2008年11月19日

分散投資のコスト

長期投資と分散投資は、投資家を幻想の世界へと呼び込む一種の呪文である。 理論的に裏付けがあるようで、実はそれもまた現実を反映しない虚構の方程式で あることは、馬脚を現した金融工学とそれほど変わりない。特に分散投資の理論 はノーベル経済学賞の対象にもなって権威付けを得たために、一気に人口に膾炙 した。その波に乗せられた投資家は個人だけではない。我々の老後資金を管理す る年金基金もまた、分散投資の被害者になったのだ。

一つの籠に多く の卵を入れるのが危険であるのは事実であろう。であれば単に卵を減ら せば良いのでる。


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2008年11月03日

米大手銀9行への資本注入を発表 米財務省、計1250億ドル-2008/11/01

 【ワシントン=財満大介】米財務省は29日、金融安定化法に基づいて決定した米大手銀9行への1250億ドル(約12兆3000億円)の資本注入を正式発表した。各行への注入額を初めて公表したが、金額の算定根拠などは明らかにしていない。
 シティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴの大手商業銀行3行は、1行あたりの注入の上限となる250億ドル(約2兆4000億円)。バンク・オブ・アメリカは150億ドルだが、統合予定のメリルリンチに100億ドルが注入されるため合計で250億ドルとなる。
 証券会社から銀行持ち株会社に移行したゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは各100億ドル。信託業務が中心で業態の異なるバンク・オブ・ニューヨーク・メロンとステート・ストリートはそれぞれ30億ドル、20億ドルだった
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2008年10月22日

サムライ債の利払い遅延-2008/10/22

2008/10/22
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 アイスランドの大手銀行カウプシング銀行が2006年10月に発行した円建て外債(サムライ債)で、利払いが遅延していることが21日、明らかになった。利払い日は20日だが、元利払いの事務代理人である三井住友銀行は利払いがないことを確認。猶予期限の27日を過ぎても支払われなければ契約上の債務不履行に相当する。遅延が発生したサムライ債の発行金額は500億円。
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仏6行、1兆4300億円注入 企業・個人向け融資拡大が条件-2008/10/22

2008/10/22
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 フランス政府は年末までに同国の大手6行に公的資金計105億ユーロ(約1兆4300億円)を注入する。これら6行が企業と個人向け融資を拡大することが条件となる。ラガルド経済・財政・雇用相は20日、パリで記者会見し、BNPパリバ、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・ミュチュエル、ケス・デパルニュ、バンク・ポピュレールの6行が発行する劣後債を政府が取得し、議決権は取得しないと語った。

 その上で同相は、各行は資本注入と引き換えに、「仏経済における融資拡大と、一般家庭や企業、地方政府のニーズに対応した資金提供の保証を約束しなければならない」と説明した。

 ラガルド経済・財政・雇用相はこの日、金融経済危機が成長を圧迫し、2009年の同国成長率が恐らく政府予想の1%を下回るとの見通しを示した。

 また、フランス国立統計経済研究所の調べによれば、欧州連合2位の経済規模を誇るフランス経済は、第3四半期には、リセッション(景気後退)に入った。

 フランスの銀行支援計画によれば、各行の起債規模はクレディ・アグリコルが30億ユーロ、BNPパリバが25億5000万ユーロ、ソシエテ・ジェネラルが17億ユーロ、ケス・デパルニュが11億ユーロ、バンク・ポピュレールが9億5000万ユーロ、クレディ・ミュチュエルが12億ユーロとなっている。(Sandrine Rastello)
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米国の不良債権本格化-2008/10/22

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 米国の地銀は苦しい決算発表が続く。予想通りではあるが、7-9月期の大幅
減益はまだ良いほうで大手の中には赤字転落の銀行もある。引当金は前年比で
ほぼ倍増、償却額も急増している、とFT紙は報じている。消費者ローンやモー
ゲージなどの不振に加え、地銀には住宅関連開発のローンの焦げ付きという厳
しい側面もある。まさに不良資産から不良債権への問題が表面化し始めたのだ。

 加えて、ファニーメイやフレディマックの優先株保有やリーマン破綻関連の費
用計上もあるようだ。財務省が決定した1250億ドルの資本注入が早速議論される
ことになるだろうが、金額的にはとても足りない。米経済の足元の揺らぎは当分
収まりそうもない。時価会計の凍結といった「市場立国」にあるまじき荒業は恐
らく米財務省が「国がもたない」という計算をしているからだ。

 日本でも公的資金や時価会計凍結、減損会計凍結、株式買取り機関など、モラ
トリアム連発の様相を呈している。日本は欧米と違って正直に時価会計して腐っ
た資産を排除してきたのだからそんなにパニックになる必要もないのに、仕事の
ない政治家が焦りまくって余計な議論をしているようにも見える。挙句の果てに
責任追求のない公的資金注入だという。そんな政治は責任追及の対象になりうる
という認識すら無いのだろうか。
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2008年10月01日

元ライブドアの榎本氏、宇宙旅行費用22億円の返還を求めて提訴-2008/09/29

2008年09月29日13時25分 / 提供:WIRED VISION
David Kravets


日本のインターネット業界の大物、榎本大輔氏は、宇宙へ行くために払った2100万ドル[約22億円]の返還を求めている。榎本氏は宇宙へ向かうことができなかった。
Photo: Jun Takagi

宇宙旅行者として初めて国際宇宙ステーション(ISS)の船外で宇宙遊泳をするために2100万ドル払った日本インターネット界の大物、榎本大輔氏(37歳)が、代金の返還を求めている。

榎本氏は訴状の中で、ロシア連邦宇宙局(RFSA)との橋渡しをした民間企業の米Space Adventures社が、「虚偽かつ詐欺をはたらく目的で」、まったく実現することのない10日間の地球周回軌道滞在のために2100万ドルを払うようそそのかしたと主張している。

訴状によると、バージニア州を拠点とするSpace Adventures社は、榎本氏が追加料金を払うのを拒んだ後に、ISSのロシア区域に向かうはずだった同氏の宇宙旅行を中止させたとのことだ。同社は、榎本氏の子ども時代からの夢だった宇宙旅行を拒否する「口実」として同氏の健康状態を挙げた、と訴状は述べている。

バージニア州東部地区米連邦裁判所に提出された訴状(PDFファイル)を見ると、これは目玉が飛び出るほどの大金が絡んだ話で、最後のフロンティアである宇宙への旅をめぐる、金持ち同士の争いであることがわかる。

ライブドアの元幹部である榎本氏は、Space Adventures社からの度重なる投資の要請に悩まされたうえ、同社は、ISSの建設にかかわっているロシアおよび他の15ヵ国から宇宙遊泳(訴訟では「船外活動」(EVA)と呼んでいる)に参加する許可を取ってもいないのに代金を受け取ったと主張している。

訴状によると、Space Adventures社はRFSAが「EVAへの参加を承認した」と榎本氏に知らせたという。だが、宇宙遊泳をするには1000万ドルの「追加」費用がかかるとのことだった。

東京出身の榎本氏は、自作コンピューター・ゲームのプログラムコードを書き、宇宙を夢見ながら育った。「宇宙に行って、ワクワクしたかった」と榎本氏は最近行なわれたワイアード誌とのインタビューの中で語っている。

榎本氏は宇宙飛行の一環として、お気に入りのアニメキャラクターの1つである、『ガンダム』のシャア・アズナブルの衣装に似せた宇宙服を着る計画だった。榎本氏が計画していた宇宙実験は、無重力状態でガンダムのプラモデルを組み立てるというものだった。

榎本氏は、モスクワ近郊のスターシティー[ガガーリン宇宙飛行士訓練センターがある]での数ヵ月にわたる厳しい訓練を終え、カザフスタンにある世界最古の宇宙ロケット発射場、バイコヌール宇宙基地での2006年9月の打ち上げに備えていた。同氏は『Soyuz(ソユーズ)-FG』ロケットと『Soyus-TMA』宇宙船で宇宙へ向かうことになっていた。

だが、訴状によると、打ち上げ予定日だった2006年9月18日(モスクワ時間)の1ヵ月前になって、榎本氏はもう一度健康診断を受けるよう求められたという。それまでの検査で同氏には腎臓結石があると判明していたが、宇宙飛行の許可は出ていた。

訴状によれば、2回目の健康診断の結果、「榎本氏の腎臓結石は、前回の検査の時よりも大きくて数が多い」ことが判明したという。

訴状はさらに、榎本氏は「2回目の検査結果について、いかなる文書」も渡されなかったと付け加え、Space Adventures社は健康問題を口実にして榎本氏をお払い箱にするようRFSAを説得したと記している。

これまでに5人以上の男女を地球周回軌道に送り込んだ実績があるSpace Adventures社は、9月24日(米国時間)に裁判所に提出した文書(PDFファイル)の中で、「医学上の問題で不適格と見なされた場合には代金の払い戻しは行なわれない、という契約なのだから、榎本氏には払い戻しを受ける権利がない」と主張している。一方、契約書(PDFファイル)には、Space Adventures社が契約通り宇宙旅行を実現出来ない場合には払い戻しが行なわれる、と書かれている。

Space Adventures社の弁護士は24日、「榎本氏は[医学上の問題で不適格と見なされた場合には代金の払い戻しは行なわれないという]契約条項を知った上で契約し、料金を支払い、数カ月にわたる特別訓練を受けた。[略]これは彼がとったリスクだった」と述べた。

榎本氏のかわりとして、富裕な実業家女性Anousheh Ansari氏がISSに搭乗した。榎本氏は、Space Adventures社はAnsari氏から「別の投資」を受け取るために榎本氏を追いやったと主張している。

