2008年05月28日

ニッケル争奪戦と“天国にいちばん近い島”ニューカレドニアの悲劇-2008/05/27

2008年5月27日 火曜日 谷口 正次
環境  資源  ニッケル  中国  ニューカレドニア   ニューカレドニアは南太平洋に浮かぶ島。日本人観光客の人気リゾートである。その東側に位置するウベアという島を舞台にした『天国にいちばん近い島』という小説(森村桂、1966年、角川書店)がベストセラーになり映画化もされてすっかり有名になった。

 このニューカレドニアの本島は細長い島で、その形が鯨に似ているので先住民たちの間には先祖が鯨であったという伝説が残っている。フランスの統治国でメラネシア系の先住民が約40%を占める。島を取り囲む珊瑚礁は、オーストラリアのグレートバリアリーフに次ぐ世界第2位の海洋生態系に恵まれていると言われていた。

 ところが、このニューカレドニアには豊富なニッケル鉱が産するため、150年前からフランスの植民地の主要産業としてニッケルの採掘が続けられ、現在までずっと世界に輸出されてきた。

 その結果、陸地と周辺の珊瑚礁の生物多様性とその生態系は、ニッケル採掘の影響で大きなダメージを受けている。今でも全島19カ所にわたって鉱山が分布する。

 日本は、2000年までニッケル鉱石の約50%をニューカレドニアから輸入していたが、フランスからの独立志向が強い先住民労働者のストライキの頻発などから、出荷の安定性を欠き、2001年以降25%以下に急減してその分インドネシアに振り替わり、インドネシア産が50%を占めるに至った。

 しかし、中国の高度経済成長に伴ってステンレスやバッテリーに使われるニッケル需要が大幅に伸びたため、もともと世界第4位の埋蔵量と生産量をほこるニューカレドニアのこと、生産量では世界第2位のカナダの資源メジャー、インコが2004年から南部で世界最大規模のニッケル鉱山開発を始めた。年間500万トンの鉱石を採掘し、湿式精錬という方法で6万トンの酸化ニッケルと4000トンの炭酸コバルトを抽出する計画である。

 開発はこれまで、数少ない自然破壊を免れてきた地域で行われている。ニッケル鉱石は、もとの岩石が地質学的長年月をかけてラテライトとよばれる赤土状に風化した表層下部に濃縮しているため、地表から20メートル程度の部分を頭の皮を剥ぐようにして採掘が行われる。

 その結果、広範にわたる地表の自然破壊だけでなく雨が降ると赤泥が川を通じて海に流れ出し、海洋生態系を破壊するわけだ。インコが開発を行っている地域は特に豊かな原生林に覆われ、90%以上と言われる固有種の植物や花の特別保護区が設定されているばかりか、鉱山の廃水を海底から放流するパイプの放出口近くにはラグーンと呼ばれる海洋生態系特別保護区が設定されている。

 この鉱山開発に今も反対運動を続けている地域の先住民のリーダー、ラファエル・マプー氏は、「太古の祖先から受け継いできた豊かな森林とラグーンをこのように破壊されるくらいなら死んだ方がましだ」と訴えている。

 反対派の先住民組織はリブ・ヌー(Rheebu Nuu)と名乗り、“先祖の眼”という意味である。それは、鉱山開発が行われているゴロー地区が、伝説で鯨だった先祖の眼に相当するところに位置することから名付けられた。強い反対運動によって開発工事は大幅に遅延しているが、本年度中には生産開始見込みとなっている。

 リブ・ヌーは、2006年4月初めに暴動を起こして、重機械類を破壊し工事は約1カ月ストップした。そのためフランス本国から派遣された軍隊が工事現場に常駐している。彼らはニューカレドニア行政裁判所に工事中止を訴え、その結果2006年6月操業ライセンスが取り消されたが、不思議なことに建設ライセンスが残っているという理由で工事は続行された。

 そこで今度はフランスのパリの大審裁判所(Tribunal de Grande Instance de Paris)に訴え、2006年11月21日、精錬によって発生するテーリングとよばれる廃棄物の堆積場の工事差し止め仮処分決定がなされた。そして48時間以内の工事中止と、中止しない場合1日に付き3万ユーロの罰金が申し渡された。

 しかし、工事は継続されたばかりか、会社側の口頭弁論によって2007年2月2日には仮処分が撤回された。その後、テーリングの堆積場で発生する廃水をパイプラインで海岸から5キロメートル離れた海底から放流するパイプの敷設工事の妨害を行っている。

 陸上のルートには、にわかづくりの家を建てると会社側はルートを変更して工事を強行し、現在は海底の一部敷設の段階まできた。リブ・ヌーたちは漁船を仕立てパイプの撤去を求めている。そして先住民たちが、先祖から受け継いだ聖なる場所を表すトーテムポールを数箇所に立てて抵抗のシンボルとしている。

 この鉱山開発は、当初カナダのインコが行っていたが、同社は2006年10月、ブラジルの鉱山会社で世界一の鉄鉱石生産量を誇るCVRD(Vale)社に約2兆円のキャッシュで買収された。このほか、2005年から2006年にかけて資源メジャーたちが入り乱れて演じたニッケル鉱山会社買収劇は激しいものであった。

 買収を争った企業は、CVRD(ブラジル)、フリーポート・マクモラン(米)、BHPビリトン(英・豪)、エクストラータ(スイス)、テック・コミンコ(加)に対して被買収側の企業は、インコ(加)、ファルコンブリッジ(加)、そしてWMC(豪)であった。

 ファルコンブリッジはエクストラータに1兆9500 億円で、WMC社はBHPビリトンに8700億円で買収された。

 このような争奪戦の最中、ニッケルの国際価格は急騰し、一時1トン当たり5万5000ドルに達し、ロンドン金属取引所の指定在庫は世界の消費量の2日分を切ってパニック状態になり日本は国家備蓄を3度にわたって放出した。現在は2万8000〜2万9000ドルの高値で落ち着いているが、2001年の安値時期には5000ドルレベルであった。日本ではステンレス製のお墓の花立てまで盗まれた。

 ニューカレドニアに限らず、世界の資源豊富な発展途上国の自然破壊の進行と先住民の抵抗そして資源ナショナリズムの台頭など資源供給側の不安定要因がますます大きくなってきている。

 それは中国がエンジンとなっている需要の大幅増加によるところが大きく、スカイロケッティングと表現されるような価格急騰を招いている。

posted by ルナパパ at 20:59| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月25日

欧米人夫妻にもらわれていく中国の女児たち

<A女>の出現が女児遺棄を防ぐという皮肉
2008年4月25日 金曜日 遠藤 誉
中国  A女  重男軽女  一人っ子政策  孤児   今回の話題は、一見、<A女>物語とは関係ないように思われるかもしれない。しかし、<A女>が脚光を浴びるようになったことの意味の大きさをご理解いただくには、中国社会に深い男尊女卑の視点が潜んでいることをまずお知らせする方がいいのではないかと思う。

 <A女>は一見、都市化の進むいくつもの先進国で見られる姿であり、社会問題と言うよりも、「苦笑を誘う」くらいの話、とさらっと受け止められやすい。だが、我々が暮らす日本と中国とは、良い悪いは別にして、社会のさまざまな前提が大きく異なっている。日本と同じ目線で理解しようとすると、さらっとした感覚のまま誤解してしまう危険がないではない。それを避け、中国社会の中での<A女>の相対的位置付けを知っていただくために、あえてこのテーマに切り込んでみた。

 一方で、個別具体的な<A女>のお話ももちろん重要だ。「中国動漫新人類」からおつき合いいただいた方はご存じと思うが、私は直接一次情報に当たらないと納得できない質でもある。そして実は最近、ようやく中国で<A女>の取材に成功し、彼女たちの切々たる思いと悲哀を知ることができた。そちらは次回以降にお話ししよう。

中国に行くたびに見る不思議な光景
 私は1年に平均して数回は中国に行っているが、そのたびにハッとする光景がある。一週間ほど滞在していると、必ずと言っていいほど、ホテルに乳母車を押した欧米系の中年夫妻が大挙して現われるのだ。乳母車の中にいるのは、どこから見ても中国人としか思えない女の子。1歳から3歳程度が多い。

 ときには、もう、愛おしくてたまらないという表情で中国人の赤ちゃんを押し抱いている40代がらみの欧米人女性を見かけることもある。それは長年子供を渇望し、ようやく母性が求めてやまない温もりを胸にした瞬間に持つ、涙ぐむような輝きをたたえた表情だ。隣に立っている夫も、喜びを隠しきれず、赤ちゃんの首を支えるような手つきで、女性の胸深く抱かれている赤ちゃんの頭の後ろあたりに、そっと手を差し伸べていた。

 私が乗ろうとしたエレベーターのドアが開いた瞬間に見たあの二人の姿を、私は忘れることができない。

 こういう姿を数多く見るようになったのは、1990年代の末ごろからだっただろうか。以来、私の脳裏には、「なぜ…?」という、聞いてはならないように思える疑問が消えたことがなかった。

 しかも北京だけでなく、上海だろうと、西安だろうと、昆明だろうと広東だろうと、はたまた長春、大連のような北国だろうと、どこに行っても五つ星級の大きなホテルなら、必ずといっていいほど、でくわすのである。多いときには100名ほど、つまり50組くらいの中年の欧米系の夫婦が集団で中国人の子供を連れている。

 何か不吉なものを感じたのは、そのほとんどが女の子だということである。
 反射的に思うのは、「一人っ子政策」だろう。

不吉さの影にある「重男軽女」の概念
 中国には「重男軽女」(男尊女卑)という、伝統的な感覚がある。社会主義国家になって、男女平等を標榜し、事実、女性も男性と対等に働いてきたが、「重男軽女」という概念が、人々の脳裏から消えたわけではない。特に農村ではこの固定観念が強い。

 2008年4月13日、中国の中央電視台(中央テレビ局)が放映した「奪命鋼針」というタイトルのドキュメンタリーは衝撃的だった。

 1979年、生まれたばかりの自分の子供に、その子が女であるが故に全身に縫い針を26針も刺して殺そうとしたのだが、その女児は奇跡的に死なず、今日まで生き延びた。4年前にX線検査で体内に26本も縫い針が刺し込まれていたことが分かり、今年2月に多くの人々の善意により、ついに最後の一本まで摘出することに成功した、という物語だ。無料で高額の手術を行った病院側の善意が伝わる一方で、そこまで農村部の男尊女卑は激しく根深いのだ、と私は痛感した(この事件の詳細は、さすがに本連載の目的とするところではないので、ここでは省く)。

