファンドも虎視眈々とIPOを狙っ
ている。金利状況やクレジット不安などが高まりつつある中で取引所に詰め掛
けるファンドの動きを見ると、この業界も一つの転機を迎えたような気がしな
いでもない。

 昨日テレビを見ていたら日本の医療再生ファンドの特集をしていた。ある地
域医療機関を買収したファンドが、医師らに「専門医療」に特化して利益を上
げるよう助言しているという場面を見た瞬間に寒気と吐き気を覚えた。地域に
おける介護も医療も本来ビジネスの発想で行うべきものではない。これは地銀
問題にも通じるものだ。以前の道路問題もそうだが、ファンドの理屈や収益計
算は局部的な尺度でしかない。ファンドに何を求め、何を拒絶すべきか、それ
は資本主義の在り方の再考に他ならない。金融はそこにもう一歩踏み込める存
在にならねばならぬ。

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2007年07月03日

外貨準備は必要か-2007/07/02

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 中国による外貨準備の運用積極化が永田町を強く刺激しているようだ。中国
のみならず、ソブリン・マネーの「戦略化」或いは「武装化」がロシア、産油
国、中南米などに飛び火している。最近の各国による外貨準備対応の特徴は、
「ドル離れ」ではなく「重金主義」への回帰と見るべきだろう。その動きに無
策が得策と無視してきた日本もやや動揺している。

 政府内では外貨準備をどう使うか、白熱した議論があったと聞く。外貨準備
は慎重に保守的に運用すべきだとの従来の立場に対して積極的に運用すべきだ
との意見が目立ち始めているという。だが結論は出ない。愚策の間で納得する
意見が出るはずも無い。ベストな解決は、如何に外貨準備を減らすか、という
点であるべきだからだ。

 外貨準備は一定量は必要だが過剰な残高は国内負債を増やすだけで殆ど意味
がない。金利差が唯一の救いだが、それを積極運用で維持するというのは本末
転倒であろう。過剰な外貨準備は不自然に上昇するドル円市場で売りに回せば
良いだけだ。成熟国に必要な外貨準備量など知れている。円のアジア化でも考
えれば交易決済の必要外貨といった考えも薄まる。外貨準備のポイントは運用
ではなく必要性である。何でも中国の真似をすれば良いというものではない。

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2007年05月29日

原則ベース・規則ベース会計

principles-based accounting
「プリンシプル・ベース」「原則」ベース
原則を決めるだけで、あとは、合理的に判断させる規定。

rule-based accounting
「ルール・ベース」「規則ベース」
これはこれ、あれはあれ、と細かく定める規定。

米国会計基準は、あまりに複雑な「ルール・ベース」の基準


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2006年08月04日

会計共通化へ米欧当局が共同作業、日本の出遅れ懸念-2006/08/04

 【ニューヨーク=藤田和明】米証券取引委員会(SEC)と欧州連合(EU)の証券規制委員会は2日、会計の共通化を目指した共同作業に着手すると発表した。世界の2大市場である米欧の規制当局が歩み寄りへ向け具体的な協議に入り、会計統合の動きが加速する。日本も対応を迫られそうだ。

 国際会計基準を採用するEUに対し、米国は自らの会計基準を持つ。EU企業が米市場に上場する場合は米基準への調整作業が義務づけられ、EU側も米基準を用いる米企業に追加情報の開示を求めている。世界規模で資金調達する企業にとっては、こうした対応が重い負担になっている。
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2006年08月01日

「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の区分

○新基準案では、リース取引をファイナンス・リースとオペレーティング・リースに区分した上で、ファイナンス・リースについては「通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理」(以下、売買処理)を行い、オペレーティング・リースについては「通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理」(以下、賃貸借処理)を行うこととしている。

○ファイナンス・リースかオペレーティング・リースかにより会計処理が大きく異なるため、両者を区分する基準が重要となるわけであるが、その基準は現行リース会計基準から変更されていない。
すなわち、次のいずれも充たすリース取引については、ファイナンス・リースに該当することとなる。

・リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引(解約不能のリース取引)
・借手が、当該契約に基づき使用する物件(リース物件)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引(フルペイアウトのリース取引)