[過去記事「「自分の資金」で宇宙に行った初の女性にインタビュー」では、Ansari氏へのインタビューを紹介している]

WIRED NEWS 原文(English)

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2008年09月29日

研究開発のスタンスが米国、日本、アジアではまったく異なる

 こうして見てくると、米国、日本、そしてアジア企業の“染色体“は結構違うのではないかと思える。それぞれのR&D(研究開発)に対する違いを下の図にまとめてみた。

 米国ではベンチャー企業が中心となって新しい技術をもたらす。そして「いい技術を作ってくれた」となると、大企業が買収してくる。だからお金はベンチャーに集まってくる。大企業がそういう長期の開発をやろうとすると、アナリストや株主にたたかれてしまうという要因もそこにはある。新技術はM&Aで買収したほうが株主も喜ぶ。

 対して日本は、生産現場と研究開発が一体になっている。そして完成品を作るメーカーと部材メーカーも一体になって「ああでもない、こうでもない」と顔を突き合わせて、形のないものでも「取りあえずやってみようか」と手がけてみる土壌がある。

 何よりも日本には、東京都大田区、東大阪、諏訪湖周辺、浜松という、中小企業が密集している4大「中小企業ハイテク部品業の集積地」がある。部品屋さんで集積しているところは世界的に見ても非常に少ない。これが日本の強さの一つだ。

 アジアは、自分たちではR&Dをほとんどやらない。大企業中心、あるいは大学の研究所で行うか、外国から技術を買ってくる。そして中小企業の集積地のようなものは(台湾の新竹みたいに今や大企業の開発拠点にまでなっているところを除いては)ない。技術を持つ外国企業を呼び込んだ(蘇州、無錫などの)集積地はあるが、人的・ノウハウ的な集積が伴うわけではない。せいぜい「最終部品を作ってジャスト・イン・タイムでお届けする」という感じだ。だから、日本とは意外とバッティングしない。

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2008年09月18日

マン・マシン・インターフェース・トラブル

 「技術の進化に伴い、建造物や工業製品が複数のシステムの複合体となってきている」「一方、人間の側は、システムが問題なく働くことを前提に行動するクセがどんどん強まり、自ら危機やトラブルを予測する能力が落ちてきている」「その結果、マン・マシン・インターフェースの部分を中心に、予想もしない大きなトラブルが発生しやすくなってきた」という趣旨の、大変刺激的な内容だった。

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2008年09月10日

無難なトークテーマ


顔見知り程度の人と帰りが一緒になった際の“気まずい空気”を切り抜ける無難なトークテーマ

あんまり仲良くない人と二人っきりになってしまうシチュエーション。 特に、仕事や学校の帰りなんかで経験したことありませんか? そんなとき「気まずい空気」を作るより、大人なら無難に「和やかな空気」にしてしまいましょう。


 顔見知り程度の人と(仕事や学校の)帰りが一緒になってしまった場合、何をしゃべっていいかわかりませんよね。 でも、そんなシチュエーションで「これさえしゃべっておけばいい!」というトークテーマを常にストックしておけば、何も怖くないはず。

そこで、そんな危機的状況を解消するためのトークテーマを厳選してご紹介します! 大人なら常に「和やかな空気」をキープできるテクニックを身につけておきましょう。


■気まずい空気を切り抜けるトークテーマ

【基本編】
@「降りますかね?」
さりげないトーク術の基本に、天気の話題があります。 「今年の夏は異常でしたね?」「最近、日本も熱帯雨林化してますよね」などと語りかければ、「そうですね、この前なんてもうビッショビショになっちゃいまして…」なんて答えが返ってきたり、果ては環境問題にまで話が及んで、わりと社会派な大人の会話に成長することも。

A「○○さんて、地元はどちらなんですか?」
トークを盛り上げるには、こちらから質問を投げかけることが必要になります。 ただ、あまりつきあいがない人にいきなりプライベートな「結婚されてます?」などの質問はNG。 それでも相手のことを知りたい場合、出身地を聞くのがもっともライトな入り方です。 ただ、まずは自分のことを話してから相手の話を聞き出すというのが基本。 「お盆は、新潟も最悪に暑かったですよ。いや、わたし地元が新潟でしてね…」と入り、「お盆はどちらか行かれたんですか?」なんてところから地元を聞き出す遠回りさも必要です。

B「最近太っちゃって」
相手の体型を見て、スリムな人であれば「最近太っちゃって、なんかやってます?」ぽっちゃりしてる人には「この辺でおいしい店知ってます?」と切り出してみよう。 「8時以降はなんにも食べないようにしてればやせますよ」「え?それだけで?」なんて会話も広がります。 エクササイズや健康の話は話すネタがないときには欠かせないポイントです。

C「あの女優さん、歌手デビューですか」
電車内であれば、吊革広告のネタをそのまま読み上げればOK。 「エー!? これほんとですかね?」なんてゴシップネタはトークのきっかけにはもってこいです。 ただ、ごくたまに宗教的な雑誌の広告もあったりするので注意。 そこは敏感に避けておきましょう。


【応用編】
D「清原も今年で引退ですね」
メールのように、ひとりでいるときにやってしまう行動を人がいるときにやってしまうのはNG。 だけど、逆にそれを利用してトークのきっかけを作るという作戦もアリ。 例えば、常に新聞を常備している方は、新聞を開きながら「時事問題」をボソッと独り言のようにしゃべってみる。 「次の首相は誰ですかねぇ」なんて一言で「いやー、○○じゃないですか?」なんて切り返しも期待できる。 おすすめはスポーツ新聞。 わりとライトな話題で盛り上がれるはず。 今なら、北京五輪ネタはまだOK。 シーズン差し迫ってきたプロ野球ネタもポイント高し!

E「おすすめの携帯電話ってありますか?」
気まずい空気のとき、とっさに起こしてしまう行動として「黙ってメールをしてしまう」ことがあると思います。 これは相手がいるのに失礼ですよね。 それでもやはりやることないし、しゃべることもない。 そんな時は、メールをしながら、「この携帯、メール打ちにくいんですよね。 何かいい携帯電話ないですかね?」なんてさりげなく聞きながらメールを打つのも常套手段です! 機種変更の話やプランの話、かっこいい機種の話、いま流行りのiPhoneの話題など展開力は他のトークテーマよりもあるはず。

F「ドライブとかってよく行かれます?」
もし、異性として興味がある相手なら、経済状況は知っておきたいですよね。 さりげなく相手の経済状況を聞き出したいときには、「車を持っているかどうか?」が最重要ポイント。 都内一人暮らしで車を持っている人は、それなりに稼いでいる人と判断しても早計ではない。 会話的にも、「最近どこか行きました?」から「○○温泉はよかったですよ」なんて広がりも想定できるのでおすすめ!


以上のようなトークテーマを常備しておけば、どんなに危機的な気まずさが訪れても「大人の対応」でバッチリ切り抜けられるはず。みなさんもこのトーク術をマスターしていざ実践してみてはいかがですか? 

また、トレンドGyaOで記事になっている内容も、話のネタとして使えるものばかりですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。


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2008年09月05日

外資系企業、非情な“クビ切り”の実態

MBA卒業生の就職先は、厳しい職場であることも多い。外資系企業に入ったりすると、なにかの弾みで解雇される危険性もある。

 MBA留学日記、今回のテーマは「クビ」について。どの企業で、どんな確率でクビ切りが行われているのだろうか?

下位10%は自動的にクビ?――米GE
 「厳しい職場」と聞いて、すぐに思い浮かぶのは米GE(ゼネラル・エレクトリック)だろう。GEといえば、時価総額30兆円(5月末時点)を誇る、世界的な「超」巨大企業。傘下にはNBCユニバーサルといったメディア企業から、ファイナンス企業、インフラ事業に至るまで、実に数多くのビジネス・ユニットを抱えている。「多様なビジネスポートフォリオを構築しつつ、成功している企業」の代表格としても有名だ。

 GEの人事制度として、下位10%は自動でクビ――というものがある。上司により部下が相対評価を受け、それによって明確なランキングが付けられるというシステムで、ここで下位になってしまうと会社から追い出される仕組みだ。同システムはMBAの組織論の授業でも紹介されており、“競争的な人事制度”の代名詞みたいに言われている。

 筆者は一度、GEの内部の人間と食事をしたことがある。その時に、本当に下位は強制的にクビなのかどうか、確認してみた。結論からいって、下位10%に入ると「成績不振人物」のレッテルが貼られるということはあるが、すぐさまクビということはない、とのこと。

 とはいえ、そうした成績不振者を矯正するようなプログラムが存在しており、ここでも上手くいかないと見切りをつけられる、ということはあるようだ。即クビではなく、“半強制的クビ”はあるのだろう。GEは落ちこぼれた社員を次々と切り捨て、代わりに有能な社員をどんどん補充していく。その集団の中でまた成績下位になった者は、放出される。これほど激しい職場もない。

 一方でGEの場合、優秀な社員への待遇の良さも有名だ。GEはイメルト会長肝いりの人材育成プログラムである「リーダーシッププログラム」を用意しており、このプログラム向けにMBA卒業生などを採用している。MBA向けに開催された説明会では、この採用枠に入った人間は“幹部候補生”になると明言。イメージとしては30歳〜40歳ぐらいまでに、数十人単位の部隊を1つ任せてビジネスを運営してもらうとのことだった。

 まだ30歳台の“若造”に大きな権限、責任を与える可能性があるということで、さすがは外資系企業といえるだろう。クビになるリスクは大きいが、やりがいある仕事を任せてもらえ、リワード(=報酬)も大きい。成功を夢見る自信家たちが、次々GEの門を叩くのも分かる気がする。