 中華人民共和国が誕生した1949年以来、男女平等が叫ばれるようになり、たしかに都会では女性も男性と同じように社会に進出して仕事をするということが当たり前のようになっているが、一方ではまた、改革開放とともに、封建的な男尊女卑の感覚が復活し、「何でもお金で買える」という考え方は、逆に性の商品化を産んでしまうような傾向さえある。

 そんな中、子供は一人しか持ってはならないという一人っ子政策が平行したものだから、誰もが、「どうせ一人しか持ってはならないのなら、男の子がいい」と思うようになった。

 その結果、女の子が生まれると、昔は間引きし、その後は遺棄するようになったのである。

 一人っ子政策が実施され始めた初期のころは、二人目の子供を身ごもった場合は、(少数民族以外は)強引に病院に連行して強制堕胎が行われてきた。私はそのころ、中国のバイオテクノロジーの実態調査を行ったことがあり、胎児の臍帯血に含まれる幹細胞の提供に、中国は不足しないという事実にぶつかって、ギョッとしたことがある。しかも、私が調査した中国人民解放軍の軍医系統の大学病院とバイオ基地はつながっていた。

民衆の不満で一人っ子政策は緩和されたが
 このあまりの非人間的な施策には中国の庶民からの不満が集中し、今ではいくらか緩和されるようになっている。農村では第一子が女の子の場合に限って、第二子まで生んでよいとされる地域が増え、また都市によっては(最近では一部の田舎でも)性別にかかわらず、高額な罰金を支払えば第二子を産生むことを許すなど、その地域の事情によって適宜緩和策が講じられるようにはなってきた。

 しかし全体として、一人っ子政策は厳然と存在し、一人っ子を完遂した家庭には「独生子女父母光栄賞」(独生子女とは、一人っ子という意味の中国語)なるものが授与され、さまざまな優遇策が与えられる等の措置もある。一人っ子を実行するということは非常に名誉なことで、政府から讃えられるのである。そこで、一人しか持ってはならないなら男の子を、という願望から、「女の子が生まれたら捨てる」ということが横行するようになったわけだ。

 中国語では「養子(養女)にもらう」ことを「収養」あるいは「領養」というが、1991年12月29日に第7回の全国人民代表大会(全人代)において中華人民共和国主席令(七期第54号)として「中華人民共和国収養法」が成立し、1992年4月1日から実施された。

 これが海外に対して中国人孤児を養子(女)として貰い受けてもいいですよ、ということを宣言した最初の日である。

 斡旋するのは「中国収養中心(センター)」(CCAA)。中国人孤児をもらいに来るのは、ノルウェーとかフィンランド等のヨーロッパ諸国、あるいはロシアからもあるが、8,9割がたがアメリカだ。

 中国の権威ある新聞の一つである「参考消息」は、2006年2月6日付けの報道で、そのアメリカの状況に関して詳細に報じている。それによれば、1992年にアメリカ(白人)の夫婦に貰われていった中国人孤児はわずか206名だったが、2002年には5053名、2004年には7704名で、2005年までには計5万人以上に達しているとしている。

 なぜアメリカが中国の孤児を貰う傾向にあるかを「参考消息」は分析し、その理由として、次の3つを挙げている。

中国の孤児は「重男軽女」(男尊女卑)という伝統的な観念を中心とした社会的な背景により生まれたものであって、決して飢餓とか戦争などによるものでないため、他国の孤児に比べて健康であり、聡明でもある。他の国の孤児は、親が麻薬中毒だったりアルコール中毒だったりすることが多く、子供の心身に悪影響をもたらしている。
中国の「収養」機構は健全で、経費も比較的に安く、手続きが厳格なので安心できる。
養父母志願者の一部は、中国文化に対して一定の理解があり、かつ中国に対して好感を持っている。
 養父母志願者はアメリカ政府により資格要件に関して厳しい審査を経た上で、中国収養センター(CCAA)を通して孤児を紹介してもらう。

 孤児を貰い受けるまでにかかる経費は、往復航空費も含めて、1.5万ドルから2.5万ドル。そのうち3000ドルから5000ドルは孤児院に支払う。

 驚くべきことは、なんと、この孤児の「95%が女児」というデータだ。

 これこそが、約10年間ほどにわたって、明確にしてはならない疑問として私の頭の中を行ったり来たりしていた理由でもあった。この95%という数値を知ったとき、私はようやく合点して、この事実を文字にする気持ちになったわけである。

一人っ子政策が、男女比の狂いを生じさせた
 五つ星ホテルで、いつも見かけてきた光景。それは一人っ子政策により女児を捨てるという結果がもたらしたもので、これは一人っ子政策の災禍の氷山の一角に過ぎない。中には懐妊後、性別が判定できる時期になると、お腹の中の胎児の性別を判定してもらい、「女の子のようだ」という結果が出ると、堕胎してしまうケースも散見される。

 おまけにその判定が、必ずしも100%的中するわけではない。まだ小さいので、みまちがえることがあるのだ。堕胎後に男児であったことを知って、気が狂ったように嘆き悲しむ母親もいる。しかし、非合法で堕胎しているだけに、誤診を訴えることもできない。私の友人の一人は、その後懐妊できない体になり、一人っ子政策と医者を恨みながら、不幸な一生を送っている。おまけに男子誕生を渇望していた夫が、他の若い女性と不倫し、孕ませてしまった。激怒した彼女はすぐに離婚し、今は一人身である。

 ここで押さえておかなければならないのは、こういう性別識別による堕胎手術を行うことができるのは金持ちたちであり、また一部の都市住民のうち罰金を支払ってでも第二子を生むことができるのは、やはりかなり裕福な家庭ということになる。となると、金持ちであるか否かで、どういう形で子供を持つことが許されるかが決まるということになる。市場経済は熾烈な競争社会を生み出し、中国の貧富の格差は深まるばかりではあるが、これはいくらなんでも、道義的には容認しにくいのではないか。庶民の間からは多くの不満が噴出している。

 このようなさまざまな問題をはらみながら、中国の人口は男女比率に異常を来たすようになり、それが遂に表面化するようになった。

 国家人口・計画生育委員会は、2004年7月15日に国務院新聞弁公室で記者会見を行い、中国の全国平均男女比率は現在、男:女=116.9:100であるものの、2020年には3000万人から5000万人の結婚適齢期の男性が余るだろうと発表した。もっとも、ここには出生届けを出さない「黒孩子(ヘイ・ハイズ)」と呼ばれている闇っ子の女の子たちが隠れており、数としておもてに出てこないという側面もないではない。

 それを別とすれば、少なくとも、おもてに出ているデータからすれば、女性が余るのではなく、男性が余るというのである。

 2005年8月24日には、同じく国務院新聞弁公室は『中国性別平等と婦女発展状況』という白書を発表したが、それによれば男女比はさらに悪化し、全国平均で男:女=119.86:100に増加しているという。ということは、全国的に見れば、結婚できない男性が増えるという傾向は、ますます顕著になりつつあるということになる。

 これはまた、なんと歪(いびつ)なことだろう。

都会の<A女>と、農村の結婚できない男たち
 都市におけるホワイトカラーの女性たちが結婚できずに「剰女」などという侮蔑的呼称で呼ばれる一方で、全国的に見たら、極端な「剰男」現象が起きるというのだ。いや、すでに起きている。

 ということは、都市では「結婚できない<A女>たち」が溢れ、農村では「結婚できない男」たちが数千万単位で溢れている、ということになる。

 この男性群、どう考えても、いわゆる<A男>群であるとは思いにくい。しかも農村なので、農民ということになろうか。

 都市の男性は、農村から洪水のごとく入り込んでくる女性群がいるので、それが<B女>以下であっても、前にお話ししたように、「女性的魅力」を持っていさえすれば、結婚の対象となり得る。だから都市の男性が結婚にあぶれるということは少ない。あぶれるどころか、田舎から出てきていきなり成り金になったような男性群は、「二号さん」、「三号さん」を、いくらでも隠し持っている、というのが、中国庶民の常識でさえある。それもまた、権力の証として満喫している男性群もいる。

 かくして、あぶれるのは、都市の「できる女たち」と農村の男性群。農村の中には、若者と子供は男だけしかいないような村さえある。

 これは、どんな社会を生み出していくことになるのだろう。

 人間を経済的状態等の外的条件によって分類するのは適切ではないが、適齢期の男女の結婚対象という価値観から見たときに分類されている「D男」あるいは「C男」たちは、永遠に独身のまま切り捨てられていくことになろう。激しい貧富の格差がもたらす、「貧困にあえぎ、社会的蔑視に遭い、自尊心を傷つけられて生きていく」ことを余儀なくされている男性群が、それゆえに、生涯、結婚することも許されないとすれば、これは中華人民共和国が誕生する原動力となった「農奴の憤怒」と同じエネルギーを潜ませていることになりはしないか。

 今の社会主義国家、中国を誕生させたのは、まさにこの、牛馬のように過酷な労働を担わされ生涯結婚することさえできない境遇に喘いでいた「農奴」の群集の怒りだった。社会主義国家が市場経済的競争を許した今日、今度は結婚できない数千万の「D男」あるいは「C男」たちが、社会の不安定要素として中国政府の脅威となっていくであろうことは、誰の目にも明らかだ。政府転覆というところまで、そのエネルギーが高まる前に政府が抑圧すれば、何のために革命を起こして、中華人民共和国という社会主義国家を誕生させたか分からなくなる、ということにつながる。<A女>物語を深く極めていくと、そんな中国の根幹に関わる問題にまで突き当たってしまうのである。

 救われるのは、というべきか、救われない複雑な気持ちになるのは、というべきか、実は、この<A女>の存在が、女児遺棄に微妙な歯止めをかけ始めているという。

<A女>の存在が、男尊女卑の歯止めになるという皮肉
 女でも、高い社会的地位をゲットし、収入も高い。もちろん結婚しないで子孫がそこで絶えるのは恐ろしいことだが、しかし市場経済の熾烈な競争の中で生き残り、サクセスストーリーを駆け抜けていく<A女>が増えていったということは、「女の子だっていいじゃないか」という気持ちを、若い夫婦たちに抱かせるようになったわけだ。

