2009年04月08日

米国の年金問題-2009/04/08

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 金融危機で辛い目に遭ったのは民間投資家だけではない。公的年金も相当の
打撃を受けている。日本は相変わらずPKOなどと呑気に株の買い増しをしている
ようだが、米国では企業年金も公的年金もその損失に対して厳しい目が向けら
れ始めている。特にPBGCのような保証制度のない公的年金は、財源が無くなれ
ば支給カットか政府補填しかない。

 FT紙に拠れば、教師や警察官など「政府使用人」に対する2兆ドル以上の規模
の年金基金のマイナスは昨年で30%、本年2か月で9%と約40%に及ぶという。
実額に直せば8,000億ドルの損失であり、基金には受給者への確約分の約半分し
か財源が無い状態だ。株価や社債が2年前の水準に戻れば元通りにはなるが、そ
んなシナリオは受給者には通用しない。まあ日本も似たようなものだろうが、そ
れはいつか年金専門家に聞いてみたいところだ。

 民間年金を補填するPBGCすらも財源が枯渇しており、既に累積赤字になってい
ると報じられている。企業倒産が増えればこの保証制度も破綻しかねず、ここで
も米政府介入は不可避となるだろう。米国は金融も産業もそして年金も支援せね
ば国が成立しない構図に近づいている、とも言える。悲観的過ぎるようにも思え
るが、深く見れば見るほど米国の「資本的脆弱さ」が浮き彫りになる。帝国の没
落というのはこうして徐々に進行していくのかもしれない。そんな風に見れば、
米国債利回りの余りの低さに違和感を感じてしまう。これも多分、持続不能な水
準なのだろう。

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BNPパリバ、仏政府が筆頭株主に 資本注入で17%保有-2009/04/08

 【パリ=野見山祐史】フランスの金融市場監督当局の仏金融市場庁(AMF)は7日、仏政府が同国の最大手銀行BNPパリバの筆頭株主になったと発表した。保有比率は3月末現在で17.03%。2位株主の保険大手アクサを大きく上回った。
 仏政府が金融システム安定化策の一環として昨年末以降、断続的に実施した主要行への資本注入を受けたもので、BNPパリバには予定額の51億ユーロ(約6900億円)余りを注入した。仏政府は議決権を有さない優先株を取得しており、経営判断には関与しない方針を強調している。
 BNPパリバはベルギーの金融大手フォルティスと買収交渉を継続中。買収費用は、フォルティスの主要株主であるベルギー政府に自社株を割り当てる方式を提案している。買収交渉の行方次第では、BNPパリバの大株主が一時的に仏、ベルギーの両政府で占められる可能性もある。
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金融の特別性-2009/04/07

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 住宅や自動車の数値が改善しても金融問題が解消しなければ経済は正常化と
は言えない。その対米基本認識は変わらない。金融を全産業の中の一つのセク
ターと考える株式市場の捉え方は、ある意味で不健全である。金融は経済にお
ける特別の存在であるからだ。その機能修復や出口戦略に具体性が見えない以
上、米国リスクはまだ根強く残っていると見るべきだろう。

 金融の特別性は「特権」や「優位性」を意味するものではなく、また単なる
「公共財」を示すものでもなく、すべての「交換性」を担保する中枢システム
であることを示している。交換なくしては現代経済は成立しない。米国でも資
本市場は回復しつつあると言うが、株式市場ほどにクレジット市場での信頼性
は戻っていない。あのルービニ教授も超悲観論の舵を切り替えたようだが、そ
れでも金融に対する不信感をあらためて強調している。

 確かに徹底した施策の積み重ねで恐慌再来を防ぐことは出来そうだ。米国は
その最悪シナリオを封印した上で、有毒資産をどう処理し、今後増加する不良
債権を誰がどう埋めるか、グッドバンクをどう作り直すか、インフレを回避し
ながらどうマネー供給を正常化させるか、膨張する財政をどうファイナンスす
るか、米国の資本収支悪化をどう回避するか、など様々な課題に応えねばなら
ない。最も単純な米銀処理でさえ先送りが見え見えになってきた以上、それほ
ど健全な方向性は期待出来ないような気もしている。

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米国も長期的ゼロ成長時代へ-2009/04/06

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 注目されたG20が閉幕して次の焦点は米国の景気回復に移り始めている。市場
は期待値を上げ始めたようだが、まだ半信半疑の人も多いことだろう。数字が
どこかで反転するのは当然である。但し、この厳しい景気後退の後遺症を含め
て考えれば、そんなに簡単に経済回復は見込めないと考える方が常識的だ。敢
えて今後を鳥瞰すれば、米国は長期的ゼロ成長時代への移行期に突入しつつあ
る、ということだろう。