職場そのものがゴッソリなくなる?――投資銀行
 本連載で何度も取り上げている投資銀行もまた、厳しい職場だ。投資銀行のある幹部は「“付いて行けていない”と判断した社員はクビにする」と断言していた。

 投資銀行は人の入れ替わりが激しいから、多くの社員が入社しては、辞めていく。中には「別の魅力的な職場を見つけた」とか「友達と一緒にビジネスをやる」とか、ポジティブな辞め方をする人間も多い。

 だが幹部にいわせると、このうち相当数は“単なるクビ”なのだという。成績不振者を部屋に呼びつけ、「君はこの業界でやっていくのは難しい」とはっきり宣告する。その上で、会社としても支援をするから、ほかの職場を探したらどうか、と提案するのだという。彼らは会社を去ることを前提に転職活動をして、やっとの思いで新しい居場所を見つける。そして表面上は笑顔をとりつくろって、辞めていく。周りからは、実はクビになっていたとは分からない。

 投資銀行の場合、状況によっては職場そのものがゴッソリなくなってしまうこともあるから、恐ろしい。「このオフィスは畳むことにしました」とか、「そもそも日本市場から撤退します」とかいったアナウンスがなされれば、それこそ下位10%どころではない。上位から下位まで100%解雇である。

 サブプライムローン問題のさなか、米国で比較的大手の投資銀行であるBear Stearns(ベアースターンズ)が潰れてしまい、話題になった(現在はJPモルガンが救済合併をすべく処理を進めている)。このケースでは、救済合併される側のBear Stearnsの社員の多くが、JPモルガンのオフィスに居場所がない――つまりはクビであると言われている。

 これはBear Stearnsの内情に詳しいクラスメートが明かしてくれた話だが、同社の株価が急落し、「倒産するのではないか」との噂が市場を駆け巡っていた頃、すでに他社のリクルーターがBear Stearnsの社員を引き抜きにかかっていたそうだ。

 どこまで本当なのか確認する術はないが、正式にBear StearnsがJPモルガンに買収されるとの報道発表がなされたとき、多くの幹部が既に再就職先を決めていたという。激しいクビ切りが行われるウォールストリートを、象徴するようなエピソードといえよう。

1年で25%が入れ替わる?――戦略コンサル
 戦略コンサルティング業界も、人の入れ替わりの激しい職場だ。2〜3年で転職する人間も多く、あるファームの人間に言わせると「1年で25%ぐらいは入れ替わる」とのこと。自分のオフィスの、4分の1がいなくなることを想像してほしい。なんともめまぐるしい変化だ。

 あるファームの幹部と話していて、印象に残ったのは「コンサルとは何だか、人身売買みたいなところがある」というセリフだ。いわく、コンサルタントはプロジェクトごとに人が割り当てられる。プロジェクトリーダーが「4人のチームを組むぞ」と決めて、「じゃあこいつと、こいつと、こいつ」といった具合に社内の人間を引っこ抜き、アサインしていく。

 中には誰からもお呼びがかからず、どのプロジェクトにも入れないコンサルタントも出てくる。“社内失業”と言う言葉があるが、こうなるとファームに居辛いというか、いたたまれなくなって転職せざるを得なくなる。強制的ではないとはいえ、辞めざるをえない状況を作り出されるわけだ。

すぐクビになっても、OK?
 以上、厳しいことばかり書いたが、これらの企業はみな「数年働けば、次の就職につながる」という職場でもある。30年じっくり勤め上げる、という職場ではない。

 そういう意味では、ステップアップの踏み台であり、わずか3カ月でクビになりましたというケースでもない限り、例えば2年間働いて転職してもさほど問題にはならないようだ。外資系企業は破格の給料を提示してくることもあるから、2〜3年だけ好待遇を享受して、それ以降は別の道を進むという考え方もありうる。

 職場を決めるのに、いろんな要因はあるだろうが、クビになる可能性を覚悟で外資系企業に飛び込んでいく学生も多い。こればかりは、その人の思い描くライフスタイルによるとしか言いようがない。

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2008年09月03日

シベリアの永久凍土が解けると人類滅亡?-2008/09/03


 スウェーデンの研究者が、シベリアの海底の永久凍土から少しずつメタンガスが漏れていると土曜日に発表した。メタンガスは、地球温暖化の問題とされている二酸化炭素の20倍以上の温室効果をもたらす温室効果ガスだ。

 研究者によると、シベリアの永久凍土層には小さな穴がありそこから高濃度のメタンガスが漏れ出しているという。海中により多く含まれていることから、その源が海底であることは明らかである。

 もしもこのまま地球温暖化が進みシベリアの永久凍土層が解け出すことになれば、膨大なメタンガスが空気中に放出されることになる。そうなったら、地球はおしまいかもしれない。

 一部では温暖化の原因は太陽の活動周期によるものだと言われているが、それが絶対とは言いがたい。解けて何もなければよかったねで済むが、何かあってからではもう遅い。そのうち北海道でも雪を見られなくなったりして。

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2008年08月21日

スウェーデン王国:-2008/08/21

個人に厳しく、法人には優しい税率
2008年8月21日 木曜日 スティーブ・モリヤマ
欧州  所得税  法人税  多国籍企業 
スウェーデンの国旗
 バイキングの末裔、男女同権、福祉国家、ノーベル賞、そして高税率国。スウェーデンの横顔は、日本でも断片的には知られている。だが、17世紀に欧州で最初の紙幣を発行したのが、この国の銀行だったことはあまり知られていないのではないだろうか。

 スウェーデンはEU(欧州連合)加盟国だが、デンマークと同様、ユーロを導入していない。2003年9月、ユーロ参加の是非を問う国民投票でユーロ圏参加を否決し、今でもスウェーデン・クローナを通貨と定めている。


 王冠を意味する「クローナ」は、もとは19世紀後半にスウェーデンとデンマークの間で結ばれたスカンジナビア通貨同盟に基づく統一通貨の名称だ。その後、ノルウェーも参加したが、第1次世界大戦後、この通貨同盟は解消され、それぞれ独自の道を歩むことになる。ただし、スウェーデンに限らずデンマークもノルウェーも、通貨の名称にクローネ(クローナの変形:語源は同じ)を使い続けている。

 スウェーデンは欧州における通貨同盟先進国だったにもかかわらず、EUの通貨同盟にはいまだに参加せず、今でも「クローナ」を存続させているのは、皮肉な感じがする(注:ノルウェーはEU非加盟国)。


公務員比率は3割以上

 スウェーデンの特徴の1つは、就業人口に占める官公庁勤務者の割合が高いこと。ハンガリーもその割合が高いことを指摘したが、スウェーデンはハンガリーよりも高い3割以上の人たちが公務員と言われている。公的セクターの就業人口が多いのは、高福祉、高税率国家の一面とも言える。

 そしてもう1つの特徴は、国内市場が小さいことから、高い技術力を背景とした輸出が経済を支えていることだ。輸出を支える企業には、日本でも名の通っているボルボやエリクソン、イケア、H&M(アパレル)などがある。

 この中で最近、日本の消費者の関心を引いたイケアは、イングバール・カンプラッドが1代で築き上げた世界有数の家具メーカーである。日本進出時も、「あなたの家おもしろい?」「家庭と仕事、どっちが大切?」といった、この会社独自のやや挑発的な広告戦略を展開し、短期間で日本の消費者の心をつかんだようだ。

 欧州では、かなり前から汎欧州レベルで成功しており、筆者も、ベルギー赴任時は2〜3年しか住むつもりがなかったので、当初イケアの誇る安い家具を大量に買った。ただ、個人的な感想としては、長年使うのであれば、高くてもフランスやイタリアの家具の方が良いかもしれない。

 この会社の創業者は、世界十指に入る大富豪だが、清貧の発想を地でいくプラグマティストのようで、真偽はともあれ、飛行機は常にエコノミークラス、スウェーデン国内の移動にも公共機関を使うという。


個人所得税の最高税率は57%、付加価値税25%、法人税率は?

 こうした徹底した節約ぶりは、納税面でも発揮しているようだ。氏の自宅はスウェーデンにはなく、スイスに移している。本稿でも説明したように、スイスの州(カントン)では、HNWIs(高額所得者)の移住を促すために、弾力的なルーリング(拘束的税務裁定制度)を用いて、テーラーメイドの対応を行っている。

 スウェーデンの個人所得税率は、所得税、住民税ともに累進税率が定められており、両方合わせた最高税率は57%である。問題は、日本円で課税所得820万円ぐらいからこの最高税率が適用される点にある。しかも、これに加え、最高50万円程度の社会保険料の従業員負担(年金相当分)がある。消費税に相当するVAT(付加価値税)の標準税率も、EUの上限の25%である。

 ただし、法人税率は低い。スウェーデンが不況下でもがき苦しんでいた1990年代初頭は、法人税率も50%を超えていたのだが、大胆な税制改正を行い、一気に半分以下の法人税率25%を導入した。その後、少しずつ税率は上がり、現在は28%だが、これは欧州の中では低い方で、さらにスウェーデン企業の実効税率は10%台が多いと言われている。


4割以上が再生可能エネルギー

 スウェーデンは、EU27加盟国中、再生可能エネルギーの使用割合が最も高い国の1つである。水力発電と森林バイオ燃料等の利用が多く、特にこの国の集合住宅の9割が、再生可能エネルギーを用いた地域暖房を使っている点が特徴的である。

 今でこそエコ先進国だが、この国も80年代初頭までは化石燃料にかなり依存していた。だが、国を挙げて再生可能エネルギーの使用に力を入れてきた結果、スウェーデンにおける再生可能エネルギーの使用割合は、1990年の30%から、2006年の43%と着実に伸びている。