 中国が経済発展するのは、悪いことではない。しかしその結果、「金こそが全て」という拝金主義的風潮が、価値観を物質的充足に傾かせていることは否めない。

 だから女の子であったとしても遺棄しなくなった、あるいは堕胎しなくなったというのは何とも哀しい。中国の庶民の中には人情に篤い者がかなりいるのだが、しかし、自分が生んだ子を捨てることができる心情と、「女性だって成功し金持ちになれるから女児を捨てなくなった」という、この変化を、どう受け止めればいいだろう。

 女児遺棄が少なくなった理由は、もちろん<A女>の出現ばかりとは限らず、たとえば現在、出産適齢期にある年齢の夫妻たちが、改革開放後に生まれた「80后」(1980年以降に生まれた人たち。80後)、あるいはその頃に物心ついた「70后」(70後)であるため、都市部にはセレブな者が多く、自分の老後の心配をしない者が多くなったということもあるだろう。

 また、日本動漫で育った世代でもあるため、多様な価値観を持ち、「重男軽女」(男尊女卑)といった中国の伝統的な価値観の中にドップリ浸かっているという者も少なくなっている。また、農村では第一子が女児なら第二子を生んでも良いことになったので、農村でも女児を遺棄する割合が昔よりは少なくなったせいもあるかもしれない。

 <A女>の出現以外に、もろもろの因子はあるだろうとは思うが、いずれにしても女児の遺棄が少なくなったことだけは確かだ。ということは捨て子全体が少なくなったことを意味し、孤児院に収容されるべき孤児が少なくなったことを意味する。

一人っ子政策を停止できるだろうか
 そこで中国収養センター(CCAA)は、2006年12月、「中国では孤児が少なくなった」ということを理由に、欧米(特にアメリカ)の養父母に対する資格要件を厳しくする規定を出した。

 その規制内容があまりに厳しすぎるので、アメリカ側から不満の声が上がっているものの、それでも孤児が、すなわち捨て子が少なくなったというのは、好ましいことではある。

 そうでなくとも、結婚できない<A女>や結婚しない「セレブ族」やらが増え始め、次世代は減少していくばかりだ。最近では結婚してもDINKS(Double Income No Kids)を通す都会っ子夫妻が増え始めているため、地方人民政府独自の「計画生育条例」によって第二子をもうける条件を緩和する都市もあるが、しかし、それも焼け石に水。このままいけば、老人ばかりの社会がやってくるのは必然であり、それは目の前に迫っている。

 2007年3月、中国政治協商会議委員であり中国科学院の研究員でもある葉廷芳等、29名からなる「29名委員聯盟」は、一人っ子政策の弊害が余りに多くなり始めたことに限界を覚え、「一人っ子政策を停止せよ」という提案を出し、庶民に熱烈な歓迎を受けている。

 一人っ子世代の結婚問題や離婚問題、職場における忍耐力あるいは親の「すねかじり族」等、一人っ子政策がもたらした災禍は別途じっくり見ていくとして、中国が一人っ子政策見直しに踏み切るのか否か、しばらくは、そのゆくえを静観したい。

posted by ルナパパ at 09:19| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月24日

アジアでのコメ価格急上昇-2008/04/01


商品バブル崩壊説が台頭しているとは言え、トウモロコシや小麦など世界で穀 物価格は急上昇しており、日本でも今月から政府による小麦の受渡価格値上げで 生活に影響が出始めている。2 月の消費者物価指数は 1.0%上昇と約 10 年ぶりの 上昇率となったが、食料品全体でも 1.2%の上昇を示している。但し、その中で も日本の主食であるコメ価格は、農業保護政策の名残もあり 2007 年の過剰生産 を政府が買い上げて価格下落を止めるという特異な構造が続いている。


先物市場のない日本のコメ市場は、JA 全農が予想する市場での販売価 格に基づいて決定される。2007 年産から、一部実勢価格を反映させる形 で農家への支払いを行う制度に変更したとは言うものの、世界の情勢か らは全く隔離されたシステムであることに変わりは無い。だが海の向こ うでは、主な生産国が国内供給を優先させて輸出を禁止する政策を打ち 出した為に、コメの市場価格が他の穀物同様に急上昇し始めた、と FT 紙が報じている。

先週、コメの主要産地である中国とインド、エジプト、そしてベトナ ムがコメ輸出を制限すると発表し、アジア市場に大きな影響を与えてい る。特に最大の輸出国であるエジプトは国内コメ価格の上昇を抑える為 に正式に輸出禁止を決定、輸入に依存するフィリピンが国際市場での買 い付けを始めると発表したことから、1 月には 1 トン当たり 380 ドルで あったタイ産のコメ価格は一気に 760 ドルにまで上昇、コメはアジア社 会を揺さぶる不穏な材料になりつつある。

中国やインドがコメ輸出を制限した背景は、エジプト同様に国内イン フレへの警戒感であるが、輸出を禁じたところで新興国のインフレ傾向 は止まらない。コメだけでなく穀物全体の価格上昇が新興国経済を襲う のは避けられない見通しだ。だがインフレ阻止の為に果敢に利上げする のは新興国政府の望むところではない。新興国のインフレが先進国経済 をどう蝕んでいくのが深刻な問題になりつつある、とFT紙は警告する。

米国市場は、2 月コア PCE 価格指数が前年同月比 2.0%上昇に止まっ たとして、インフレに楽観的なムードを示している。日欧は米国より警 戒的ではあるものの、先進国の生産調整済み物価指数は 3.3%程度に収 まっている。一方で BRICs の同指数は 8.0%にまで上昇しており、これ が全体を引き上げる方向に作用し始めるのは時間の問題だ。コメ価格は その傾向を象徴する一つの要素である。この面からも米国の更なる金融 緩和には大きなリスクが伴うだろう。


posted by ルナパパ at 12:44| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月04日

中国よ、10年後の世界を見定めよ-2008/04/02

経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年4月2日
 今、中国が揺れている。皆さんもご承知のとおり、その原因は「中国の火薬庫」とも言えるチベットでの暴動だ。

 簡単に状況を整理しておこう。そもそもの発端は、今年3月10日、チベット自治区ラサにあるデプン寺の僧侶による抗議デモだ。それが3月14日には大規模な暴動に発展した。事態を重く見た中国政府は鎮圧に乗り出し、多くの死傷者を出した。

 米国の短波放送である自由アジア放送は、以下のように事態を報じていた。いわく、僧侶や尼僧を含む10人あまりのチベット族がチベットの旗を振り、ビラを配りながら抗議活動を行なったところ、中国政府の武装警察が暴力(発砲を含む)で彼らを鎮圧した。そのため数十人の死者を出すに至っている‥‥。

 チベット人民に深く尊敬されている聖職者に対して、国家による突然の暴力。これで現地はパニック状態になったという。またデプン寺からジョカン寺まで300人の僧侶が参加してデモ行進する計画があったが、市中心10キロの地点で武装警察に鎮圧され50人以上が連行されたという報道も見聞した。

 まもなく北京オリンピックを迎える中国当局は、この手の紛争には慎重の上にも慎重を期して当たらなくてはならない。中国当局は「僧侶などの抗議行動はチベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世の一派による組織的行動だ」と非難し、自分たちの行為の正当性を主張している。下手な対応といえよう。実際、オリンピックへのボイコットの声さえも聞こえている。

 また殺りくの兵器は使ってないと言いながら、死者に銃弾の撃ち込まれた跡のあることを海外メディアが報じると渋々認めたりしている。これでは20年前の中国政府に逆戻りだ。また、今YouTubeで世界的に話題になっているのは、チベットからネパールに至る標高5000メートル級の極寒の地で、チベット難民の隊列が中国兵によって狙撃され倒される衝撃的なシーンだ。

 胡錦涛総書記が鎮圧に当たった20年前のチベット暴動の時と今との大きな違いは、こうした“事実”が次々に世界中の衆目にさらされることだろう。新橿ウイグル地区での連鎖的な暴動も中国政府にとっては頭の痛い問題だ。

 インドにいるダライ・ラマ14世(現在はインドに亡命中)は、当然のごとく中国当局の主張を否定した。今後はその反発による更なる鎮圧行動も起こり得る状態だ。こうなると諸外国も中国当局に対して黙ってはいまい。特に人権問題にはうるさい欧州と米国がいろいろと言ってくるのは確実だ。ダライ・ラマ14世は、これから日本をはじめ世界中に旅して自らの関与を否定し、世界の同情を集めることであろう。

 ホワイトハウスの報道官も中国に対して自制を求めている。また多くの人権団体も動くに違いない。なかでも注目したいのは、チベット亡命政府のあるインドでの動向だ。この暴動とその対応を契機にして、インドと中国の関係が微妙になるのは必至である。

世界中に存在する民族独立紛争の火種
 それにしてもチベットに限らず、このような民族独立紛争が後を絶たないのはなぜだろう。英国における北アイルランド、ロシアにおける南オセチアやチェチェン、パレスチナにおけるガザ、イスラエルにおけるゴラン高原など枚挙にいとまがない。

 実は、これらの地域の問題の根源に共通しているのは、「異民族・異文化による統治」だ。そのために紛争は複雑化し、容易なことでは解決を見ない。中国とチベットも同じことが言える。チベットを統治する中国が、漢民族の人間を彼の地に送り込んだことこそが、問題の解決を困難にしている。

 分かりやすいように、北アイルランドと英国の例で説明しよう。

 英国が北アイルランドを併合したのは1801年のことだ。この二つの国では宗教が異なっていた。北アイルランドはカトリック、英国は同じキリスト教でも英国国教だ。英国はその状況を維持したまま、すなわち国教には手をつけずに統治だけすればよかったのだ(併合の是非はここでは措く)。

 しかし英国は人を派遣した。派遣されたのは当然英国国教の信者である。その結果、北アイルランドでは宗教や民族が混在することになった。こうなると、いざ独立しようとしたときがたいへんだ。北アイルランドを手放そうとすれば、統治のために移民した英国人たちをどうするかが問題になる。英国に帰還させようといっても、既に彼らは北アイルランドで200年にわたって地場を築いているのだ。そう簡単にはいかない。

 では北アイルランドに残って、独立後もその地で暮らしていけばいいかといえばそうでもない。これまでとは立場が逆転してしまう。つまり、統治する側、威張っていた側の英国人が、今度は虐げられる側に回ることになるのだ。さすがに、それは英国内の世論が認めない。「同胞を守れないのか」という声が上がり、政情が不安定になる。だから、北アイルランドを手放したくても手放せないというジレンマに陥る。結局、独立運動が起こっても認めることができず、紛争が長引いてしまうのだ。