 世界的な需要の急減はいずれ止まる。それが数字に表れると景気回復だと主
張する声が強まってくるが、単に過激で異様な落ち込みペースが修正されるだ
けの話だろう。米国内に成長エネルギーの復活を求めることは当面無理だとい
う見方は変えていない。金融の後始末も市場が予想するより辛いものだ。日本
が如何にあの処理にエネルギーを浪費したか、覚えている人も少なくあるまい。
それは確実に成長の足を引っ張る。
 
 技術革新などによる生産性が大きく上昇しない中で、付加価値としてのGDPを
上昇させるのは無理がある。米国は金融魔術でそれが可能になると信じた訳だ
が、その構想は崩れてしまった。1970年代以降の米国は、比較優位を維持する
ために通貨政策、IT政策、そして金融自由化政策などで何とか凌いできたが、
その限界が見えた今、次の成長戦略が描けるまでは暫く時間を要するだろう。
それが長期的ゼロ成長の予想根拠である。マイナス成長からの脱出は、決して
成長路線復活を保証するものではない。

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具体性から抽象性へ-2009/04/03

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 注目のG20金融サミットが閉幕、事前に報じられていた分裂気味の雰囲気を
何とか取りまとめて事なきを得たという印象もある。2年間で景気刺激策5兆ド
ルという数字を目玉に据えたが、誰がどう負担するかは定めない。2010年の成
長率目標はIMFの見通しを流用している。G20としての面目は保たれ議長のブラ
ウン首相も一安心だろうが、G20が打ち出すその「国際協調」という言葉には虚
ろさも見え隠れする。

 オバマ大統領は精力的にスケジュールをこなしたようだが、G20という枠組み
に限って言えば米国の存在感が急速に薄まったことは否めない。参加国が増え
たということもあるが、独仏の主張や新興国の要請など確実に政治的な相対性
は変化している。それが「米国主導」から「国際協調」への変化であるとすれ
ば、世界への視点も具体性から抽象性へと変化させねばならない。これは結構
厄介だ。

 米国が決める世界観は良くも悪くもわかり易い。だが国際協調となると、途
端に読み辛くなる。今回の共同声明は対立構造を封じ決めたために綺麗に仕上
がっているが、具体性を詰めていけば感触が薄い。財政支出はその典型であろ
う。たぶんそれが国際協調という抽象性の産物なのだ。それをポジティブに見
るかネガティブに見るかで世界観は大きく変わる。現時点でG20の「国際協調」
をどう見るか、まだ始まったばかりで評価の付けようがない。

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時価会計の封印-2009/04/02

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 米国の企業会計基準審議会が企業の保有する証券に対する時価評価ルールを
大幅に緩和することになった。既に先月、政治的圧力によって市場価格ではな
く企業独自の算定方法で評価する方向で検討が進められてきたものだが、これ
で銀行は大いに安堵していることだろう。FT紙は大手米銀の1-3月期利益は20%
程度底上げされる、と報じている。

 厳格な時価会計が銀行経営を圧迫して信用収縮の原因になっている、という
まことしやかな悪説が政治を動かしたものだ。これは市場価格に耐えられぬよ
うな商品を抱え込んだ銀行の言い訳にしか過ぎない。自らの失態を会計制度の
所為にして臭い物に蓋をする。市場価格は必ずしも真実ではないが、真実の可
能性を奪い取ることは社会的犯罪である。

 ルールは自由に変更する。これが米国流の「自由」なのだろう。銀行はこれ
で不良資産・債権売却の圧力も減る。見事な「資本力なき金融再建」であるが
その継続性は脆そうだ。不良資産の詰まった銀行の株や債券を誰が買うのだろ
うか。機関投資家はそっぽを向くだろう。騙され易いのは海外や個人であるが 
流石に寛容な海外勢も米国金融のカラクリに気付き始めている。「反ドル」の
声も高まり始めた。日本もそろそろ目覚めるべき時期である。

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まだ悲観派 -2009/04/01

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 数えてみたら学校を出て就職してから丁度30年経っていた。本日は31年目の
始まりということになるがそれほど長い時間には感じない。多分、目まぐるし
く変化する金融市場に振り回されながらもその激流の中で泳ぎ続けることに快
感をも覚えていたからだろう。その中でも2008年度は厳しいながらも得がたい
貴重な体験の時期であった。さて2009年度はどんな年になるか。これは昨年ほ
ど読み易く無い。

 事後的ではあるがこの1年間は悲観派としては見易い流れであった。サイトに
アップしている1年前の本欄を読み返してみると、物価の読みなど外れている部
分もあるが、株価などはある程度見通せていたようだ。だが2009年度は一方通行
の相場にはならないだろうし、かといって大幅反発のエネルギーもまだ期待出来
そうにない。株価はベア基調の中で何度も騙しのような反発を見せることになり
そうだ。為替市場も大きな方向感が見出せない。