 その背景にあるのは、1991年に、既にあったエネルギー税に加えて導入された炭素税であろう。スウェーデンでは、こうした環境税をどんどん引き上げており、その結果、免税対象のバイオ燃料などの再生可能エネルギーの使用割合が上がるという構図になっている。

 2009年下半期には、スウェーデンはEUの議長国となる。自国の経験を基に、環境関連でリーダーシップを発揮していくと見られる。環境分野で主導権を取るべく積極的に動くEUは来年、その動きをいっそう加速させていくことになるかもしれない。

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2008年08月20日

「ネズミの脳」が飛行機を操縦-2004/10/29

2004年10月29日

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Lakshmi Sandhana 2004年10月29日

 フロリダ州のどこかで、ラットの体から切り離された2万5000個のニューロン(神経細胞)が、米軍の最新鋭ジェット戦闘機『F-22』の操縦について考えている。

 これらのニューロンは、マルチ電極アレーの上で培養され、生きた「頭脳」を形成している(写真)。そして、これがデスクトップ・コンピューター上のフライト・シミュレーター(写真)に接続されている。シミュレーター上の飛行機の水平/垂直方向の動きの情報が電極からの刺激によって脳に伝達されると、ニューロンは興奮し、ある種のパターンの電気信号を発生する。その信号パターンを利用して、「身体」――この場合はシミュレートされた飛行機――を操れるようにしているのだ。

 フロリダ大学の医用生体工学教授で、このプロジェクトに1年以上取り組んできたトーマス・デマース博士は、「ちょうど、ニューロンが飛行機の操縦桿を前後左右に操作しているようなものだ」と説明する。「われわれは電極を使って、ニューロンの活動を記録したり、刺激を与えてニューロン間の対話に耳を傾けたり、神経ネットワークにフィードバック情報を入力したりできる」

 脳は現在のところ、晴天からハリケーンなみの強風というさまざまな気象条件のもとで、シミュレートされたF-22の機体の縦ゆれと横揺れをコントロールできる程度にまで操縦方法を学習した。当初、脳は「身体」である機体をコントロールする方法を知らなかったため、まともに飛べなかった。しかしニューロンは次第に、機体を安定させ、まっすぐに水平飛行させることを学習した。

 「現在の学習のプロセスは極度に単純化されたものだ。基本的に、操縦桿を右か左か前か後ろかに動かす判断を下し、どの程度飛行体勢が悪くなっているかに応じて、操縦桿をどれだけ倒せばよいかを学ぶ」とデマース博士は説明する。

 デマース博士がこの自動操縦という着想を得るもととなったのは、ジョージア工科大学の神経工学研究室で助教授を務めるスティーブ・ポッター博士との共同プロジェクト『アニマット』(Animat)だった。このプロジェクトで研究者たちは、ラットの生きたニューロンを使って、バーチャル世界内でアニメーション化した物体をコントロールした。また、ニューロンをロボットに接続し、対象物を追跡し、それに接近することを脳に教え込もうと試みた。

 より大きな目標は、ニューロンどうしがどのように対話するかを解明することだ。たとえば、MRI(磁気共鳴映像法)によるスキャン画像は、何百万、何千万というニューロンが同時に伝達信号を発するようすを示す。しかし、MRIレベルの解像度で、個々のニューロンの間で何が起こっているかを見ることは不可能だ。ペトリ皿の上でなら、細胞群の神経活動を観察することができる。しかし、刺激や反応をやり取りする相手となる何らかの身体的要素がなければ、生体条件下で行なわれる学習と成長のようすを観察することはできない。

 これらの培養細胞を用い、「身体」を与えることで、ニューロンどうしが情報をやり取りする方法を解明し、そして最終的にはこの知識を使って、これまでになかった情報処理アーキテクチャーの開発につなげようと、研究者たちは期待を寄せている。

 「もちろん、これはペトリ皿上に載せたいくつかのニューロンに過ぎない。本格的な脳ではない。本物の体を持っているわけでもない。しかしこのようなシステムでも、それらが情報を処理するようすを具体的に観察できるため、脳の情報処理方法を学ぶチャンスが得られるのだ」とポッター博士は述べた。

 デマース博士は、脳が地平線を判断材料に機体を操れるようにして、自動操縦システムの能力を高める計画だ。しかし、真の飛躍的進歩は、ニューロンどうしがネットワークの中でどのように情報をやり取りするかが解明されたときに訪れるだろう。

 「われわれは、いくつかの初歩的な規則について知っている。しかし、ニューロンが情報処理に使っている言語については、まだよくわかっていない。われわれはこの言語から一般的な特徴を抽出して、それで飛行機を制御できるが、ニューロンが使っている信号には、もっと大量の情報が埋もれている。われわれはそれが何なのかについて、まったく理解できていないのだ。ネットワークの言語を理解することに関して、まだまだ多くの研究を行なう必要がある」とデマース博士は述べた。


[日本語版:湯田賢司/岩坂 彰]

WIRED NEWS 原文(English)


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ネズミの脳みそを組み込んだロボットが完成 -2008/08/20

培養ラット脳細胞がロボット操る…英大学が開発成功と発表
ラットの脳細胞から出る電気信号によって、障害物を避けながら動くロボットの開発に成功したと、英レディング大が14日発表した。

ロボットは、人やコンピューターなどの助けなしで動いたという。

研究グループは、ラットの胎児から採取した脳細胞を培養して増やし、脳細胞が発する
電気信号を検出できる装置に組み込んだ。
二輪走行するロボットは、この電気信号を無線で受けて動く仕組みで、ロボットに積んだ
センサーが障害物を検知すると、ロボット側から無線で送られる信号が脳細胞を刺激する。

ロボットは最初こそ障害物に接触していたが、障害物検知の信号で脳細胞が“学習”
したとみられ、避けて動けるようになったという。

同大システム工学部のケビン・ワーウィック教授(自動制御学)は「培養した脳細胞が
初めてロボットを操ったというだけでなく、脳が経験を蓄積して学習する仕組みの解明
につながる成果だ」と話している。
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2008年08月13日

フランス:“非エリート”がもたらす改革の行方-2008/06/12

2008年6月12日 木曜日 スティーブ・モリヤマ
国際  EU  政治・経済  移民  大統領 
フランスの国旗
 フランスの歴代大統領は、俊英が集まるENA(国立行政学院)出身者が多く占める。そうした中、2007年5月に就任したサルコジ大統領はハンガリー移民2世で、異色の「庶民派」として、フランス国民に受け入れられた。

 サルコジ大統領はパリ大学出身だが、超エリートとは見られていない。この国では、国立行政学院をはじめとしたグランゼコールの上位校出身者で官僚になる者がエリートと見なされる。大企業のトップの多くも、こうした学校を出た官僚出身者で占められている。

 日本では、例えばソルボンヌ(パリ大学の一部)が名門と言われ、確かに歴史的には名門であり著名な卒業生も輩出している。だが、近年ではごく普通の大学の1つとして考えられている。実は、フランスでは大学には、大学入学資格(バカロレア)があれば、原則として誰でも入れる。しかも、無料だ。一方、グランゼコールに入るには、厳しい競争試験(コンクール)に合格する必要がある。

 ただし、医学や法学などを学ぶことができるのは基本的に大学であり、サルコジ大統領もパリ大学で学び弁護士になっている。また大学は、誰でも入れるのだが、大学1年生の半数近くが落第してしまう状況にある。


本音で対処する救世主も生身の人間

 サルコジ就任当時、筆者がフランス人の同僚と話すたびに、「国民と同じ目線で話せる」「言葉の魔術師」などと、サルコジ大統領を絶賛する人が多かった。例えば、移民問題。フランスは建前社会で、その意味では日本と似ている。特に移民関連は政治家にとって口にするのが憚られる話題だった。

 実際、ミッテランやシラクなど歴代のエリート大統領たちは、「人種差別はいけない=移民問題を語るのはタブー」という建前しか語らず、問題の先送りを続けてきた。しかし、2005年後半にパリ郊外で起きた暴動事件に示されるように、移民政策に問題があることは自明だった。

 パリ郊外にはバンリューと呼ばれる移民居住地区があり、そこに林立する団地はスラム化し、周辺の治安は悪化の一途をたどっている。2005年の暴動は、ここに住む先行きの見えない人生に絶望した北アフリカ系の若者たちが起こしたものだ。

この事件の後に、フランス国民がサルコジ氏を大統領として選択したのは、自らも移民の子である大統領が、「本音」で問題解決に臨むいわば救世主のように映ったのかもしれない。事実、サルコジ大統領は、内務相時代から、犯罪や移民問題について一貫して真剣勝負を挑む姿勢を崩していない。この結果、就任直後は70%という高い支持率を集めた。

 だが、現在の支持率はその半分以下とも言われ、1年間でこれほど急速に支持率が下がった大統領は、近年ではこの国にはいない。理由はいくつかあるだろう。その1つは、恐らくサルコジ大統領の「抽象度」が下がってしまったことのように思える。

 政治家というのは、ある意味で高度に抽象化された存在、であり続けるべきなのかもしれない。サルコジ大統領の場合、就任後、離婚劇や元スーパーモデルとの再婚劇など、生身の人間らしさが目立ち、それが「自分のことで精いっぱい」「私たちのことを考える余裕はなさそう」といった意図せぬシグナルを国民に送ってしまったようだ。それが、支持率急降下の真相ではなかろうか。


官僚国家と市場原理

 フランスと日本が似ているのは、建前社会以外にも官僚が強いことだろう。宇宙航空、武器輸出、原子力などの産業でフランスが強いのは、国策でこうした産業を強化してきたことがある。