独立時に複雑な問題が生じる統治方法
 このような事情はチベットや、先ほど挙げた地域も同様だ。そのとき統治する為政者が、違う宗教の人、違う民族の人を送り込むから、独立の機運が高まったときに複雑になる。これが政治的な主義、制度だったらもっと単純だ。ある日、「昨日まで共産主義でしたが、今日からはやめます」と宣言すれば、共産主義から脱却することも不可能ではない。ところが宗教や人種になると、「ある日を境に」というわけにはいかなくなるのだ。

 歴史に「たら」「れば」を言ってもしかたがないが、もしもチベットを統治するときに、中国が漢民族の人間を大量に送り込まなかったら、これほど根の深い問題にはならなかったはずだ。チベット人だけがあの地域に住み、それを中国が遠くから統治するだけというしくみを取っていたら、独立の機運が高まったときに「では、自由にしてあげよう、独立しなさい、明日から君たちは独立国家だ」と送り出すことができただろう。南米やアフリカで独立後に比較的簡単に旧宗主国が退いてこられたのは、送り込んだ人間が比較的少なかったからだ。インド、マレーシア、シンガポールの英国人、インドネシアのオランダ人、フィリピンの米国人などもこれに準ずる。

 ところが、今の状態でチベットの独立を認めたら、これまで統治していた漢民族が逆に虐げられる立場に追い込まれる。中国の国民がそんなことを許すはずがない。「漢民族を守られない北京の政府は何をやっているんだ」と大騒ぎになるだろう。もはや、統治前の状態には戻れないのだ。

 旧ソ連邦の場合にはバルト三国やカザフスタン、タジキスタンなどにも大量のロシア人を(特にシベリア地方から)送り込んでいた。いまこうした国ではロシア人がかなり劣位に追い込まれており著しく不平等な扱いになっている。こうした状態から万一の紛争が起きるのを防ぐためにチェチェン共和国、(グルジアの)アブハジアや南オセチアなどでは自治共和国とはいってもロシア軍が依然として駐在し、治安の維持に当たっている。

チベット暴動の真の理由はいまだ隠されたまま
 話を中国に戻そう。

 今回のチベットでの武力鎮圧については、「中国はやりすぎだ」がまず世界的な共通認識だろうと思う。しかし歴史を振り返れば、中国は常にチベットを激しく弾圧してきた。そのやり過ぎた張本人は、こともあろうに現在の中国の総書記の立場にいる胡錦涛氏だ。彼は、20年前のチベットに起こった独立運動を沈静化するために、多くの人を虐殺した。その鎮圧の功績(?)があってこそ、総書記という今の地位があるのだ。彼らは60年近く前に毛沢東が作り上げた版図を守ることが歴代の総書記の役割と心得ているかのようだ。

 そのことを考えれば、今回のチベットの暴動に対しても、彼は徹底的にやるだろう。もともと中国は、「やらねばならないことは徹底的にやる」「そのためにはどんな犠牲をもいとわない」「原則主義で例外は認めない」という気風がある。その結果、100人、200人の命が失われたとしても、あまり影響されない。そういう主義を持つ人が中国には多いのだ。このまま事態が悪化していけば、中国は世界中から相当非難されることになるだろう。

 今回の事件では不明瞭なことも多い。例えば、暴動の本当の理由もよく伝わってこない。「軍の車が市民に突入したのが契機になった」という報道もあるようだが、確定的な情報ではない。僧侶たち、あるいはチベット族の人たちの不満がいったいどのくらい高まっているのかも分からない。

 実はこの度の暴動と同時期に、甘粛省でもチベット人がデモを起こして、こちらでも死者が出ている。同じチベット人ということで関連づけて見られているが、同時期に違う場所でデモが起こったということは、チベット独立が目的ではなく、政府そのものへの不満、漢民族が経済支配や繁栄のうまい汁を独占することへの反発、という感情的なものがベースにあるのかもしれない。そういう情報が我々のところに届かずに、読み切れないところだ。いずれにせよ、この問題は早期の解決は見込めない。後を引くだろう。

「太平洋2分割支配」を提案した中国軍幹部
 中国のこれからを展望するに、気になるのは国内問題だけではない。中国は現在急成長を遂げ、経済第2位の日本をもあと数年で追い抜こうというところに来ている。その中国は、世界の中でどういう地位に就こうとしているのだろうか。

 それを端的に示す出来事があった。米国のキーティング太平洋軍司令官が中国軍の幹部と会談した際に「空母を開発するから、ハワイから東を米国、西を中国で管理しないか」と提案されたのである。つまり、太平洋を米国と中国で2分割支配をしようと呼びかけたわけだ。キーティング司令官は、その発言を冗談ととらえたようだが、一方で中国軍の戦略的な考え方を示唆しているという見解を述べた。

 まずその中国軍の幹部は、米国の考え方を勘違いしている。そもそもなぜハワイを基準に分割などと言うのか。米国軍の第7艦隊のヘッドクォーター(本部)がハワイだと誤解しているのではないだろうか。

 ご存じのとおり、第7艦隊のヘッドクォーターは日本の横須賀基地である。寄り道として、ハワイやサンディエゴに寄港することもあるが、ヘッドクォーターは横須賀なのである。それはなぜかと言えば、日本が思いやり予算で費用を持ってくれるからという理由はもちろんだが、横須賀が地理的にも管理地域の中央に位置し、中国へのけん制も効く絶好のポジションだからだ。

 そしてその守備範囲は太平洋だけではない。米国の西海岸から中近東までの広大な範囲を第7艦隊が管理しているのだ。まさに世界最強の海軍である。中近東、インド洋全体、太平洋を管理する第7艦隊が、太平洋の西側だけを中国に譲り渡すことがあろうはずがない。

 それを理解していれば、「ハワイを基準に東西分割支配」などというのんきな提案をするはずがないのだ。そういう見識の低い中国軍の幹部がいて、彼らが軍艦に乗って、日本の周りの海を走っていると思うと、ちょっと恐ろしい気がする。それに対して日本政府が無反応なのもうなずけない。横須賀を提供している(あるいは依然として占領されている)意味が分かっていないのではないか、とさえ思える。

10年後、世界にそそり立つ4本の柱
 太平洋2分割支配の提案は、おかしいほど非常識な発言だといえるが、こういうことを中国の人は最近よく口にする傾向がある。21世紀は米国と中国の時代だと考えているのだ。彼らの頭にはもはや日本も欧州もない。

 しかし、その考えは当然誤りである。10年後の世界はどうなっているかを想像してもらいたい。わたしが推測する10年後の世界は、米国と中国に支配されている状況にはない。

 そのとき世界の柱になっているのは米国、中国、そしてインド、拡大ヨーロッパの四つだ。拡大ヨーロッパとはロシアを含んだ欧州のことだ。ユーロランド合衆国として、国家的な存在になっている拡大ヨーロッパである。

 わたしが繰り返し述べているように、EUは東方拡大を続け、プーチンが二度目の大統領を辞める12年後(2020年)までにはロシアまで加盟しているだろう。EUはこれによりエネルギーを手に入れロシアの軍事力をも併せて、米国の3倍の人口と2倍以上のGDPを持つことになる。世界一の超国家となっているはずだ。2番目が米国、3番目が中国、4番目がインド。日本はうまくいけば第5番目の経済大国として残ることができるが、それさえも定かではない。人口が3億〜15億人の巨大な四つの柱が、どーんとそそり立っている。それが10年後の世界である。

 その絵が中国には見えていないのだ。その4本の柱のなかで、中国はどのような位置にあるだろうか。いま急成長を続けている中国といえども、油断は禁物。ロシアとセットになった欧州に比べれば遙かに規模は小さい。だから現在、中国は「いざ、世界制覇せん」という気持ちでいるだろうが、それは“中国 as No.2”ということに酔いしれているにすぎない。それはかつての日本と同じだ。“Japan as No.1”と外国人から褒められて、自分たちのパフォーマンスに酔いしれていた、20年前の日本の姿なのだ。

10年先の後継者を決めた中国とロシア、来年すら見えない日本と米国
 とはいえ、中国は、長いスパンでものを成し遂げられるシステムを持った国であることは事実だ。なにしろ胡錦涛総書記は、自分の後継者として習近平氏を抜擢してしまった。国家副主席の地位を与えたのだから、総書記を引き継ぐのが習近平氏というのは既定路線と言っていいだろう。

 確かに習近平氏は全人代のときに、ライバルと見られていた李克強よりも序列が上になった。そのころから胡錦涛の後継者は習近平氏なのではないかと思われていたわけだが、これほど早く副主席に選ばれるとはわたしも思ってはいなかった。現在は北京オリンピックの責任者にもなっているし、もしかしたらチベット担当として派遣されるかもしれない。そうなれば、まさに20年前に胡錦涛がたどった道だ。

 中国の総書記の任期は5年で2期まで勤められる。胡錦涛はちょうと5年目で2期目に移るところだ。ということは、あと5年は胡錦涛政権、続く10年は習近平政権と、15年先までの展望が見えていることを意味している。中国はこのようなことに手をつけるのが早いのだ。

 ロシアも同様である。プーチンの後は、メドベージェフ氏だ。彼の任期が終わったら、たぶんプーチンが返り咲くだろう。だからこれから12年は事実上プーチン政権である。対して日本などは、今年の終わりにいったい誰が首相の座についているかすら分からない。米国もそうだ。いったい誰が大統領になるのか。まだまだ予断を許さない状況である。

 これからの国を背負う人が誰なのかしっかり決まっている国と、まったく予想のつかない国。そしてEUのようにビジョンとルール(規則)で合意に基づく国作りをひたすら進める超国家の出現。そういう3種類の“国”の違いが、これからの世界を作りだしていく。

 19世紀的な「国民国家論」はもはや当てはまらない。中国もいい加減に新しい国家概念(例えば中華連邦のような緩やかなコンセプト)を生み出さない限り世界を二分することはおろか、大国として指導的役割を果たすことも、先進国として尊敬を集めることもできないだろう。これは、オリンピック以前の大問題なのである。

posted by ルナパパ at 13:53| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月26日