 オバマ大統領をローズベルトに準えるたとえ話も殆ど聞こえなくなっている。
一部のブログではむしろフーバーに近いといった厳しい指摘も見える。景気回
復への期待は徐々に増えているようだが、金融修復の遅れや自動車破綻、商業
用不動産への警戒感など、時限爆弾はまだあちこちに埋め込まれており、どの
市場でも強弱感対立は暫く続くことになりそうだ。判断ポイントはやはり米銀
再建がどのように進むかだろう。この点ではまだ悲観派から脱することができ
ないでいる。

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米政府の企業経営介入-2009/03/31

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 GMとクライスラーに対する米政府の支援姿勢が明らかになった。両社への追
加融資条件はそれぞれ厳しいものであり、既にChapter11のシナリオが下敷きに
なっている。だがそれは以前から指摘されていたことであり、今回の措置での
目玉はワゴナー氏ら経営陣の追放であろう。引責辞任とは聞こえが良いが、ど
う見ても厳然たる「パージ」である。

 この報道を米銀首脳らはどう聞いただろうか。明日は我が身と戦慄しなかっ
た会長やCEOはいないだろう。自動車支援策として経営陣の追放という異例の策
はやむを得ない選択であったとしても、これが銀行を必要以上に神経質にさせ
る可能性もある。折角PPIPという手の込んだ仕組みを作ったが、米銀が売却に
積極的に動かない確率が高まったと見ても良いだろう。

 金融経営は特殊な任務だから簡単にパージ出来ないという声もある。だが特
定個人が不在で稼動しないような金融機関はそもそも企業失格だ。既にシティ
ではCEOを続投させるかどうかの議論が政府内であったようだが、過半数を政府
が保有するような事態になれば経営介入は必至だと思われる。金融機関の抵抗
は火を見るより明らかだ。かくして不良資産処理・資本増強が財務省の見積り
より大幅に遅延することも有り得る。ワゴナー・ショックの影響は小さくない。

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横行する「魔女狩り」-2009/03/30

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 金融危機やその実体経済への波及は、間違いなく現代版の「魔女狩り」傾向
を増幅させている。AIG問題やマードフ・ファンドなど論外なケースもあるが
単細胞なメディアが繰り返す行き過ぎた金融批判は、逆効果として経済活動を
収縮させるリスクをばら撒いている。バランスを取るのは難しいが、金融を潰
せば実体経済低迷は長引くのみである。

 日本にも、必要以上に消費者金融を追い詰めた結果、経済の底辺を破壊して
しまったという過去がある。社会民主的思想の理想が自滅したパターンである。
金融が経済の浮力であることを知らない学者や評論家が現代社会の危険分子と
なってしまった。それが欧米にも波及している。規制は制御であるべきなのに
抑制・禁止だと勘違いしている輩がいかに多いことか。

 英国では公的支援を受けたRBSの会長が法外な年金を受け取ることが解って自
宅が襲撃されたり、金融サミットを狙った過激な行動が懸念されている。米国
でボーナスを返還した人の心情も、倫理観というよりも身の安全を懸念したか
らかもしれぬ。社会に蔓延する「反金融ムード」は経済的逆効果である。金融
版魔女狩りの横行は現代社会の揺らぎの象徴だ。金融批判は必要だがそれは感
情的ではなく論理的であるべきだ。

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やはり金融も自動車も救済-2009/03/27

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 金融の不良資産問題へ市場の関心が集中し、話題の中心からやや遠ざかって
いた自動車問題が再び脚光を浴びようとしている。昨日GMは追加救済の条件と
されていた人員削減において、7,500人以上の工場労働者が早期退職に応募した
と発表している。だがNY Times紙は、対象となる14,000人以上は退職パッケー
ジよりも工場に残ることを選択した模様であり、削減はそれほど容易に進まな
いようだと報じている。

 GMの早期退職者は4月1日までに職場を去ることになる。クライスラーも同様
に早期退職条件を提示、労働者の回答期限は金曜日であり、今週中には数字が
確定する。そうした中で米政府は破綻回避の方針を固め、大統領は近々追加支
援に応じる発表を行うと報じられている。引き続きUAWや債権者などの譲歩を引
き出すことが条件となるが、市場が落ち着き始めたところで破綻選択によって
政府自らがそのムードを壊すべきでないという心理も働いているのだろう。

 巧妙な財務省のオフバランス・レバレッジ戦略で金融機関の国有化を避け、
自動車産業も破綻を避ける。米国の先送り戦略は明確である。日本を痛烈に批
判した米国は何処へ行ったのだろう。時代が変わったということか、米国が変
わったと見るべきなのか。時代の変遷にあわせて米国も変化したという見方も
出来ようが、それには相応のコストが発生する。外野席から見る限りそれは国
民負担という弱者へのシワ寄せである。その意味では、日本も米国も結局それ
ほど違いはないのかもしれない

posted by ルナパパ at 09:16| グァム ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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