 その一方で、法律でがんじがらめになっているせいか、小売業などは弾力的な値付けができず、フランスの物価は近隣諸国と比べても高い。これに加え、厳格な労働法や週35勤務時間制も状況をますます悪くしている。

 さて本稿(スロベニア)でも説明したが、フランスは7月にスロベニアからEU(欧州連合)議長国のバトンを受け取る。議長国として、既に次の4つの優先検討課題を決めており、移民、エネルギーと環境、防衛政策、共通農業政策という4つの優先検討課題を既に世界に向けて発信している。

(1)移民管理

 先述のように移民問題のタカ派のプロ、サルコジ大統領は、EUで「欧州移民協定」の起案を行う予定だ。この協定は、移民の大量合法化の拒否などが織り込まれるものと見られているが、多くの国で移民問題はセンシティブな問題なのでいろいろと物議を醸すことだろう。

 (2)エネルギーと環境

 原子力大国のフランスには、アレバをはじめ多くの原子力関連企業がある。そうした企業の知見を基に、気候変動対策の一環で原子力エネルギーの重要性を他の加盟国に説明していくのだろう。環境については、温室効果ガスの削減、環境税制の整備、環境対策製品の拡大などに焦点を当てる予定である。

 (3)防衛政策

 EUは、2009年に欧州連合外交・安全保障政策上級代表(EU外相)を任命する予定で、それに伴いフランスは防衛費の増額が必要と考えている。この政策の一環として、ロシアを含めた新興国との対話強化やサルコジ大統領が発案し、今年3月にはEU首脳会議で設立について合意がなされた「地中海連合」(本稿トルコ参照)の構築も、推進していくものと見られている。

 (4)共通農業政策

 100%を上回る食糧自給率を誇るフランスは、欧州最大の農業国である。その裏には、フランスの農家が、EUの農業補助金の約2割を受け取っている事実がある。サルコジ大統領は、半世紀前に生まれた共通農業政策(CAP)の抜本的見直しに意欲を燃やしてきている。

 共通農業政策は農民の生活水準の向上と消費者に良質な食品を公正価格で提供する目的で制度化されたものだ。EUは域内の農家に補助金を年間に邦貨換算で9兆円支給している。問題は、極端な「80:20の法則」が働いており、補助金の8割以上を、全農家700万のうち2割未満に過ぎない大規模農家が受け取っているという現実がある。このため、小規模農家の保護は、重要課題の1つと言える。

 また、米国からやってきた昨今のバイオ燃料ブームにより、これらの大規模農家が耕作地を食用からエネルギー用作物に転用する傾向もある。トウモロコシ油からバイオエタノールを作り出すわけである。食料価格高騰の中、補助金政策の見直しが、米国のみならずEUにとっても早急の課題となっているのだ。

 サルコジ大統領は、閣僚人事でもイスラム系や黒人を抜擢するなどこれまでフランスの政治では考えられないような奇抜なアイデアを実践躬行してきている。ある意味で、「小泉劇場型」政治を彷彿させるとも言えるが、7月に議長国就任後、また奇抜なアイデアを出してくるのだろう。今後のフランスの動きは、EUの今後の動向に大きく影響を与えるだろう。

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デンマーク:「移民の罠」にはまりかけるその先-2008/08/07

2008年8月7日 木曜日 スティーブ・モリヤマ
欧州  EU  移民  福祉  失業率  税 
デンマークの国旗
 観光名所に関する「世界3大がっかり」という表現がある。この3つはどこか。諸説あるが、筆者の住むブリュッセルにある「小便小僧」とシンガポールの「マーライオン」そして、デンマークの「人魚姫」というのが通説のようだ。

 この人魚姫像は、この国の誇る詩人・作家アンデルセンの童話にちなんで、約100年前に、同じくこの国を代表するビール会社、カールスバーグの創業家が国に寄贈したものだという。この人魚姫だが、ここ数年、受難続きである。頭部を切断されたり、ペンキを塗られたり、イスラム女性のスカーフをかぶせられたり、様々な破壊行為の対象となっている。その背景にあるものは、何か。



 デンマーク経済は、好調である。特にここ数年、年率平均3%超の成長を記録している。これは「古い欧州」の中では、良い数字である。また、ユーロには参加していないが、デンマーククローネはユーロに連動している。

 失業率も、ここ数年3〜4%程度で、今後3%台で推移すると言われている。ただ、低い失業率は、いわゆる3Kの仕事における労働力不足につながり、また賃金上昇圧力に伴うインフレも懸念されている。


高福祉国家の陰

 福祉国家デンマークは、社会的弱者には至れり尽くせりなのだが、そこで働く人たちには、重い負担がのしかかってくる。まず、個人所得税の最高税率は59%で、例えば額面1000万円の給与をもらっても、社会保険料と合わせて約半分を国に納めなければならない。さらに、日本の消費税に相当するVAT(付加価値税)は、EU(欧州連合)域内で定められている最高税率である25%を採用している。

 こうした高税率国のせいか、筆者はロンドンなどで、優秀なデンマーク人と何度となく知り合った。皆一様に、見事なイギリス英語を話し、知的レベルも高い。老後は国に戻ってもいいが、稼げるうちはデンマークにはいたくない、と口を揃えて言っていた。手取りが額面給与の半分(以下)になってしまうのでは、仕方がないのかもしれない。

 もっとも、こうした税制はデンマークに限った話ではない。他のスカンジナビア諸国も同様だし、実は仏独ベルギーなどもあまり変わらないのが実情である。英国にしても、額面給与の3分の1から4割は国に納めなければならない。


頭脳流出と移民問題

 このように頭脳流出が続き、デンマーク人の失業者がほとんどない状況下で、デンマークは、労働力不足などの解決のため、難民を含め、外国人労働者をこれまで積極的に受け入れてきた。確かに、コペンハーゲンの街を歩いていると、明らかに旅行者ではない、アフリカ人やアラブ諸国から来た外国人が昼間から街に溢れている。

 こうした中、近年、デンマークでは、移民の失業者が増えている、と指摘されるようになった。これに対して、当のデンマーク人は経済が好調の状況で、失業率が増えているという説には納得がいかない。説が正しいのか誤りなのか。著者には不明だが、移民になにがしかのフラストレーションがたまっているのではなかろうか。

その1つは、若年層の移民のフラストレーション。デンマークは高福祉国家ゆえに、移民の子供たちも無料で学校に通える。ただし、デンマークの教育水準は高く、しかもデンマーク語で授業を受けるのは、外国人にとっては容易ではない。進級できずに退学していく移民の子供も少なくないという。

 そうすると、行き場のないフラストレーションのたまった移民の子供たちが、犯罪行為に手を染めることも、可能性としては、想定できよう。筆者は、人魚姫に対する破壊行為もそういう人たちの、暗澹たる情念のはけ口の1つではないか、と感じている。


「愛の桟橋」ができる

 もう1つは、デンマーク人と移民の間に心のギャップが生じ始めていること。現在、デンマーク人の中には、「移民嫌い」が生じている。デンマークは就労ビザの発行にポイント制を導入している。これは学歴や年齢などに能力や経験に応じて点数をつけ、一定の点数を取得しているものにビザを発給する制度で、カナダやオーストラリアなどでも導入している。

 高税率国家であるがゆえに自国民の頭脳が海外に流出していく。その一方で、優秀な移民を受け入れるべく手を打つ。これを高福祉国家の罠とも言えなくもないが、その罠は優秀な移民を受け入れた後も続く。

 福祉国家デンマークでは、失業すれば、誰にでも「失業者保険」が下り、原則として、移民にもこの制度は適用される。これが、デンマーク人の移民嫌いを加速させているようだ。「働かない移民を食わせるために働いているのではない」というのが、一部のデンマーク人の本音であり、一部の政治家はそうした感情を煽るキャンペーンを続けている。

 こうした環境もあり、昨今、デンマークの移民法は、EU加盟国の中でも最も厳しいものとなった。例えば、デンマーク人は24歳以下では、非EU市民と結婚し、デンマークに住み続けることができない。これによって、生粋のデンマーク人が、例えば日本人と結婚するケースも対象となるため、そうしたカップルを含め、大きな問題になっている。

 こうした制度を導入したのは、911(米同時多発テロ)事件以後アラブ警戒論が高まり、アラブ系がデンマーク人と偽装結婚しEU市民権を取得する術を封じるためなどに導入された面もあるのだろう。しかし、それによって罪のない移民に負担を強いている。

 例えば、移民法の緩やかなスウェーデンに移り住むことにしたのである。デンマークの対岸にあるスウェーデンの町マルメに住み、デンマーク人なのにデンマークまで橋を渡って毎日通勤しているという。こうした状況を称して、この橋は現地では「愛」と呼ばれているという。

 ただし、その呼び方も、近くなくなる可能性もある。本年7月末、本稿(ルクセンブルク)でも触れた欧州司法裁判所が、アイルランドの移民法に関して「域内のヒトの移動の自由を阻害する」と判決を下したからだ。同様の内容であるデンマークの移民法も、欧州委員会は問題にしている。


ハムレットの悩み

 筆者は、英国にいた頃、シェイクスピア劇を何度も見たが、現在デンマークが抱えている悩みは、デンマーク王子ハムレットの悩みにもつながるのではなかろうか。『ハムレット』の中で最も有名な台詞は「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」などと、決まり文句的に訳されているが、むしろ「このままでいいのか」と現状を思い悩んでいたのだろう。少子高齢化と頭脳流出がより一層進む、この小国の将来は、やはり移民政策にかかっているのだろう。