印タタ自動車、英ジャガーとランドローバー買収・フォードから -2008/03/26

 【ロンドン=清水泰雅】インド大手財閥傘下のタタ自動車は25日、米フォード・モーター傘下の英ジャガーと英ランドローバーを買収することで基本合意した。タタ自動車とフォードの交渉に参加した担当者が明らかにした。同日中にロンドン市内で合意書に調印し、26日にも正式発表する見通し。印メディアなどによると買収額は26億ドル(約2600億円)前後とみられる。タタはブランド力をテコに、欧州などで販売力を強化するとともに、技術を吸収する狙いだ。

 印自動車メーカーが欧州高級ブランドを買収するのは初めて。合意書の調印式にはタタグループのラタン・タタ会長と、フォードでジャガー、ランドローバーなどの高級車グループを統括するプレミア・オートモーティブ・グループ(PAG)のルイス・ブース会長が参加する。法的手続きを経て、正式に買収が完了するのは6月の第1週になる見込み。 (07:00)

posted by ルナパパ at 10:26| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月21日

日本の苦悩-2008/02/21

日本の苦悩
Japain
(2008年2月21日)

世界第2位の経済大国はまだ落ち込んだままだ――その原因は政治にある

日本の「失われた10年」の亡霊が米国を覆っている。米国の住宅バブルが崩壊し、その影響が金融市場で実感されるにつれ、よくて急激な減速に直面している先進国にとって、日本のあのひどいバブル崩壊の経験が何らかの教訓になるだろうか、と問うことが流行になっている。1990年の日本の不動産と株式市場でのバブル崩壊は、最終的にはGDPの5分の1に相当する不良債権を発生させてしまった。経済が再び正常に成長し始めたのは、実にその12年後である。そして2005年になって初めて、金融ひっ迫と負債デフレから脱却できたと言えるようになった。今日でさえも、日本の名目GDPは、1990年代のピークを下回っている――失われた機会を示す冷厳な尺度だ。

それにしても、亡霊は人を欺くことがある。当時の日本と、現在の米国との間に、特に金融危機が「実体」経済を危機に陥れるという点では共通点がある。だが、相違点のほうがはるかに多い。日本は確かに心配の種に違いない――だがそれは、先進国が同じような経済的失敗に陥る運命にあるからではなく、日本が世界第2位の経済大国でありながら、根本的な病根の解決に取り組んでいないからだ。

2つの危機の物語

今日もっとも悪く想定したとしても、米国のバブル崩壊は、それまでの発展が目覚ましかった日本のバブル崩壊に比べて、規模は小さいといえる。株式市場での崩壊を例に取れば、米国のスタンダード・アンド・プアーズ500種指数(S&P500)は、1990年のピークに比べて8%低いだけだが、日経平均株価は今でも1989年のピークから3分の2近く下がっている。商業用不動産の比較では、両国間のバブル崩壊の差は同じように劇的である。

だが、もっと重大な差は、両国が崩壊に直面したときにどのように対処したかにある。米国では、住宅ローンを小分けにして証券化した広大な市場への政府の監督が不十分だった、との批判はできる。だが崩壊が起きると、政府は金融や財政的刺激策を果敢に実施した。金融機関は損失の表明に忙殺されている。日本では政府が加担して市場を膨らませ、それに続く惨状についても加担して、何年も隠し続けた。

日本経済は、まだ政治家たちによって足を引っ張られている。1990年以降、かなり変わったとはいえ、周期的な後退が日本の構造的欠陥を露わにしている。数年前までは人々は、日本が――まだ中国を上回る経済大国で幾つかの優秀な企業を持っている――米国が疲弊した後の世界経済の不振の一部を肩代わりしてくれるとの期待感を持っていた。しかし、それは今や期待薄だ。生産性は目が当てられないほど低い。新規の投資に対する収益は米国の約半分。企業が賃金の引き上げをしなかったことで、消費はまだ低迷している。官僚の失策が、経済に多大の犠牲を強いた。日本は、これ以上経済面で失望を与えないためにも、貿易と競争力の面で一連の改革を実施する必要がある。

自民党は過去半世紀の大部分を支配してきて、まだ利益誘導の仕掛けとして残っているが、これらの問題に取り組むことを放棄してしまっている。せっかく一匹狼の小泉純一郎が首相をしていた2001年から2006年にかけて改革への取り組みをしていたのに、元に戻ってしまった。さらに悪いことに、昨年7月に野党の民主党が参議院を制してしまった。憲法は国会の衆参両院で違う政党が過半数を占めることを想定していなかった。参議院は衆議院と同等に近い力を持っていることから、野党は事実上、政府が上程するほとんどの法案を廃案に持ち込むことができるのだ。

その結果、福田康夫首相は、9月に就任してからの最初の4カ月間を、インド洋で行動する1隻の給油艦に再度権限を与えるために費やしてしまった。今、政府は、4月から始まる来年度予算の法案を成立させることと、3月19日に新日銀総裁を指名するために、民主党との間の身を削るような戦いを展開している。

しかし、問題は単に憲法上の事だけではない。日本は極めて不安定な状態に陥っている――もはや一党支配の国家ではなくなったのに、ライバル政党が政権を交替する競争的な民主主義体制というには程遠い。2つの主力政党はともに矛盾を抱えて分裂状態だ。双方とも改革派がいる一方で、白髪で古参の守旧的な保守主義者や社会主義者を内包している。政治的混乱が、自民党内の旧勢力――派閥、保守的官僚、建設業者、農家――に再び影響力を行使させている。その一方で、民主党の指導者、小沢一郎は、かつては改革者としてのおもむきはあったのに、今や自民党の古いタイプのボスのように見える。

日本の政治は、ちょうど列車が緩衝器に向かって滑っているような状態である。衝突は、予算の意見の相違をめぐり早ければ3月にも訪れるだろう。それを避けるためには、一部の政治家が考えるように、昨年11月に福田氏と小沢氏が話し合った「大連立」のような形を、自民党と民主党との間で作ることが1つ。この計画は、民主党の他のリーダーたちが正しくも反対したため葬られた。連立が組まれていれば事実上、日本を一党支配国家に戻し、経済の改革を実施するというより大盤振る舞いをする結果になっただろう。

「洗濯」のいい機会

それでも、緩衝器は日本にとってもっとも居心地がいいのかもしれない。あるいは、総選挙――恐らく1度では済まないだろう――という選択がある。そうなれば政党は自分たちの矛盾の解消に取り組まざるを得ず、有権者も、利益誘導を競う候補者でなく真の選択をする機会を与えられる。

かすかな望みがある。改革派の政治家、学者、ビジネスマンたちが、超党派で結成した圧力団体「選択」(選ぶという意味と十分に物をきれいにするという意味の「洗濯」が含まれている)である。彼らは根本的に分権化を求めている――地方の政治家が東京の利益配分者に取り込まれている頭でっかちのシステムの分権化を。また、主要政党が理路整然としたマニフェストに基づく選挙運動を展開すべきだと考えている。そうしたことにあまり頭を煩わせたくない一般の日本人に対して、無用の高速道路や橋――破綻した政治の目に見える病状――で地元を覆いつくそうとする政治家たちに投票することの間違いを省みるように求めている。

多くの政治家は、総選挙は混乱に拍車をかけるだけだという。それは、破綻した制度の中で肥え太った政治集団の議論にすぎない。選挙民には物事を正す機会が与えられなければならない。その結果が混乱ならば、それもよかろう。

posted by ルナパパ at 10:00| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月08日

08年版世界長者番付、バフェット氏が首位・新興国出身者が躍進 -2008/03/06

 米経済誌フォーブスが5日発表した2008年版の世界長者番付で、昨年まで13年連続で首位だった米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が3位に陥落した。首位は著名投資家のウォーレン・バフェット氏が2位から浮上。日本人では森トラストの森章社長(124位)が最高で、ロシアや中国など新興国出身者の躍進が目立った。

 番付は2月11日時点の保有資産の時価総額を基に算出した。10億ドル(約1000億円)以上の資産保有者の総数は1125人と初めて1000人を超えた。国別では米国が469人で首位だが、ロシアが87人とドイツ(59人)を抜き2位になった。

 日本は前年と同じ24人で国別では10位。前年に日本人首位だったソフトバンクの孫正義社長は前年の129位から201位に下げた。同誌のスティーブ・フォーブス会長は5日の会見で、「日本は失速している」と指摘。「企業は積極的に活動しているが、(税制など)政府の政策に問題があるのではないか」と語った。(ニューヨーク=小高航) (11:04)

posted by ルナパパ at 08:37| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月05日

クジラの肉は牛肉より環境に優しい=ノルウェー活動家-2008/03/05

 [オスロ 3日 ロイター] ノルウェーの捕鯨推進活動家は3日、捕鯨が畜産よりも環境に優しいことが調査を通じて分かったとし、クジラを食べることが地球を救うことにつながるとの見解を示した。

 捕鯨船の燃料消費に焦点を当てた同調査では、鯨肉1キロ当たりの温室効果ガス排出量は1.9キロであり、牛肉の同15.8キロ、豚肉の6.4キロ、鳥肉の4.6キロに比べて少ないと指摘。「牛肉の食事1回分による温室効果ガスの排出量は、鯨肉の食事8回分に相当する」としている。

 北極圏沿岸地域を代表する捕鯨推進団体ハイ・ノース・アライアンスの関係者は「他の種類の肉との比較では、地球のためにできる最善策がクジラの肉を食べることであることが分かった」と述べた。

 一方、環境保護団体グリーンピースは、肉に比べればほぼすべての食べ物が環境に優しいとし、この主張を否定している。

posted by ルナパパ at 10:55| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月30日

全席ビジネスクラスの米航空会社、原油高と競争激化で破たん 2007/12/25

 【シカゴ=毛利靖子】米新興航空会社、マックスジェットは24日、米連邦破産裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。全席ビジネスクラスを売り物に、2005年に運航を始めたが、原油高と競争激化で採算が悪化し、資金繰りに行き詰まった。

 同日、ニューヨーク―ロンドン線など全路線の運航を停止した。多数の旅行客がクリスマス休暇中の運航停止で立ち往生しており、米コンチネンタル航空などが代替輸送する。

 ジェット燃料価格が1年で約1.5倍に跳ね上がるなか、主力とする大西洋路線で米航空大手との顧客争奪戦が厳しくなっていた。

 08年1月初旬からは米中西部に本拠を置くビッグ・スカイ航空も運航を取りやめる予定で、原油高の波紋はさらに航空業界に広がりそうだ。

安価な料金水準を前面に出したが、航空大手の便数の多さ、空港ラウンジ利用の特典など多岐にわたるサービス提供に客を奪うことは出来なかった。
posted by ルナパパ at 07:54| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月07日