なお、ファイナンス・リースに該当するか否かの判定については、上記の「解約不能」及び「フルペイアウト」の要件に加え、次のいずれかに該当する場合にはファイナンス・リースと判定されるという具体的な判定基準が設けられている。
@現在価値基準
解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額(以下「見積現金購入価額」という)の概ね90%以上であること(以下「現在価値基準」という)。
A経済的耐用年数基準
解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上であること(ただし、リース物件の特性、経済的耐用年数の長さ、リース物件の中古市場の存在等を勘案すると、上記@の判定結果が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く)(以下「経済的耐用年数基準」という)
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2006年07月31日

日本の会計基準、EUが修正要求-2006/07/29

 欧州連合(EU)が日本の複数の企業会計基準について、国際会計基準との間に「特に重要な違いがある」として、金融庁に修正を求めていることが28日分かった。M&A(企業の合併・買収)の会計処理に適用する企業結合会計などが修正要求の対象で、金融庁はEUの要請に応じる意向。会計ルールを見直すと、合併時に含み損の処理を迫られるなど企業活動にも大きな影響が出てきそうだ。

 EUは2008年までにルールの変更を求めている。金融庁は近く、日本の会計基準を作っている民間団体、企業会計基準委員会(ASBJ)にルール変更の段取りを示す「工程表」の作成を要請する。
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2006年07月27日

卸資産の評価に関する会計基準の公表 -2006/07/27

  適用時期は1年遅らせることで決着

2006.07.26 制度調査部 古頭 尚志
【サマリー】
◆2006年7月5日、ASBJ(企業会計基準委員会)は、『棚卸資産の評価に関する会計基準』を公表した。

◆現在、棚卸資産の評価基準は原価法と低価法の選択適用を認めているが、本会計基準の公表により、低価法に一本化されることが確定した。

◆本テーマはIASB(国際会計基準審議会)とのコンバージェンス・プロジェクトの対象項目にもなっており、この作業についても一歩前進したことになる。

◆適用時期については、企業側の事情にも配慮し、公開草案から1年遅らせ、2008年4月以後開始する事業年度からとして最終決着した(早期適用可。留意点については本文参照)。
posted by ルナパパ at 18:50| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 会計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

IASB、新会計基準適用を09年まで凍結-2007/07/27

 国際会計基準理事会(IASB)は24日、策定中の新たな会計基準の適用開始を2009年まで凍結する方針を発表する。利用者の意見を十分に聞かず、拙速に作業を進めているとの批判に対応するためだ。

 IASBは欧州連合(EU)をはじめ世界の約100カ国が利用する国際財務報告基準(IFRS)と、米国や日本の会計基準を統合する作業を進めている。米財務会計基準審議会(FASB)とは08年までに11分野で新たな統一基準を策定し、それ以外の10分野の作業も加速することで合意した。こうした作業で策定される新たな基準の適用を09年まで求めない方針を決めた。

 EUや新興国のIFRS利用国からは従来、頻繁に見直される会計基準に対応するのは困難だとの批判がIASBに寄せられている。IASBとFASBの合意で利用国の懸念はさらに深まった。IASBのデービット・トウィーディー議長はそうした状況に理解を示し、「国際基準を順守するには最新の基準にも従う必要がある。アジアでは翻訳に2−3カ月、新基準として成立するまでさらに5−6カ月かかる国もある」と述べた。

 IASBは、資産と負債の公正価値測定や偶発債務の引当金など、重要な論点について一般からの意見を聞く場を設けることも発表する。

(英フィナンシャル・タイムズ特約)

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2006年07月26日

2008年まで制度変更求めず・国際会計基準でIASB-2006/07/24

 【ロンドン=共同】日本や米国に国際会計基準を早期に採用するよう求めていた国際会計基準理事会(IASB、本部ロンドン)が、これまでの対応を見直し、2008年末までは対象国に制度変更を求めない方針に転換した。24日付の英フィナンシャル・タイムズが伝えた。

 同基準を導入している欧州連合(EU)は、07年から域内で上場する日本企業などに対し、同基準に準じた情報開示を義務付ける方向だったが、「EUもIASBと足並みをそろえ、義務化を先送りする公算」(関係者)という。

 同紙によると、IASBによる国際会計基準は修正が多く、採用は困難との不満が高まっており、IASBは「基準の普及は時期尚早」と判断したという。日本では特別目的会社の開示や海外子会社の会計方法などをめぐり反発が強かった。

 国際基準はEUが05年から採用、日米はそれぞれの国の制度との違いを縮小する作業を続けている。中国は07年から国際基準に準拠した会計制度を導入する方針。
posted by ルナパパ at 10:23| グァム ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 会計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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