 日本でも、東南アジアから介護士等の受け入れを真剣に検討しているようだ。移民受け入れに伴い国民の間で噴出してくる“ゼノフォビア”(外国人恐怖の心性)や移民の教育や失業問題については、デンマークに限らず、フランスやドイツなどでも、長年にわたって試行錯誤を繰り返し、かなりの知見を蓄積している。

 日本政府はそうした移民先進国について綿密な調査を行って対策を立てているのだろうが、先人の知恵を踏まえ、前倒しで対策を練っておくことで、将来起こり得る問題を最小限にとどめることができるはずだ。

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2008年08月12日

「IQ」が高ければ人としても「優秀」とは限らない

──「IQ」は知能を、「EQ」は生き方を問うもの

人間は、脳あってこその存在。人の行動、思考、感情、性格にみられる違いの数々は、すべて脳が決めているのです。「心の個性」それはすなわち「脳の個性」。私たちが日常で何気なく行なっていることはもちろん、「なぜだろう?」と思っている行動の中にも「脳」が大きく絡んでいることがあります。「脳」を知ることは、あなたの中にある「なぜ?」を知ることにもなるのです。この連載では、脳のトリビアともいえる意外な脳の姿を紹介していきます。

「IQ」が示すのは
記憶・推理・判断
 1905年、フランスの心理学者ビネーとシモンは、児童の精神的な発育の遅れを診断する目的で知能の検査をおこないました。これが世界ではじめての知能検査であり、「ビネー=シモン検査」と呼ばれています。

 その後、ビネーとシモンの知能検査は各国でさまざまな改良が加えられました。その代表が「スタンフォード=ビネー式知能検査」です。

 これらの知能検査は、人間の知能を科学的、客観的に測定するもので、一般的には簡単な記憶、推理、判断などを求めるものです。これらの問題は年齢に応じて設問され、やさしい問いからはじまり、徐々に難度が高くなり、どの段階まで正解できるかで知能を判断します。

 その検査の結果が知能指数といわれ、一般にIQと呼ばれます。この指数は、知能検査によって測定された精神年齢を生活年齢で割って100倍した数字であらわされます。

「EQ」は
IQ偏重への警鐘
 この場合、精神年齢と生活年齢とが同じであればIQは100となり、標準的な知能とされます。またIQが120であれば、精神年齢が生活年齢より約20%発達していることを意味しています。

 このことからIQが高ければ知能程度が高い、いわゆる「頭がいい」と判断されてきました。

──「IQ」は知能を、「EQ」は生き方を問うもの

 このIQは遺伝による要素が大きく、親のIQが高ければ、子供のIQも高くなる傾向がみられます。ただし、幼少期にIQが高いからといってその後ずっと知能が高いとは限りません。成長に伴う脳の発達がその人の知能を決めるからです。

 一方のEQは、情動指数といわれています。

 これはアメリカの心理学者、P・サロベイとJ・D・メイヤーが提唱し、『ニューヨークタイムズ』の科学記者ゴールドマンがその著『情動知能』で紹介、命名したものです。そのEQの意味は、思いやりやその他の情動を加味した知能という意味です。

 実は、このEQにはIQ信仰に対する批判が含まれています。IQは知能の高さをあらわしますが、それに対しEQは、自己を知り、みずから決断し、周囲に対する思いやりを忘れず、周囲と協調していくことを指数化しています。EQは、人間としての生き方を重視し、現代社会のIQ偏重に対して警鐘を鳴らしているのです。

 IQはあくまでも脳内の知の構造を意味しているし、EQは脳の情の構造を考慮に入れて人間としての経験、人間としての生き方を問うもの。それが両者の決定的な差なのです。

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領有権を巡る21世紀の解決スタイル-2008/08/06

経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年8月6日
 日本と韓国の間にある小さな島・竹島を巡って、両国が領有権を主張して熱くなっている。しかし竹島は1950年代から既に半世紀ものあいだ韓国が実効支配している状態だ。日本はそのさらに半世紀前から島根県に編入しており、領有権を主張してはいる。主張はしているのだが、竹島を取り戻すための行動を起こしているわけではない。まして実効支配もしていない。

 わたしは、この「実効支配」が領土問題では極めて重要になると考えている。もし日本が竹島を取り戻そうというのであれば、武力でもって、つまり戦争をも辞さないつもりで働きかけるしかない。日本政府はそういう行動を起こしていない。

 今の日本政府の態度を一言で言えば「泣き寝入り」である。国際的に機会あるごとに訴えているというのは、こと領土に関しては「犬の遠吠え」である。なぜマスコミはそうした実態を冷静に報じないのだろうか。歴史上、領土問題が戦争によらずに解決したことは数えるほどしかない。国連で決議してもイスラエルによるパレスチナの占拠、入植、実効支配は、まったく犬の遠吠えであった。日本も竹島の領有を主張するなら態度で示さなくてはいけない。そのために高い税金を払って自衛隊(そう、自国領が攻撃されたときに守るためにあるということで自衛隊と名付けられている日本の軍隊)が出動しなくてはいけない。

 だが竹島のような小さな島に、戦争を起こしてまで取り返すほどの価値はあるのかという問題も、頭を冷やして考えてみるべきだ。おそらく多くの国民は韓国の過剰ともいえる実効支配と対日“口撃”に辟易(へきえき)としながらも、「勝手にやらせておけ」くらいに思っているのではないか。自衛隊が出動してまで取り返してこい!と思っている人はむしろごく少数なのではないか、というのがわたしの判断である。

 この手の領土問題、領土に起因する紛争は、竹島に限らず全世界で起こっている。今回は、各地の紛争解決について考えてみたい。

領有権を争うメリットは少ない沙諸島
 最初の例は東シナ海にある沙諸島だ。この地域は、ダイビングを趣味の一つとするわたしにとっては魅力的なところだ。しかし残念ながらここまで行くと、いわゆる「国土」の常識は通用しなくなる。すなわち、いざというときに待避できる場所が存在しない。だからわたしも潜ったことはない。しかし、いつかはダイビングしたいとあこがれる場所ではある。どこまでも青い海、そして美しい珊瑚礁。きらびやかな熱帯魚たち‥‥。いや、これは余談であった。話を戻そう。

 この海域には、東沙諸島、西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島があり、いくつもの国が領有権を主張して、紛争地帯になっている。その勢力を示したのが下の図だ。


 現在、東沙諸島を実効支配しているのは台湾である。空港を造り飛行機をとばしている。実効支配の正当性は、国民党が支配していた時代にこの地域まで支配していたという認識に由来している。もちろん、中国も「冗談ではない。自分たちが中国の正統な政府だからこちらのものだ」と領有権を主張しているが、台湾も自国の領土であるとの態度を崩してはいない。台湾に馬政権が出来て両国の関係に改善が見られたものの、この部分では歩み寄りはないようだ。

 他の諸島も同じようなもので、西沙諸島は台湾、中国、ベトナム。中沙諸島は台湾、中国、フィリピン。南沙諸島にいたっては台湾、中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイというそうそうたる(!)顔ぶれである。

 なぜかくも多くの国が領有権を主張するようなことになったのか。話は単純だ。昔は漁民くらいしか上陸することのない島だったからである。だから領有権など気にする者はいなかった。ところが国境というものに各国がこだわるようになってから、「うちの島だ」「いや、我々の国の領土だ」と主張を繰り返しているのが現状である。

 南沙諸島のように六つもの国が言い合っている様子を見ると、日本の竹島問題がかわいいものに思えてくるほどだ。なにしろ2カ国「しか」いないし、その2カ国は少なくとも国交は正常だからだ。

 さて、ではこれらの諸島にそれだけ争うほどの価値があるか? 少なくとも経済学的な知見からすれば「そんなことはない」。せいぜい漁業権が得られるメリット程度のことなのだ。なかには「昔、サンゴ礁にぶつかって沈没した船に積まれていた金貨が沈んでいる」と文句を言う人もいる。わたしの友人のダイバーはフィリピンに移り住んで南沙諸島の金塊探しを長年にわたってやっていた(もちろんお皿などのほかには何も収穫物はなかった)。しかしこうしたものは山下奉文の隠し財宝と同じくある種の都市伝説であって、まゆにつばをつけて聞くべきであろう。

 このようにいくつもの国が言い合いをしているような状況では、解決の糸口が見つからない。特に6カ国が主張している南沙諸島などは、どこかの一つの国に決めるようなことは、逆立ちしても無理というものだ。紛争解決をねらうなら、どの国の領土にすることもあきらめて、中立の世界公園にでもするしかないのではないか。そのほうが、世界全体にとってメリットがあるくらいだ。

領土問題を解決したロシアと中国
 領土問題ではあちこちで各国が今ももめ続ける一方で、最近になって領土問題が解決した例もある。それがロシアと中国の間を流れるウスリー川に浮かぶ大ウスリー島だ。今回、島の半分をロシアから中国へ譲り渡すことで、国境問題は全面的に解決した。この川自体が国境になっていて、一方がロシア、他方が中国の領土である。この点に関しては両国とも納得していたのだが、川に浮かぶ島だけはどちらも譲らなかったのである。


 この大ウスリー島の領土問題も根が深く、1969年には軍事衝突も起こったほどだ。当時、我々はともに共産圏であるロシア(当時はソビエト連邦だが)と中国は仲がよいものと思い込んでいた。それが戦争を始めたので、たいへん驚いたことを記憶している。

 近隣を流れるアムール川では、中国側からの汚染が深刻化し、ここで採れる魚は食べることもできない。しかし、アムール川の支流にあたるこのウスリー川はまだ汚染されておらず、魚も食べられる。そういう意味でもロシアにとっては貴重な川なのである。