メキシコ人富豪、長者番付でB・ゲイツ氏抜き首位に-2007/07/06

15:28 JST

関連記事
パキスタン大統領の搭乗機に砲撃、政府は「事実無い」と否定
北海ブレント原油、75ドルに上昇
タイ憲法起草委員会、新憲法の草案を承認
関連記事一覧
| 記事を印刷する [-] テキスト [+]
 [メキシコ市 2日 ロイター] メキシコの富豪カルロス・スリム氏が保有資産で米マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報 , レポート)のビル・ゲイツ会長を抜いて世界首位になったことが明らかになった。スリム氏の資産は推定678億ドル(約8兆3000円)で、ゲイツ氏を約8億6000万ドル近く上回るという。

 メキシコ人の金融資産に詳しいオンライン金融情報出版Sentido Comunが2日報じた。

 今回のスリム氏の資産増加は、同氏が保有する中南米最大の携帯電話会社アメリカ・モビル(AMXL.MX: 株価, 企業情報 , レポート)(AMX.N: 株価, 企業情報 , レポート)の株価が3─6月の間に27%上昇したことが背景という。

 米フォーブス誌の4月の発表では、スリム氏は米著名投資家ウォーレン・バフェット氏を抜いて2位になったものの、首位のゲイツ氏には及ばなかった。



 メキシコは貧富の差が激しく、一部の富裕層が富の大部分を掌握する一方、国民の約半数は1日当たり5ドル未満で生活している。

 

posted by ルナパパ at 01:04| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月03日

米連邦最高裁、学校の差別是正措置を違憲とする判決-2007/07/02

2007年06月29日 05:25 発信地:ワシントンD.C./米国
関連写真 1枚

ワシントンD.C.の連邦最高裁判所前で、スローガンを叫びながら行進する「積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)」の支援者(2003年4月1日撮影)。(c)AFP/Robyn BECK



【6月29日 AFP】連邦最高裁判所は28日、学校は人種ごとに学生数を確保するための措置をとることはできないとする判決を下した。これは、いわゆる「積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)」に大きな打撃を与えるものとなった。

 白人と黒人がほぼはっきりと住み分けられている2つの町の保護者は、学校が入学許可を与える際の選考基準について争っていたが、裁判は5対4で保護者を支持する判決を下した。

 一方学校側は、家から遠くなる場合があったとしても、人種の多様性を確保するために学生はさまざまな学校に割り当てられるべきだと主張していた。

 連邦最高裁のジョン・ロバーツ(John Roberts)長官は、「その学区は立派な目標を模索していたのかもしれないが、目標達成のために自由に人種差別できるということにはならない」として、保護者の訴えを支持した。(c)AFP



posted by ルナパパ at 11:24| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月21日

コムスン不正-2007/06/15

こうした介護保険の現状を知れば、制度を変えない限り、第2第3の
コムスンが現れるのは自然の流れ。


コムスンと折口雅博会長を糾弾し、社会的制裁を加えれば、すべて丸く
収まるのか。福祉でぬれ手であわを狙い、老人を食い物にしていたなら、
話は単純だ。
しかし、コムスンの訪問介護分野は利益面で振るわず、ワタミに「老人
ホームには関心があるが、訪問介護はいらない」と言われた。業界2位
のニチイ学館は「24時間体制を全面的に引き継ぐのは無理だ」と語っている。
そもそも介護事業には、まっとうにやって利益を上げられる仕組みが
備わってないふしがある。厚生労働省が06年度に、介護保険会計の
健全性を維持するためとして業者への介護報酬を引き下げたせいと指摘
する関係者は少なくない。
毎日新聞 6月15日
__________
佐々木の視点・考え方
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
★折口氏に初めてお会いしたのは、グッドウィルのIPOの時。
フェラーリを泊め、おもむろに会議室にやってきた氏はロレックスやら
金ぴかのアクセサリーをじゃらじゃらさせて椅子に座り、携帯電話を
開いてテーブルの上に置いた。

その時は空売りとかは出来ないルールだったので、この時点で、私が
この会社に投資する事はないと痛感した。

この会社に何が起ころうとも、私にとっては不思議ではない。

また、業界大手のニチイ学館の施設を見学に行ったときも、「こんなに
介護のことが分からない経営陣で大丈夫かな」と思ったものだ。

介護大手事業者が、介護事業経営についてはあまり明るくないのは事実。

★介護事業経営に素人という意味では厚生労働省も負けてはいない。

介護保険がスタートして7年目。制度への認知や理解も次第に高まった。
自己負担が少なくて、介護支援が得られるのだから、なるだけ活用
したと思うのは自然の流れ。給付支出は順調に伸びている。

しかし、こうした流れを計算できなかったのが厚生労働省。
全額自己負担介護時のデータで将来予想していたから、介護保険の採算
が全く合わなくなった。民間の保険に当てはめれば、いつ倒産しても
おかしくない状況になっている。

そこで慌てて給付支出を抑えにかかった。

支出削減のポイントは2つ。

・老人ホームなどの介護施設の増加を食い止めること。

施設が1つ出来るたびに1箇所に給付する金額がぐんと増えるので、
施設を増やさなければ給付支出も伸びずに済むというわけ。

この施設増設禁止の大義名分として、「自宅で介護するほうが人間的
だし、要介護者も安心して生活できる。」だから、厚生労働省は施設
介護より訪問介護に注力するとした。

・2つ目は介護給付の単価を下げること。

介護保険新設当初は、新規の事業者を参入が沢山無いと、制度を作った
同省の面子が立たないから、給付単価も高く設定して「儲かるよ」と
アピールした。

数年経って、事業も安定してきたからには、もともと高かった単価を
下げるのが規定路線。この結果、多くの訪問介護事業者の採算が悪化した。

経済合理性を考えれば、訪問介護は施設介護の数倍もコストがかかる。

要介護者は地域に散在するので、1時間の介護をするのでも、ヘルパー
が要介護者宅に往復するのに片道1時間、往復2時間かかれば、1時間
の介護にヘルパーを3時間拘束することになる。

しかも、1ヘルパーは12時間労働でも4人の介護しか出来ない。

この3時間に5千円弱の介護費を払ったら、時給は1500円。この
うち半分は介護者の時給に、半分は事業者経費に払うわけで、儲かり
ずらない商売なのは一目瞭然。

これが施設介護なら、1つの部屋やフロアーに何人、何十人も要介護者
がいるから、一人のヘルパーで1日に何十人もの介護が出来る。

同省の訪問介護重視の介護保険運営は、経済合理性を無視したもので
金が有り余っているのでもなければ、破綻するのが必定。

こうした介護保険の現状を知れば、制度を変えない限り、第2第3の
コムスンが現れるのは自然の流れ。

しわ寄せは必ず要介護者に行く。

★一方で、もし家族の一人が要介護になった時を考えれば、現在の介護
保険が頼りにならないのが現実。家族の誰かが支えなければいけない。

しかし、現在の在宅看護は厳しい。昔なら、介護期間は長くて2年
だったが、現在では医学の進歩で10年20年はざらになっている。

子育てならだんだん成長するのだが、介護はこれと違って、だんだん
悪化するため、気がめいるし、体力的にも持たない。調査によれば
介護者の4分の3は心や体に問題が生じている。

では、カップルと4人の親の6人のうち誰かが要介護になる確率は
9割近くに達する。つまり、50過ぎれば必ず誰かを介護する必要
があるというのが実態。

家族に負担をかけたくないと思うなら、自費で24時間在宅介護を
受ける資金と家を準備するか、姥捨て山介護で無い、まともな介護
サービスしてくれる優良有料老人ホームの入居費&月次運営費を
予め準備しておくのが現在の常識なのだ。
posted by ルナパパ at 14:09| グァム ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月14日

人身売買報告書、日本は監視国リストから外れる-2007/06/13



<解説>
米国務省は、人身売買や強制労働の実態に基づいて、世界
164ヶ国と地域を4段階に格付けした07年版の報告書を
発表した。

中国や東南アジアの女性による売春が問題視される日本は、
昨年同様、「第2分類」(2番目のランク)に位置付けられ、
監視対象国の指定を免れた。(日本は04年版で監視対象国
リストに入っている)

インド、中国、ロシアは、3番目のランクにあたる「監視国の
分類」に入れられ、北朝鮮やミャンマー、イラン、サウジアラ
ビアなどの16ヶ国が、米政府の制裁検討対象となる「最低の
ランク」に位置づけられた。




■今日のキーワード■   人身売買
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

⇒ 強制労働や性的ビジネス、臓器移植、養子など、自由な
意思に反して、人が移送されたり、金銭で売り買いされること
を指す。

2003年、国連で人身売買禁止議定書が採択されると、日本
でも、05年に国会で改正刑法の一部として承認された。

改正刑法では人身売買罪が創設され、人を買い受けた者には
3ヶ月以上5年以下の懲役、人を売り渡した場合は1年以上
10年以下の懲役とされている。
posted by ルナパパ at 13:26| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

米の人身売買報告書、日本の外国人研修制度に言及-2007/06/13

 【ワシントン支局】米国務省は12日、世界各国の人身売買に関する年次報告書を発表した。不正な低賃金労働が問題になっている日本の「外国人研修・技能実習制度」に言及し、「強制労働の状況下に置かれている労働者がいるとされる」と指摘した。

 報告書は164カ国を人身売買への対策の進み方に応じて3段階に分類。日本はロシアを除く主要7カ国で唯一、「対策が不十分」の第2段階にランクしている。アジアや東欧諸国などからの性産業関連の人身売買の目的地になっており、政府の取り組みも不足しているとしている
posted by ルナパパ at 12:11| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月09日

出生率6年ぶり上昇、結婚・出産増えて06年は1.32−厚生労働省発表-2007/06/06

2007-06-06 06:06 (New York)


【記者:上野 英治郎】
6月6日(ブルームバーグ):女性1人が生涯に生むとされる子供の数を示す合計
特殊出生率が2006年に1.32と6年ぶりに上昇したことが6日、分かった。景気回復
を受けて結婚・出産数が増えているのが背景で、低下を続けていた20歳代が上昇に転
じている。

厚生労働省がこの日発表した人口動態統計(2006年)によると、2006年の合計特
殊出生率は05年を0.06ポイント上回った。39年ぶりに大きい上昇幅で、02年(1.42)
以来4年ぶりの水準になる。20歳代に加え、30−34歳が再び上昇に転じており、19
歳以下と45歳以上を除く各階層で出生率が上昇した。

06年の出生数は109万2662人と、その前の年より3万132人増えた。結婚件数
は73万973組と同じく1万6708組増加した。

合計特殊出生率は2005年まで5年連続で過去最低を更新していた。政府は少子化
対策として担当相を任命しており、表面上は効果が出てきた形になる。

厚生労働省は「出生率の水準は依然として低いが、6年ぶりの上昇であり、少子
化対策などにより引き続き上昇することを期待している」(統計担当の村山令二氏)と
述べた。人口を維持するには出生率2.10が必要とされており、少子化対策は引き続き
必要になる。

  国別出生率は、米国2.05(05年暫定)、フランス2.01(06年暫定)、ドイツ1.36
(04年)、シンガポール1.25(05年)、韓国1.13(06年暫定)などとなっている。

--Editor: Ozawa
posted by ルナパパ at 22:45| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

BlackBerry中毒患者の不安な一夜-2007/05/22

Mara Blumenthalさんは火曜の夜、ある願いを口にしてからベッドに入った。「どうか、どうか朝起きたら、『BlackBerry』が動くようになっていますように」

翌朝、彼女はクリスマスの日の子どものようにベッドからはね起き、BlackBerryを手にとってみた。BlackBerryは、いつもベッド脇のナイトテーブルの上の、手の届くところに置いてある。「ちゃんと元どおり動いていて、本当にほっとしました」。シカゴで技術コンサルティング会社を経営する Blumenthalさんは、そのときの心情を語った。

Blumenthalさんの願い、そして、そのほか何百万人というBlackBerry愛好者の願いは聞き届けられた。米国時間4月17日火曜日の午後8時ごろ、BlackBerryのWeb接続とメールのサービスが使えなくなったが、BlackBerryのメーカー、カナダのResearch In Motion(RIM)は一晩で不具合を修復した。電話サービスに問題は起こらなかった。

■関連記事リンク
・In Pictures: Celebrity Cellphones

(写真で見るセレブのケータイ)

・In Pictures: World’s Most Expensive Cellphones

(世界の最も高価なケータイ)

・In Pictures: America’s Most Wired Cities

(最もネットが便利に使える米国都市)

・In Pictures: Smart, High-Tech Clothing

(写真で見るハイテク衣料)

・In Pictures: Coolest Wireless Gadgets

(写真で見るクールな無線機器)

・In Pictures: Is your Blackberry Ruining your Sex Life

(Blackberryのお作法)
こうした事態を受けても、市場の評価は堅調でRIMの株価はおよそ2%上昇した。投資家は動じなかったようだ。サービス停止が同社製品の需要に何らかの悪影響を及ぼしそうなようすは、ほとんど見られない。

しかしBlackBerry中毒を自認する人々にとっては、たとえ2〜3時間でもBlackBerryが使えないというのは、忍耐の限度をほとんど超えていたと言っても過言ではない。「昨夜は不安でたまりませんでした。完全なパニックとは言わないまでも、それに近い状態でした」とBlumenthalさんは話す。彼女はいつも、BlackBerryで自分の仕事と社会生活を管理している。

BlackBerryに対する彼らの依存度、それが使えなくなったときの彼らの孤立感は、そうした電子機器の中毒になっていない人には、異常に思えるかもしれない。Blumenthalさんはこう説明する。「こんなにどうしようもなくて誰の手にも負えない世の中ですけど、BlackBerryを使うと自分で何かをコントロールしている感覚が持てるんです。安心できます。人がこれの中毒になるのは、そのためです」

BlumenthalさんのBlackBerryとのつき合いはおよそ1 年半前に始まった。いつでもクライアントの問題に対応できるように、と考えてBlackBerryを購入したときからだ。だが、すぐに自制が失った。いまは、何ものもBlackBerryと彼女の仲を裂くことはできない。BlackBerryを使ってメールをし、インスタント・メッセージのやり取りをし、ネット・サーフィンをする。「わたしは、いつもこれと一緒です」とBlumenthalさんは言う(彼女が、「それは、いつもわたしの手元にある」というような言い方をしない点に注意。もしかしたら、これが、こうした人たちの中毒症状を知る鍵かもしれない)。

Blumenthalさんは、レストランで食事をしているときでも、ウェイターが勘定書を持ってくるちょっとした合間にBlackBerryをチェックする。夜、ベッドで寝返りをうってはチェック。バケーションで船旅を楽しんでいるときでさえ、少しでも受信可能なところはないかと船上を走り回る。「本当にもう自制が効きません」と、Blumenthalさんは話す。

RIMに取材を申し込んだがコメントは得られなかった。だがRIMはサービス障害について声明を出し、問題の原因はまだ特定できていないとしながらも、「根本的な原因は現在調査中だが、大半の顧客に対するサービスは一晩かけて復旧させた。そしてRIMは現在、通常のサービス状態が維持できるよう、システムを厳しくモニターしている」と述べた。同社には現在、800万人を超すサービス契約者がいる。

最初のうち、多くのユーザーは、問題がこれほど大きなものだとは思っていなかったようだ。通常のトラブル・シューティング手順、すなわち機器の電源を入れ直してみて、それでも直らないため各自のサービスプロバイダに連絡する、という手続きをとったという。

Ivan Williamsさんは、18日の早朝6時に職場に到着して早々に、BlackBerry中毒患者たちの怒りのとばっちりを受けたという。Williamsさんは、アトランタにあるEngle Martin and AssociatesでIT担当の仕事をしており、自身もBlackBerry中毒を自認している。17日の夜遅くまでシステムをインストールしていて、BlackBerryはチェックせずに寝ようと決めた。そんなことをすれば、さらに遅くまで寝られなくなることが分かっていたからだ。翌朝、彼が職場に着くと列ができていて、同僚たちがイライラしながら、自分のBlackBerryの何が悪いのかと口々に尋ねてきた。

Williams さんはみんなに、もう1度電源を入れ直してみるようにと言った。問題は解決せず、今度は彼のオフィスの電話が鳴り始めた。Williamsさんはニュースを見て、自分の会社のサーバーが悪かったのではなく、問題はもっと大きかったことを知った。そして、これ以上質問攻めで悩まされないよう、ニュース記事へのリンクを同僚たちに配布した。

BlackBerry中毒患者たちは、「サービスが中断してもかまわない時間帯など存在しないが」と前置きしたあとで、障害が起こったのが東海岸の夜だったため、集団パニックが起こるような事態は避けられたと話す。というのは、多くのユーザーはすでに帰宅していて、自宅のパソコンからメールのやり取りができたからだ。

「もし障害が起こったのが昼間だったら、みんなのパニックもっと大きかっただろう」とKevin Michaluk氏は話す。同氏は、、BlackBerry愛好者サイトの「CrackBerry.com」の創設者だ。「わたしは、この障害を、完全オフの時間と受け止めた。夕食のバーベキューを楽しんで、そのあともゆったりと時間を過ごした」とMichaluk氏は語った。

posted by ルナパパ at 12:47| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月15日

「スタートレック」俳優らの遺灰、宇宙葬後回収されず-2007/05/15

13:21 JST


| 記事を印刷する [-] テキスト [+]
 [フェニックス 10日 ロイター] 米人気SFテレビシリーズ「スタートレック」で宇宙船の機関長「スコッティ」役を演じたカナダ人俳優、故ジェームズ・ドーハンさんらの遺灰が先月末に米ニューメキシコ州からロケットで宇宙に打ち上げられたが、その後行方が分からなくなっている。

 打ち上げを担当した商業ロケット打ち上げ会社の米スペース・サービシズ社が10日に発表した。

 同社によると、遺灰を積んだ電柱ほどの大きさのロケットは、パラシュートで地上に降りてくる予定だったが、予定されていた場所での回収ができないままだという。

 電話でロイターの取材に応じた担当者は、「(回収予定地の)地勢が山岳地帯で、その場所に行くのに時間がかかるためだと思います。追って回収されることを確信しています」と語った。

posted by ルナパパ at 23:02| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月12日

「No.1富豪」張茵・玖龍紙業社長に聞く -2007/03/14




FujiSankei Business i. 2007/3/14  TrackBack( 0 )







 ■クズ紙を宝の山に

 □庶民感覚でチャイナドリーム

 北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)で「物権法案」採択が秒読みとなるなど、資本主義経済に向けた動きが加速する中国で、富豪たちの存在感が増している。昨年の長者番付で個人資産270億元(約4185億円)で中国トップになった女性経営者の張茵(ちょういん)・玖龍(きゅうりゅう)紙業社長(49)もそのひとり。全人代と平行開催中の政策提言機関、中国人民政治協商会議の全国委員としても活躍している張氏に「チャイナドリーム」体現ストーリーを聞いた。

 (北京 福島香織)

                   ◇

 張社長は、耳に輝く2カラットはあろうかというダイヤのピアスと、庶民的な笑顔のギャップが印象的だ。中国一の女性富豪は快活でくったくがない。

 「富豪だからといって特別のプレッシャーなんてないわ。家庭の主婦も子育てなどでプレッシャーは毎日感じているでしょ」と言葉の端々に庶民感覚をにじませる。

 中国東北部の黒龍江省の軍人家庭に生まれたというが、単身で香港に出て、わずか3万元の元手で古紙回収業を起業。20年をかけた事業の成功と会社の上場で、女性として初めて中国一の富豪になった。

 だが、「中国一の富豪なんていわれても、私はやっぱり以前の張茵と変わらない。私は会社の代表者にすぎず、数千人の社員の努力によって今日の成功を得たの」と謙遜(けんそん)する。

 香港で古紙回収業を始めたのはまだ27歳(1985年)のころ。

 「古紙は当時の香港ではクズ紙扱いで、だれも古紙回収を経営する人はいなかった。紙製品の工場はみな原材料を輸入に頼っていた。中国の紙の原材料であるワラなどは汚染もひどく質が悪かった。だから、最初は紙の原料輸入を手がけようと思っていた」という。