 なぜこの例では国境問題を解決することができたのか。それは両国にゆとりができてきたからだ。冷静になれば、「これといった鉱物資源もなく、軍事的要衝でもないこんな島、どちらの領有でもかまわない」「だったら仲良く半分ずつにしよう」と、プーチンの一声「中国との国境問題はすべて解決した(2004年10月北京を訪れたプーチンの演説)」で決めることができたのである。

 国境問題ではないが、日本と中国の間のガス田の問題では、日本が資本金を出すという「9回裏二死逆転満塁サヨナラホームラン」のような大技を使って解決した。先にわたしは「領土問題は武力なしには解決しない」と書いた。しかし、国にゆとりさえあれば血を見ることなく実質的に解決することは充分に可能なのだ。

34年間分断されていたキプロスに再統合の動き
 最後に、キプロスの例を紹介したい。

 キプロスはトルコの南側に浮かぶ島国だ。かつては良質な銅の産出でも有名な島である(銅の元素記号「Cu」はこの島の名称に由来する)。この小島にギリシャ系住人とトルコ系住人が住み、34年もの長きにわたって分断している状況だった。


 第二次世界大戦以前、キプロスは英国のものであった。しかし1960年に独立し、その後はギリシャ系住民とトルコ系住民との間で紛争が続いていたのだ。

 もちろん、その背後にはギリシャとトルコがいる。ギリシャ系によるクーデターが起こったときにはトルコ軍が介入したときもあった。いまではギリシャ系の人たちは島の南側にキプロス共和国、トルコ系の人たちは島の北側に北キプロス・トルコ共和国と、違う国をつくっている。

 それが今年(2008年)7月26日、キプロスの首都ニコシアでキプロス南北会談が行われ、再統合に向かって本格的な交渉が始まったのだ。実にうれしいニュースではないか。トルコはEUに加盟していないが、その最大の要因はこのキプロス紛争である。「トルコが意固地になってギリシャをいじめている」というEUの見解が、トルコにとって最大の障害になっているのだ。

 もう少し詳しく状況を解説しよう。トルコのすぐ南にあるキプロスは、北側をトルコが支配している。人口は26万人と少なく、人種もほぼトルコ系である。通貨もトルコリラを使用している。当然イスラム教の信者がほとんどだ。

 それに対して南は人口76万人。人種は霜降り肉状態でギリシャ系が76%、トルコ系が10%だ。そして既にEUに加盟し、通貨はユーロになっている。こうなると、北と南の差がますます広がっていくだけだ。

北キプロスのEU加盟でトルコEU加盟が加速する
 このように人口の差が著しいと再統合したときに人口の多い南側の支配力が強くなる。多数決で決めれば南の意見が通るというのは必然だ。

 だから南は、統合したら中央集権の国家にしたいと考えている。そうすればマジョリティである南の意見が通る。しかし北は、それを避けるべく連邦制を主張している。小さな州でも立派にやっていけている米国型の連邦を敷いて、州ごとに自治を持つことを望んでいるのだ。

 再統合に向けた話し合いは始まったばかりだ。必ずしも行き詰まったわけではない一方で、むろん結果も見えていない。しかし「話し合いを始めた」ことに意味がある。仮に北キプロスが南と統一してEUに加盟したらどうなるか。トルコ系の一部といえど、EUに加盟してユーロを使うようになれば、状況は変わってくる。既に今年初め、セルビアからの独立宣言をしたコソボをEUに加盟させるという話が進んでいる。コソボも90%以上がイスラムだ。EUはトルコを拒否する理由が次第に無くなってきているというのがバルカンの地政学的変化である。

 トルコのエルドアン首相は、独立以来世俗主義を貫いてきたトルコに宗教色を持ち込もうとするなど、一見時代に逆行するような動きを見せている。しかし、キプロスの交渉を傍観すれば、一皮むけたとEUには見られるだろう。経済も比較的好調なので、これを契機にトルコ本国にもゆとりが生まれれば、「トルコ本国もEUに加盟してはどうか」という機運も生まれてくるだろう。そうなればEUという地図はがらりと変わる。なにしろトルコは人口7000万人を超える大国だ。工業生産力もコスト競争力も中国に劣らない。トルコとロシア、その前にウクライナとベラルーシ。向こう12年くらいの間に繰り広げられるEUの「東方展開」こそが国境線を巡って流血の惨事を繰り返した人類の歴史を新しいチャプターに導くモノである。

 そうした大きな歴史の流れ、地政学的変化、を考慮すると、キプロス問題の重要性が分かろうというものだ。いままでは象徴的な紛争地帯であったキプロスが、話し合いが進み、実際に再統合されることをわたしも望んでいる。

人は「グッドライフ」を求めている
 わたしは過去の当連載で、何度かコソボ問題を取り上げてきた。セルビア(旧ユーゴスラビア)からは、多くの地域が紛争を経て独立した。コソボも長い間紛争が続いていたが、先般ついに独立を宣言したのである。その後はコソボだけでなく、セルビアまでもがEUへ加盟する方向で動き出した。

 この展開は多くの人にとって、予想を裏切る結果だっただろう。しかし、何を隠そう、これまでこの連載の第110回「コソボに見る21世紀の国家の形」でも取り上げたように、わたしの予想したとおりの展開になったわけだ。

 なぜわたしが、多くの人の予想できなかったことが分かるのか。種を明かせば単純なことだ。「その人の立場になって考えること」、これだけである。

 セルビアの人にとっても「EUに加盟して、世界中を自由に旅する権利を得る」ことが魅力的なのは当たり前のことだ。EUに加盟すれば、これまで制限を受けていた多くのことから解放される。それが分かれば「EUに加盟したいな。そのためならコソボはくれてやってもいい」と思うのは、自然な流れであろう。火中の当事者たちには見えないもの、それは人々が民族主義を主張しながら、実は別なモノを求めている、ということである。

 EU加盟にはそういう魅力、というか魔力がある。今回新たに北キプロスが歩み寄りを見せているのは、そのEUの魔力に引かれたからだ。宗主国トルコの顔色を見ているだけでは自分たちの幸せは近づいてこないのだ。

 人間は民族紛争、宗教戦争を繰り返しているが、根本では「幸せになりたい」「グッドライフを得たい」ということが共通の目的である。これはわたしの20年ほど前(1990年)の著作「ボーダレス・ワールド」でも解説している持論だ。

 紛争の原因とされる民族や宗教は言い訳のようなものにすぎない。グッドライフが手に入る状況が目の前に来れば、誰でも紛争などやめてしまう。現在EU、そしてセルビアやコソボ、キプロスで起こったことを見れば、つくづくそう思う。そうした大きな包容力を持った人類史上初めての「コンセプト国家=EU」がとにもかくにも機能し始めた、ということが21世紀で最も特筆すべき国家観の変化である。

 昨今は日本の中にも、ともすれば隣国をけなしたりあざけったりといった19世紀的国民国家の概念から抜け出せないネチズンが少なくないが、実に嘆かわしいことである。「人生の目的はグッドライフ」と実感できれば、日本も周辺諸国と融和できるのではなかろうか。

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ダメ上司、ムダ上司の傾向と対策(1)

何でも素通し「スルー上司」、慎重すぎる「ブロック上司」
2008年8月11日 月曜日 西山 昭彦
リーダーシップ  ダメ上司  チェック   今回から「ダメ上司、ムダ上司」をテーマに、困った上司をタイプ別に分類し、それぞれの傾向と対策について述べていく。

 まずは、チームの長としてのチェック機能を果たしていない、ダメ上司の典型タイプを2つ紹介しよう。それは「スルー上司」と「ブロック上司」だ。

 「スルー上司」は、チェックを素通ししてしまうタイプだ。部下が作成した資料や報告書などを、自分の目できちんと確認することなくそのまま上に提出したり、客先へ持っていってしまう。一見、部下の能力を信頼して一任しているようにも見えるが、だからと言って上司が何もしなくていいわけではない。部下のミスにも気づかないなら、上司がいる必要はない。


チェック機能のない上司も、細かすぎる上司も困りもの

 こんな例がある。若い部下が、役員会議で使用する資料を作成した。スルー上司は、仕上がった資料をろくにチェックせずにコピーして会議で配った。ところが、うっかりミスで重要な内容が1ページ抜けていた。その結果、管理不行き届きとして、その部門の役員が謝罪し、部署全体がマイナス評価を受けた。これも、上司がチェックさえしていれば防げた事態だ。

 対する「ブロック上司」は、スルー上司とは逆に「チェックが細かすぎるタイプ」だ。リスクを負うこと、ミスをすることを恐れるあまり、部下が持ってきた文書を全部事細かにチェックして、その都度思いついたような直しを何回も入れてくる。

 実例を見てみよう。ある部下が新規の企画を提案する時、ブロック上司は、「横」と「前」を気にする。「横」というのは、例えば「同業他社」のこと。「他の会社では、どうなんだ」と業界の動きをくどいほど確認する。「前」というのは、「前例」だ。「以前はどうしてたんだ」と、過去のケースにこだわる。

 このように、ブロック上司は「横」と「前」を気にしすぎるあまり、何度も企画書を書き直させたり調査をさせたりし、このやり取りを繰り返しているうちに、部下はやる気がなくなり、モチベーションを下げてしまう。

 ではこうした上司には、どう対処したらいいのだろうか。

 スルー上司は、部下を信頼しすぎているか、面倒くさがっているかのどちらかだ。そこで、部下の側で「上司をコントロールする」ぐらいの気持ちで行動するといい。

 例えば文書を提出する際には、疑問点や不明点、確認しておきたい点などをまとめておき、先に伝えるようにする。「このように作成してみましたが、自分としてはこことここが気になっています」「問題点はここだと思いますが、どう思われますか」という具合に、上司の答えを促すように、部下の方からアプローチするといい。

 ブロック上司は、未踏な領域にチャレンジするのを恐れ、危ない橋は渡りたくないというタイプだ。しかし、他社や同僚に後れは取りたくないという気持ちも持っている。そこで、部下は用意周到な策士になるといい。

 新しい企画を提案する時は、事前に前例や他社の動向をつかんでおき、上司との想定問答集を考えておく。上司が懸念することに即座に回答し、例えば「ライバル会社は、もうやっているんですよ」と言えば、その気になってくれる。上司が二の足を踏みそうな個所をあらかじめ想定して潰しておけば、事がスムーズに運びやすくなる。

 また、ブロック上司は、慎重になりすぎるあまり、修正して持って行っても、また前回の話に戻してしまうこともある。2回目に持っていった時に入った赤字通りに直すと、1回目に出した企画書と同じ内容になった、ということもよくある。このため、企画書を書いた時は、修正を入れるたびにすべてのバージョン(改訂版)を残しておくといい。上司の朝令暮改に対応できるファイルにしておくのだ。


上司が本来果たす役割とは何か

 上司が果たすべき役割として、部下の仕事に対するチェックは不可欠だ。それを怠りすぎても、過多になりすぎてもいけない。

 部下に任せられる部分は任せ、部下が気づかないポイントや弱い部分は、指摘し補う。具体的には「部下と役割を分担し合い、ある程度の権限を渡す」「案件にプライオリティーをつけて取捨選択し、重要なものだけ確認する」。こうしたメリハリを利かせることが、上司の力量を示すことになる。

 例えば客先へ持っていく提案書だったら、ポイントは価格と納期。この提案で利益を確保できるのか、社内のスケジュールは調整できるのかを判断し、正しく提示されているのかチェックすればいい。そうしたキモをきちんと押さえてくれる上司ならば、仕事はうまく回っていく。

 しかし、分かっていても人はなかなか変わるものではない。個人の性格による面も大きいが、今までの経験や会社の体質も関係してくるからだ。その会社の人事評価が、加点主義か減点主義かによってそうならざるを得ない場合もある。

 大別すると、歴史があり安定した業績を上げている大企業は、減点主義が強い。そのため、上司は慎重になり、ブロック上司が増える傾向にあると言える。一方、中小企業や急成長しているベンチャー企業などは、チャレンジしなくては始まらないので、慎重に細かく対応していられない。物事をどんどん進めるために、スルー上司のようなタイプも登場することがある。

 また製造部門の工程管理や品質管理部門など、ルーチンワークがメインだったり小さなミスも許されない部署だと、慎重な上司の方が力を発揮できる。しかし営業部門のように、日々の変化に対応しチャレンジすることが優先される部署では、慎重にしすぎては業界のスピードについていけなくなる。

 筆者自身は、どちらかというとスルー上司の傾向があると思っている。それは、若い頃、ブロック上司の下にいたことも一因である。部下の能力をもう少し信用してくれればいいのに…と当時思っていたことが、反動になったようだ。


ダメ上司に対応することで、自分のスキルを高める

 こうした背景を考えれば、いつか上司が自分から変わってくれることを期待するより、「相手にどう対処すれば好転するか」を考えた方が早い。それに、スルー上司もブロック上司も、見方を変えれば部下のスキルを上げてくれる得難い存在なのだ。

 例えば、スルー上司の下についていれば、自分の仕事に対する責任感がつ生まれ、自分で問題点を考えるようになり、見直す力や問題点を抽出する力がつく。ブロック上司が相手なら、意思決定を促す訓練ができる。どのような論拠、どのような条件が揃ったら相手が動いてくれるかを日常生活で学んでいける。

 スルー上司とブロック上司。これらの上司パターンを経験し、それぞれへの対応力を持てば、ビジネスパーソンとして怖いものなしのスキルが身につくだろう。

 次回は、「自己中上司」と「過保護上司」について述べる。

posted by ルナパパ at 10:26| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月11日

困った上司と付き合う法-2008/07/25

原文タイトル:Coping With A Bad Boss
原文掲載サイト:www.forbes.com

著者名:Tara Weiss
原文公開日時:2008年7月22日

あなたの上司はどんなタイプだろう。突然怒鳴り散らすかんしゃく持ち、1から10まで指図するマイクロマネージメントの信奉者、それとも訳の分からない人間か? 侮辱的なメモをあなたの同僚たちにも見えるところに置いていったり、物を投げつけたりする人だろうか?

米ミネソタ州ミネアポリスのPR会社に就職したAmy Cunningham氏の最初の上司は、かんしゃく持ちでマイクロマネージメント型の男性だった。大学を出たばかりの新人には難物すぎた。嫌な出来事がいくつか続いたあげく、ついに上司は爆発した。Cunningham氏はあるメディアキット(メディア向け広報資料一式)をまとめたのだが、個々の資料について事前に上司に説明していなかったのだ。それまでは何度もその手順を踏んでいたのだが…。

上司はCunningham氏がいる事務所に踏み込むと彼女に詰め寄り、大声で罵声を浴びせた。「これでもかというほどの人身攻撃を浴びせてきた」と言うCunningham氏は、「仕事の上でも人づきあいの上でも、あんな目に遭ったことはない。ただただ怖かった」と当時を思い出す。

■関連記事リンク
・In Pictures: How To Handle The Boss

(上司をうまく操縦する方法)

・In Pictures: Should I Stay Or Should I Go?

(辞める? 辞めない?)

・In Pictures: 10 Recession-Proof Jobs

(不景気に負けない10の仕事)

・In Pictures: Wardrobe Essentials For The Young Professional

(若手ビジネスパーソンの定番ファッション)

・In Pictures: Top 10 Smoking-Gun E-Mails

(動かぬ証拠:大問題になったEメール10選)

・In Pictures: The 10 Most Competitive Jobs

(数字で見る 米国で最も競争力のある仕事)
結局このトラブルはうまく解決した。Cunningham氏は別の経営幹部に相談して配置換えしてもらった。問題の上司は数年後に退職し、Cunningham氏は勤務を続けることができた。15年後の今、彼女は会社に必要な人になっている。

問題のある上司の下で働くことは煩わしいだけにとどまらない。主要な退職理由になっているのだ。しかも昨今ではその決断もますます困難になりつつある。AFL-CIO(米国労働総同盟産業別組合会議)の関連団体Working Americaによる最近の調査(訳注:2008年5月実施)によれば、米国の5000万人の労働者は現在の景気下降を考慮して、問題のある上司と共に仕事を続けざるを得ないというプレッシャーを何らかの形で感じているという。

「(厄介な)状況に対処しようとすれば、どうしてもある種のリスクを負うことになる。そこで、大勢の人がその状況に目をつぶったり、なんとか折り合いを付けていく道を選ぶのだ」。こう指摘するのは米国経営者協会(AMA)の国際人事担当シニア・バイスプレジデント、Manny Avramidis氏だ。

それでは、あなたの上司が「嫌なやつ」で、逃れる方法がなさそうなときは、どう対処すればいいのか。以下に基本となりそうなヒントを紹介しよう。

マイクロマネージメント型の上司には、頻繁に更新情報を伝えるのがいちばんだ。電子メールでメモやチェックリストを送り、いまプロジェクトのどの辺をやっているところかを報告して安心させてあげよう。仕事の進行に応じて完了マークを付けていこう。

例えば、上司があなたに報告書の作成を命じ、そこに盛り込むべき内容を事細かに指図するようなら、上司にこう言おう。「ご指示はよく分かりました。これでトライしてみて、草稿が出来上がったら持参したいと思います。その草稿について話し合うということでよろしいですね?」

嫌な上司とつき合おうとすれば気まずい思いをすることもある。例えば、状況を打開するために上司と対決する場合だ。問題を慎重に検討し、上司と事を構えることがあなたの経歴にどの程度影響するかを考えよう。上司がかんしゃく持ちタイプで、職場環境を耐えがたく、敵意すら感じられるものにしている場合、こんなふうに言ってみよう。「この状況では仕事にベストを尽くせません。改善する方法について話し合いませんか」。これで成果が得られないようなら人事部門に相談しよう。

ときには、職場のお飾りでしかないと思われている上司があなたの経歴にプラスになることもある。上司の無能を自分の職権拡大の好機としよう。自分が担当するプロジェクトを増やしてもらえないか、さらにはチームの管理を手伝わせてもらえないか頼んでみよう。

『A Survival Guide for Dealing with Bad Bosses』(仮題「困った上司の操縦法」)という本を書いたGini Graham Scott氏も、「主導権を握りたい人には、これは願ってもないこと」と言っている。一方で、周囲の同僚は上司の指示がなければ進むべき方向を見出せないこともある。その場合は、上司があなたの成果物を批評したり、あなたに質問するようにさりげなく仕向けよう。

欲を言えば、新しい職場で仕事を始める前に、上司について下調べしておくとよい。採用試験で面接の最終段階まで来たとしたら、SNSなど人脈を駆使してその会社の人を探し出そう。そして、上司になりそうな人物について尋ねてみよう。どんな技能を持っているのか、部下の考え方を尊重する人か、仕事を任せるタイプか、質問攻めで人を怒らせるタイプか、など。

最後に、次のような質問をしてみよう。これであなたの情報源が漏らさなかった事実もあぶり出される。「この会社で働いていて、気に入っていることと気に入らないことは何ですか?」

相手の答えに納得がいかなければ、その仕事には就かないほうがいい。

posted by ルナパパ at 15:01| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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