 しかし張氏は、「ある工場長に『古紙をばかにしちゃいかん。これは森林と同じなのだ』といわれてすごく感動した」ときっかけを振り返る。

 誰も見向きもしないクズ紙に宝を見いだし、競争相手もいない中でスタートが切れたのは幸運というよりセンスなのだろう。女性というハンデも感じなかった。

 「中国は(49年の)建国後は男女平等を推進してきた国だし、私自身は女性であることが不利だと思ったことはない。女性っていいものよ。有利なこともあったわ」

 香港で原資を稼いだのち、90年に渡米。台湾人の夫ともに古紙貿易企業「中南有限公司」を設立した。2000年以降、その成功を携えて中国に再進出というから、正しくは中国の私営企業というよりは外資系企業に近い。06年に香港上場を果たしてから、張氏の個人資産は1年で30億元から270億元に飛躍した。

 ただし自ら大富豪となった今、現代の若者の一獲千金を望む風潮には否定的だ。

 「個人の富は、ただ努力の積み重ねの結果。必要なのは、道徳に厚く、勤勉であること、そして知恵ね。私が香港で古紙回収を始めたときは、毎日、日焼けで真っ黒になりながら、港で古紙の質を買い付けた。そのとき私の稼ぎは古紙1トンにつき100〜200香港ドル(現在のレートで約1550=3100円)」

 「利益率はよかったけど、金融や不動産の世界には遠く及ばない。女性がそんな重労働をするのは少なかったから、みんな私のことをばかにせず信用してくれた。そういう若いときの労働が、自分の原点」という。

 古紙回収製紙業は、森林保護、環境保護に通じるエコ産業だが、同時に古紙回収業として雇用も生み、都市の出稼ぎ労働者の生活も支える。

 張氏のような大富豪が誕生する一方で、貧富の差という問題もある。

 「市場経済が発達する中で貧富の差が生まれることは自然なこと。貧富の差がない毛沢東時代と今となら、あなたはどちらを選択する? 私は自分で、道徳に厚く勤勉であるように心がけ、ずるい商人にならないよう気をつけるだけ」

 張氏は仏教徒として善を重視。企業家として全国の貧困な農村の子弟に対する大学進学のための奨学金事業を行い、自社への就職の道を開いている。単なる慈善事業ではなく、優秀な社員を自ら育て、企業を育てていくという狙いもある。

 これまで大きな失敗はなかったという張氏。

 「中国政府の改革開放政策をとても信頼しているの。これからはもっと国際化していくわ」

posted by ルナパパ at 12:56| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月10日

Googleは機械翻訳を変革する-2007/03/29

Googleがサイトで提供している翻訳サービスでは、膨大なデータの蓄積に基づいて翻訳を行わせる「統計的機械翻訳」手法を採用している。(ロイター)
2007年03月29日 12時25分 更新
 米Googleの将来のビジョンでは、人々は文書を世界の主要言語に瞬時に翻訳できるようになる。その実現を先導するのは言語学の専門家ではなく、機械のロジックだ。

 Googleのアプローチは統計的機械翻訳と呼ばれるもので、言語学の専門家が文法ルールと辞書をコンピュータにプログラミングすることを必要としないという点で、従来の機械翻訳の試みとは異なっている。

 Googleのアプローチは、人間が既に翻訳して2つの言語のバージョンがある文書を、コンピュータに大量に入力し、そのパターンを認識させ、その蓄積に基づいて翻訳を行わせるというものだ。

 この方法は、翻訳品質はまだ完全ではないが、従来の機械翻訳の試みよりも進歩していると、Googleの本社で進められている統計的機械翻訳プロジェクトの責任者を務めるドイツ人のフランツ・オーク氏(35)は語る。

 「機械翻訳に長年取り組んできた人たちは、われわれのアラビア語/英語の翻訳出力を見ると、『素晴らしい。飛躍的な進歩だ』と言ってくれる」とオーク氏。

 「一方、機械翻訳の結果を見たことがない人たちは、文を読んでいって、『5行目にもう間違いがある。これでは使いものになりそうもない』と悲観的なことを言う」(同氏)

 しかし、大体正確な翻訳であれば十分という場合も少なくない。

 今週、無料でヘルシーな食事を提供することで有名なGoogleのカフェテリアでランチを取りながら行われた取材で、オーク氏は、アラビア語のニュースサイトがかなりこなれた英語に翻訳されたものを見せてくれた。

 しかし、すぐ近くのテーブルにいたロシア語を母語として話す2人の社員は、英語のニュースサイトをロシア語に訳したものは、意味は取れるが少しぎこちないと語った。

機械に任せる
 ドイツ語と英語のほかイタリア語を少し話すオーク氏は、アラビア語と英語など、翻訳済みで2つの言語のバージョンがある文書から、何億もの言葉をコンピュータに入力している。主な素材は国連と欧州連合(EU)の文書だ。

 だが、翻訳済みのテキストが多くないアフリカの一部の言語の機械翻訳は、大きな壁に突き当たっているという。

 「システムに入力するデータが多いほど、翻訳の品質が向上する」とオーク氏。同氏は2002年にドイツから米国に移住した。

 同氏は、統計分析を応用したこのシステムのアプローチが、外交の場での非礼を避けるのにも役立つと期待している。例えば、以前にロシアのウラジミール・プーチン大統領の通訳者が、ドイツのゲアハルト・シュレーダー首相をドイツの「フューラー(Fuehrer)」と呼んで同氏の機嫌を損ねたことがあった。「Fuehrer」は、「指導者」という意味を持つだけでなく、アドルフ・ヒトラーの称号(「総統」)でもあったため、外交の場では禁句だ。

 「言語モデルにより、例えば、『Fuehrer Gerhard Schroeder』という語の組み合わせはほとんど使われないが、『Bundeskanzler Gerhard Schroeder』という組み合わせはその100倍も頻繁に使われる、ということが分かり、システムは正しい判断を下すと思う」(オーク氏)

 Googleの機械翻訳のプロジェクト体制は驚くほど簡素に見える。オーク氏は2人のチームメンバーと質素なオフィスを共有しており、同氏のデスクに言語学の書籍がずらずらと並んでいる以外、散らかっているところはほとんどない。これは、実質的な作業を機械が行っているからだ。

 今のところ、Googleはサイトでアラビア語、中国語、ロシア語と英語との間などで統計的機械翻訳を行うサービスを提供している。ユーザーはサードパーティーのソフトウェアを使って、このページでドイツ語やそのほかの言語の翻訳を行うこともできる、とオーク氏は語る。

 「これまでのところ、卓越した品質を実現することに重点を置いてきた」とオーク氏。「Googleの全社的方針に基づいて、本当に使い勝手が良く、インパクトのあるサービスを提供できるようになったら、収益化の方法が考案されることになる」

 昨年、長期有給休暇を利用してGoogleのプロジェクトに協力したエディンバラ大学のマイルズ・オズボーン教授は、同社の取り組みを称賛する一方で、その限界も指摘している。

 「最良の統計的機械翻訳システム、例えばGoogleが構築しているようなものは、アラビア語と英語のような言語間では大きな威力を発揮する」とオズボーン氏。

 しかし同氏は、チェスの対戦では、コンピュータは人間と互角の勝負をするようになったが、ソフトウェアが人間の専門家の翻訳のレベルに追いつくことはないだろうとも付け加えた。ソフトウェアによる翻訳では、訳文に磨きをかけることを目指すのではなく、翻訳対象の内容が理解できる程度の訳文を目指せばよい、というのが同氏の見方だ。

 「また、機械翻訳は、翻訳対象の内容が、費用を掛けて専門家に翻訳を頼むべきものかどうかを判断するために使えば有益だろう。例えば、日本語の特許文献を機械翻訳にかけて、重要な内容かどうか見極めをつける、といった使い方が考えられる」(オズボーン氏)

 一方、Googleのエリック・シュミット会長兼CEOは、簡単に翻訳ができる世界になれば、その政治的な影響は広範に及ぶと考えている。

 「100の言語を同時に翻訳できるようになったら、何が起こるだろう。Googleやほかの企業が統計的機械翻訳に取り組んでいるのは、いつでも必要に応じてあらゆる情報を翻訳できるようにするためだ」と同氏は今年、カンファレンスで語った。

 「極めて多くの社会が、特定言語に縛られるコミュニティーで運営されてきた。そこでは、人々はほかの社会の人々の考え方を本当には理解していないし、彼らの考え方にあまり共感もしない。言語の壁があるからだ。だが、われわれはまさにその壁を突破しようとしている。これは画期的なことだ」

posted by ルナパパ at 12:57| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月09日

世界経済フォーラムのICTランキング、米国がトップから転落、日本14位-2007/03/29


世界経済フォーラムは3月28日、ICTに関する報告書「The Global Information Technology Report 2006-2007」を発表した。

これには、「Networked Readiness Index(NRI:ネットワーク成熟度指数)」として、国別のICTランキングが含まれているが、今年は首位を維持してきた米国が7位に転落、デンマークがかわってトップとなるなど、順位が大きく動いたようだ。日本は14位で、前回の16位から2ランク上昇した。

NRIは、1)ビジネス全体、規制、インフラからみたICT環境、2)個人、企業、政府のICT利用に関する対応、3)実際の利用、の3つの点から国のICT成熟度を評価したもの。

今年のトップはデンマークで、前回3位からのトップ獲得となった。2位はお隣スウェーデン(前年8位)、3位は前回2位だったシンガポール。

4位にはフィンランド(前回5位)、8位がアイスランド、10位にノルウェイがランクインするなど、北欧勢が目立つ。世界経済フォーラムによると、6年前に同調査を開始して以来、北欧諸国は安定してトップ10に入っているという。

欧州ではこのほか、オランダ(6位)、英国(9位)がトップ10に入っている(フランスは23位だった)。エストニアの20位にも注目したい。バルト諸国であるエストニアは、旧ソ連の1国で、高い教育水準で知られている。EU新加盟国の中でも優秀で、ICTで国全体のレベルをあげている印象がある。Skypeもエストニア出身のエンジニアを多く起用しているし、拠点をもっていたはず。

さてデンマークだが、政府が明確なICTビジョンを持ち、早い時期からICTの普及と利用にフォーカスしていたことがインターネットやPC、電子政府の高レベルな利用、eビジネス環境につながっている、と評価されている。また、北欧諸国のネットワーク化と競争力における成功のレシピは、教育への強いフォーカスにあるとも分析している。



posted by ルナパパ at 09:00| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。